セミクジラ
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また、2000年の東京海洋大学によると、東部海域には推定可能なデータが存在しない[12]とされているが、2013年の時点で、少なくともアラスカ州のブリストル湾沖に回遊する個体群は遺伝子型研究の結果から28頭が、写真による個体識別の結果から31頭が確認されており[115]、その他、コディアック島周辺など、東太平洋の他の海域に生息する個体群をも含めても、東太平洋全体で50頭に満たないと推測され、本種は現存する全ての大型鯨類の中でも最も絶滅に瀕した大型鯨類の一種であると認識されている[116][117]
ホエールウォッチングハーフムーンベイでホエールウォッチング中に観察された個体のブリーチング(1982年)。

他のセミクジラ属と同様に、本種も陸上から容易に観察できる程の沿岸[118][119][120]や水深が数メートルほどの浅瀬にも出現し[34][71]、上記の通り、人間への警戒心が強まったとされている[34]一方で、近年の観察例でもボートに自ら接近して留まるなどの人懐っこい様子や活発な海面行動を見せている[31][32][33]

一方で、本種をホエールウォッチングの最中に目撃する可能性は極めて低い。世界的に見ても本種との遭遇を果たした観光業者はごく僅かであり、たとえば2023年にモントレー湾にて一頭に遭遇した「モントレーベイ・ホエールウォッチ」社は、1997年の創業以来これまで本種に遭遇した事はなかったとしている[102]

また、その珍しさのために当初は他の鯨種と誤認されて報道され、後にセミクジラだと判明した事例も存在する[4][99][100]

しかし、熊野灘[注釈 31]で操業するウォッチング業者「南紀マリンレジャーサービス」は2006年に2度[121][122]、2011年に1度の遭遇をしている[31]。特に2011年の遭遇は観察の時間や質的にも非常に貴重性が高く[31]、一部の行動は本種では(捕鯨終了後における)初の撮影例にもなっている。

知床半島の西岸では、確実な記録だけでも2013年、2018年、2019年(2度)[120]に観光船や陸上からの目撃が報告されており、「道東観光開発株式会社」は2年連続で遭遇しており、定期航路船が2年連続で本種に遭遇したのは世界初の事例だとされている[48][81][82]

2020年12月には「銚子海洋研究所」が銚子市の沿岸で親子に遭遇しており、日本列島の沿岸では36年ぶりで3件目となる確実な親子の目撃例となった[123]。諸国における観光ツアーが親子に遭遇した事例はこれまで報告されていない。

1990年には、小笠原諸島弟島沿岸で同種ではおそらく世界初の水中撮影および同地域における近代初の棲息確認に成功している[124][83]

(鯨類調査中ではなく偶然の遭遇として)同一人物が本種を複数回目撃する事例も存在し、小笠原諸島[83]熊野灘[31]三宅島[注釈 32]などで事例が存在する。
人間との関係熊野灘におけるセミクジラ猟の様子

日本では、一般的なイメージとして古くから捕鯨が盛んであったという印象が強いが、日本各地の漁村には代々えびす信仰等の風習が広く存在したことからクジラを神聖な存在とみなして捕鯨をタブー視する風潮も強く[注釈 33][56]三浦浄心[130]仏教関係者など当時から明確に捕鯨行為を憂慮する声も存在していた[131]

また、上記の通り捕鯨を忌諱する地域も多く、さらに短期間で多大な利益を生み出す捕鯨と他の漁業との間に政権からの支援や社会的な格差が生じたために捕鯨産業自体が他の漁業者から反感を買うことも少なくなく、時代と共に他の漁業の技術の上昇もあって捕鯨の優先度が下がっただけでなく、捕鯨漁村が自地域での乱獲の結果として鯨の減少を招き、(捕鯨を好まない風潮が強い地域もふくめて)他地域への拡大を行ったため、最も知られる「東洋捕鯨鮫事業所焼討事件」など各地で暴動などの問題が発生したとされる(捕鯨問題#文化としての捕鯨も参照)[132]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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