セミクジラ
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特に2011年の遭遇は観察の時間や質的にも非常に貴重性が高く[31]、一部の行動は本種では(捕鯨終了後における)初の撮影例にもなっている。

知床半島の西岸では、確実な記録だけでも2013年、2018年、2019年(2度)[120]に観光船や陸上からの目撃が報告されており、「道東観光開発株式会社」は2年連続で遭遇しており、定期航路船が2年連続で本種に遭遇したのは世界初の事例だとされている[48][81][82]

2020年12月には「銚子海洋研究所」が銚子市の沿岸で親子に遭遇しており、日本列島の沿岸では36年ぶりで3件目となる確実な親子の目撃例となった[123]。諸国における観光ツアーが親子に遭遇した事例はこれまで報告されていない。

1990年には、小笠原諸島弟島沿岸で同種ではおそらく世界初の水中撮影および同地域における近代初の棲息確認に成功している[124][83]

(鯨類調査中ではなく偶然の遭遇として)同一人物が本種を複数回目撃する事例も存在し、小笠原諸島[83]熊野灘[31]三宅島[注釈 32]などで事例が存在する。
人間との関係熊野灘におけるセミクジラ猟の様子

日本では、一般的なイメージとして古くから捕鯨が盛んであったという印象が強いが、日本各地の漁村には代々えびす信仰等の風習が広く存在したことからクジラを神聖な存在とみなして捕鯨をタブー視する風潮も強く[注釈 33][56]三浦浄心[130]仏教関係者など当時から明確に捕鯨行為を憂慮する声も存在していた[131]

また、上記の通り捕鯨を忌諱する地域も多く、さらに短期間で多大な利益を生み出す捕鯨と他の漁業との間に政権からの支援や社会的な格差が生じたために捕鯨産業自体が他の漁業者から反感を買うことも少なくなく、時代と共に他の漁業の技術の上昇もあって捕鯨の優先度が下がっただけでなく、捕鯨漁村が自地域での乱獲の結果として鯨の減少を招き、(捕鯨を好まない風潮が強い地域もふくめて)他地域への拡大を行ったため、最も知られる「東洋捕鯨鮫事業所焼討事件」など各地で暴動などの問題が発生したとされる(捕鯨問題#文化としての捕鯨も参照)[132]

上記の通り、古式捕鯨も伊勢湾から西日本の各地に伝播したが、捕鯨を嫌う民衆も多かったり捕鯨そのものを禁止する地域も存在したため[127]、東日本で組織的な古式捕鯨を行っていた地域は東京湾三浦半島いわき市金華山の沿岸に限定されている[57][59][60]。これに加え、日本海側では伊根湾、北太平洋側では熊野灘より東側では東京湾のツチクジラ以外の捕獲されていた種類が厳密には不明であるため、東日本の古式捕鯨でセミクジラがどの程度捕獲されていたのかは不明であり、本種の過去の回遊と分布に関するデータが少ない一因となっている。
文化「鯨墓」および「鯨塚」も参照宮本武蔵の鯨退治』(歌川国芳

セミクジラをはじめとするセミクジラ科のクジラは肥えた体形で動きが遅く、沿岸部への接近が多い上に好奇心も強く、脂肪分が多く死んでも沈まないなどの理由から捕獲が容易であり、他方、鯨油鯨肉の採取効率に優れ、工芸材料として便利な長い鯨ひげを有しているなど利用価値が高かったことから、古くから世界各地で捕鯨の対象とされてきた。日本列島でも、肉を「赤身」といって食用に回され、残りの部位は工芸品や鯨油として利用された[133]など、「(古式捕鯨において)クジラの部位は余すところなく使われた」という言説が目立つが、日本列島における古式捕鯨においても主な目的は鯨油であり、セミクジラに限らず鯨肉は保存も効かない上に市場価値も鯨油よりは大きく下がるために優先度は低く、鯨肉や鯨骨や内臓は利用されずに廃棄されることも多かったとされる[132][134][135]

本種(ジャポニカ)は19世紀までは日本の沿岸でもよくみられ、また「背美」と表されるように背中の曲線が美しかったことから、古くから絵画の題材に取り上げられている[136]弥生時代には日本では鯨を利用し、中世のころより鯨漁があった。漁には網を用いた。

セミクジラ科特有の、長大で柔軟性のあるクジラヒゲには特徴的な用途が見られる。日本では文楽人形の仕掛けなどに用いられ、西洋ではコルセットなどの素材に使用された。
捕獲数伝統的な玩具(だんじり)を掲載した年賀切手

日本の沿岸では古くから古式捕鯨の対象として重要視され、和歌山県の太地では親子連れのクジラを捕らないという慣習があり、水産資源の確保を行っていた[137]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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