セクハラ
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厚労省の防止指針では就活生の保護は義務付けておらず、社員に対するのと同様に就職活動をする学生たちへのセクハラ、パワハラも禁止し、相談窓口の設置も義務付けるよう求めている[52]。大学に対しても就活生へのハラスメントの実態調査と相談窓口の設置を求めた[53][54]

2019年(令和元年)12月11日、セクハラやパワハラの対策を進める厚生労働省は、被害を相談した労働者に不利益な取り扱いをした企業が女性活躍・ハラスメント規制法で社名を公表された場合、ハローワークや職業紹介事業者は一定期間その企業の求人を受理しないことを認めると決めた。不利益な取り扱いを禁じる女性活躍・ハラスメント規制法の施行に合わせ政令を改正。2020年6月から実施する[55]
学校「スクール・セクシュアル・ハラスメント」も参照

2016年度(平成28年度)にわいせつ行為及びセクハラで懲戒処分を受けた教育職員は226人で過去最大であった[3]。加害者の内訳は、男性が223人、女性が3人であり、被害者の内訳は、自校の児童・生徒(元生徒を含む)が52.6%、自校の教職員が16.8%等である。ただし、特に生徒が被害に遭うケースでは、加害者である教師に口止めされたり、親を心配させまいとしたりと子どもが声を上げづらい構造があり、明るみに出るのは氷山の一角とされる[56]
男性へのセクハラ・逆セクハラ

セクシュアルハラスメントは主に「加害者が男性、被害者が女性」という構図であり、たとえば2015年(平成27年)の労働局への相談件数では、女性労働者からの相談が男性労働者からの相談の10倍以上に達している[46]。しかし、法的には「女性から男性」や「同性間(男性→男性や女性→女性)」でもセクハラは成立する[9]。その中でも、「女性から男性に行われるセクハラ」に関しては、現実問題として男性側の立場が弱いことから『逆セクハラ』といった俗称で呼ばれている[57]。セクハラ相談窓口が被害者が女性であることを前提として作られているケースもあり、男性が被害者の場合、女性が被害者の場合以上に、被害を訴えることが難しい点が指摘されている[58]。一例として、2人の男の加害者による強制性交・わいせつ事件では、2017年から2019年にかけて20代を中心とした100人以上の男性が被害者となったが、実際に被害届を出したのは、わずか9人であった[59]。加害者の男らは、SNSで知り合った男性たちに睡眠薬を飲ませ、わいせつな行為に及んでいた[60]
その他

就職活動における面接やOB訪問インターンシップ等における「就活セクハラ」も深刻である。Business Insider Japanが実施したアンケート調査によると、「約5割の学生が就職活動中にセクハラ被害にあっており、そのうち約7割が誰にも相談できずにいる」という[61]。社内や取引先に対するセクハラ対策が進んでいく中、「就活生がブルーオーシャンだ(手を出しても被害を訴えにくいから)」と発言した者もおり[62]、複数の逮捕者も出ている[63]

また、海外での日本人出張者・駐在員による現地でセクハラの増加[64]や、女性議員に対する相談や支援を装った「票ハラ」[65]などが問題として指摘されている。
法的類型

法律的には、2つの段階に区分される。
一次被害
強要(例。部下・同僚の異性の「意思に反して」性的関係を求める)。意に反するとは、「要求を受け入れないと昇進させない」などと対価を示した場合は相手が拒まなくてもセクハラになりえ、そうでない場合は相手が拒んだ後にしつこく強要した場合がセクハラになるという指針を人事院が作成している
[66]。これらの行為は、不同意わいせつや不同意性交などの刑事案件となる。
二次被害

中傷(例。上記を断られた報復に、社内外に事実無根のことを流され、噂を理由に仕事を外されたり、解雇される)

周囲の同調(例。中傷を信じた周囲の異性達が続々と性交を要求したり、断られた報復に集団で被害者潰しにかかったりする)

被害者のPTSD(例。中傷を耳にした人達から白眼視され、いじめられ、心に深い傷を負う)

