セミクジラ
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漁業との軋轢は、船舶との衝突と共に、現代において海獣の回復を妨げる最大の要因の一つである[8]

生息数が非常に少ないこともあり、東太平洋側でとくに顕著だが、観察例がある毎に科学論文が書かれてきた[48][43][49]。本種の総観察時間は、過去の全記録を足しても50時間に満たないとされており、調査研究上での観察を除くと1990年以降の目視例数は太平洋全体で30件未満である。

中緯度以下での確認は太平洋両側で1990年代に連続して発生し、低緯度の記録も1997年前後に太平洋各地で発生した以後は途絶え現在に至る。西太平洋では、小笠原諸島で1990年から1996年に4頭、奄美大島[注釈 21]ハワイ諸島で1996年、カボ・サン・ルーカス沖で1996年[47]カリフォルニア沖とモントレー沖で1998年に1件ずつである[42]

90年代までは東西の太平洋沿岸で、非常に件数は少ないものの周期的な目撃が記録されてきた。90年代後半に太平洋の西部・中部・東部のほぼ同緯度の各地域において、ほぼ同年代に南端の記録がそれぞれ記録されたが、その後は確認がなく、2014年に再び東西の低緯度沿岸地域で確認された。太平洋の各地で記録的な発見が続発しており、2000年代を境に発生した失踪の原因は不明である。日本ではとくに2003 - 2006年以降に日本沿岸での確認数が微弱だが増加を見せ始め、2011年には漂着等を含めると例外的な多さを記録した[注釈 22]
日本列島伊豆諸島新島にて(2011年3月)。

日本列島では、2011年、2014年、2018年、2019年、2020年[62][33]に複数回確認されている。

オホーツク海南部における、戦後初めての公式な記録では2013年7月に知床半島西岸で目撃され2018年6月と2019年6・7月にも目撃され[48][80][81][82]東シナ海では20世紀以降の確認は全て奄美大島周辺で記録され、2014年1月に21世紀において初めて観察された[79]。東シナ海における20世紀の全ての記録も奄美大島周辺でのみ確認されている。また、伊豆・小笠原諸島は少なくとも20世紀以降の低緯度海域では最も確認数が多く、定期的な出現と水中撮影[83][注釈 23]の記録が残る唯一の海域である。伊豆諸島では複数の目撃[注釈 24]と漂着が3件、小笠原諸島では1990年代に4頭[88]と2014年に2頭出現した[32]

東京湾の南部周辺[注釈 25]で確認される例もある[50][51]

九州では、2014年に牛深港に入り込んだ事例が存在する[71]

伊豆諸島小笠原諸島は、過去半世紀において比較定期低緯度の海域で複数の個体(グループ)が数例確認されてきた唯一の地域である。また、特に小笠原諸島は水中撮影と定期的な確認が存在する唯一の地域でもある。
中国と韓国盤亀台岩刻画[注釈 26]には、セミクジラを含める古代の朝鮮半島の沿岸に回遊していたと思わしい鯨類相の一部が描写されている。

戦後において、日本海黄海渤海における記録は非常に少なく、日本が設立した捕鯨会社による長海県・海洋島(中国語版)周辺の1970年代の捕獲記録3例と、韓国における1974年の捕獲が1例、1982年の佐渡島での混獲[64]、2007年に福井県での腐乱死体の漂着[89]、2015年に韓国南海郡での混獲からの放流などが該当する[63]

韓国では、2015年の放流が同国では41年ぶりの確認であり、現在の朝鮮半島では大型鯨類の回遊が限られていることもあり、各報道機関が報道して社会的に大きな注目を集めた[63][90]。そして、本件が理由の一つになり、国立水産科学院(英語版)と海洋警察庁が主導する「鯨類救助部門」の設立が決定された[91]。また、それまでは同国における象徴的な大型鯨類はコククジラが主だったが、2015年の放流以降はセミクジラをクローズアップする事例も増加した[92]。また、韓国語ではセミクジラとナガスクジラの呼称が混同される事態が非常に多かったため[注釈 27]、この二種に限らず、国内における鯨類の呼称を改めて調整する事が決定された[16]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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