被害者の精神障害(例。美しくあることで傷つくと無意識のうちに記憶、美しく装うこと・異性を極度に恐れる。

被害者の生活の破綻(例。職場でひどい目にあった記憶が強すぎて社会復帰できず、生活が困難になる)

被害者の人間不信による人間関係の破綻(例。信頼した人々から傷つけられた結果、引きこもり化)
項目のうち、1と2は労働事件(刑事事件)、3から6は民事事件(損害賠償請求訴訟)に相当する。
立件の難しさ

セクシャルハラスメントの被害者が裁判を起こすハードルは高いとされる[67]。その根底には、職場での力関係の差や、調査する側が加害者に近い立場・精神構造である可能性があること、個別事例に対して行政指導ができないことなどがある。また、加害者がセクハラを認めず、謝罪を行わないこともある。こうした背景もあり、被害者がセクハラ行為を立証しようとする中で孤立を深め、加害者からは「やっていない」と言われ、周囲からは「嘘をついているのでは」と疑われてしまうケースも多い[68]

そうした構造的、心理的な要因からセクハラの暗数は多く、たとえば2019年(令和元年)の日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)による調査では、セクハラ被害を相談・通報をした人は3割程度であった[68]。また、相談・通報した先で「不適切な対応」を受ける場合も多く、4割のケースでは「事情を話したが、調査もされず放置された」という[68]

セクハラは被害者の主観が重要だと人事院が述べてはいるが、判例では客観性が重要だとされ、一般通常人の判断が基準とされている[要出典]。厚生労働省の事業所に対する指針措置では、被害者加害者の主張が異なった場合には、第三者への聞き取り調査などさらなる事実確認が必要である[69]
被害者支援

菊池安希子 (2010年) はセクシャルハラスメントを受けた被害者を支援する方法について、「被害者の不快を加害者に伝えることで速やかな行動改善につながる場合も少なくない。具体的には被害内容と意思表示した手紙を内容証明郵便で送るなどの方法がある。(支援者が被害者と)協働して文案を作成すると良いだろう」と述べた[70]。また、証拠資料の整理、リーガル・アドバイス(法律・法令にもとづく助言)、職場の環境調整などの準備とともに、被害者への心理的支援も重要である[70]。さらに菊池は、セクシャルハラスメント事案における関係調整の重要性に言及し、「セクハラ被害の回復援助では、多種の関係調整を行う。(1)関係機関や専門職(弁護士、医師)などのリソースと本人をつなぐ。(2)加害者との関係調整(例:職場復帰の際の約束事を公正証書化するまでの条件調整の支援を被害者の側にたって行う)。(3)職場復帰の関係調整(早めから管理職などに二次被害や被害者の反応についての教育も含めた関係調整を折々に行う)」と述べている[70]

なお、セクハラ被害が心的外傷となり、心的外傷後ストレス障害 (PTSD) といった症状を発症するケースもあり、その際の医療的・心理的ケアも重要である(詳細は「心的外傷後ストレス障害 (PTSD)#治療」を参照)[70]

2019年(令和元年)10月28日、厚生労働省は、労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)の分科会で、被害を相談した労働者に対する不利益取り扱いの禁止について、企業規模にかかわらず2020年(令和2年)6月1日から義務化する案を示した[71]。それを受けて改正労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)が成立し、2020年6月1日から施行された[72]
主な事例

この節には、過剰に詳細な記述が含まれているおそれがあります。百科事典に相応しくない内容の増大は歓迎されません。内容の整理ノートで検討しています。(2018年12月)

アメリカ

アメリカでは1986年にヴィンソン対メリター・セービング銀行の裁判で初めて[注 2]合衆国最高裁判所がセクシャルハラスメント行為がアメリカの公民権法第7編(性を理由とする雇用差別の禁止)に違反する性差別である、と認定した[74][75][76]
MEGU

グッドウィル・グループニューヨーク市で経営するレストラン「MEGU」における事例。


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