セウォル号沈没事故
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捜索救助活動にあたっていた民間ダイバーが、5月6日に1名、5月30日に1名、死亡した[37]

キム元庁長は、朴槿恵大統領が行方不明者の家族に会った際、「潜水士が500人」と話したが実際の調査や救助に投入された人員は8人だった[196]
海洋警察の対応

初期対応をはじめ様々な失態が指摘されている。

朝鮮日報の報道によると、第1通報者の高校生に緯度と経度を聞きだそうとして時間をロスしたことが指摘されている[197]

救助用クレーンの出発が12時間遅れたことについて、中央日報は、海洋警察庁関係者の発言として「事故を起こした船会社が使用料を負担しなければならないので、船会社名義でクレーン要請をするのに時間が遅れた」ことを紹介している[198]

4月17日、海洋警察の幹部が、初動対応が不十分だったのではないかとの記者の質問に「海洋警察に何の問題があるのだ。80人救助したのだから大したものではないか」と発言した。22日、海洋警察はこの幹部を更迭したと発表した[199]

4月18日、行方不明となっている乗客らの家族らが現場の状況を暴露したことが報道される。16日に父母らが現場近くにある珍島を訪れたときには、まだ現地に対策本部がなかったこと、その日の夜に父母らが民間の潜水士と共に現場に向かうと、海洋警察に阻止されたこと。当局の説明では、救助の作業員が555人、ヘリは121機、船は69隻などとしていたが、17日に現場海域に出たところ、現場の救助作業員は200人以下、出動しているヘリコプターは2機、軍艦と警備艇は各2隻、ボートは6隻であったことなどが明かされた。不明者家族らは最後に、国民の皆さん、これが大韓民国の現実です。子供たちを救うため、私たちを助けてください、などと締めくくった[200][201]

4月19日午後11時35分頃、官民軍合同の救助チームのダイバー達は斧を手に、セウォル号4階にあるコンパートメントへの進入に挑戦。窓ガラスを手斧で数回刺して亀裂を入れてから破り、コンパートメント内にあった遺体の回収に成功した。これまで数回の進入を試みたが、窓ガラスに進入を阻まれていたとされ、海洋警察関係者も「今回の成功は民間ダイバーのアイディアによる手斧であった」などと述べた。前回荷室に入ったときは荷物が障害となり、およそ10分で引き上げ何も成果がなかったため、今回が事実上最初の進入であった[202]

4月22日には民間ダイバー達に罵声を浴びせたとされ、200人いた民間ダイバーは30人となり、参加者は11人に激減したことが報道される。朝鮮日報によると効率的な指揮系統がなく、海洋警察と民間ダイバーとの間に確執がある[203]

4月23日、21日に投入された遠隔無人探査機 (ROV) が全く成果をあげられず、さらに他の潜水作業の妨げになっていることが報じられる。海水の濁りと強い流れのために方向も定まらず、しかも船上からケーブルで電気を供給するため、感電の危険から他の潜水作業もできない。投入されたROVは2ノットの流速に耐えられるが、事故現場の最大流速は6ノットに達する[204]

4月24日、明日の25日からは現場の潮流が早くなり捜索が難航が予想されるなか、ある家族が海洋警察庁長官のキム・ソクキュンに対し、捜索に参加する潜水士の人数を質問、庁長のキムは「750人、いや100人余り」と言うとすぐに「直接収拾できる潜水士は13人」と答え直した。この潜水士13人は、潜水捜索作業を主導しているウンディーネ・マリン・インダストリー(Undine Marine industries)。ウンディーネはセウォル号の船会社である清海鎮海運と契約を結んで捜索をしており、海洋警察との癒着疑惑がある。ある韓国メディアは、水の流れが普段よりとても弱い塑造期がこの日(24日)で終わるとし、海軍と海軍救助隊、消防潜水要員、民間潜水士、文化財庁海底発掘団など救助隊員726人が動員され、艦艇261隻、航空機35台などの装備が集中投入されたなどと記事にしたが、それらの内容は、汎政府事故対策本部が発表したブリーフィング内容を写しただけのものであった[205][206]

4月25日、海洋警察が韓国船級の家宅捜索を行う前、捜査員の1人が家宅捜索の1時間ほど前に、知り合いの韓国船級の社員に「1時間後に家宅捜索に行く」とメールを送っていたことが判明した。また、1日前に家宅捜索の情報が漏れていた可能性も指摘されている。関係者によれば、家宅捜索では一部の資料が見つからないなど、事前に対策されていた印象があった[207]

4月28日、検察などの合同捜査本部は、沈没直前の救助活動に問題があった疑いとして、木浦海洋警察署を家宅捜索したことが伝えられる。映像のなかで、海洋警察職員が船内に入って乗客を誘導している様子がなく、こうした救助活動に問題がなかったかを調べていると見られる[208]。同じく、事故当時のセウォル号と交信した、珍島と済州島の海上交通管制センターが捜索を受け、交信内容や航跡を示す資料を押収したことが伝えられる[209]

4月28日、海洋警察は初期の救助活動の様子を撮影した動画を公開した。この中で、中央日報は「海洋警察捜索救助マニュアル」と比較した結果、救助活動でいくつものマニュアルを無視した行動があったと報じた。救助者の身元確認を怠ったり、潜水士が到着したのが船が完全に沈んだ後だったり、船体を木槌などで叩いて生存者の反応を確認したりなどの行動を怠っていた[210]

4月29日、海洋警察が一部の映像を隠したとする疑惑が指摘される。先日公開された救出映像は、16日午前9時28分58秒から11時18分4秒までの約1時間49分間の状況を記録していたはずなのに対し、公開された映像の長さが、9分45秒間分しかないため。海洋警察側は、全体を撮影していたのではなく、時々撮影したため、と説明した。この説明に対し、16日に公開された画像(キャプチャー写真7枚)が映像に入っていないとする疑問が新たに生まれた。海洋警察側は、携帯電話での撮影のためと説明したが、中央日報の調査によると、画像には携帯電話で撮った写真ファイルにあるべきカメラの種類や撮影日などの情報がなかった[211]

4月29日、民間ダイバーから「海洋警察は4人ずつしか海に入っていない」などとした指摘に対し、海洋警察側は「減圧チャンバーが2台しかないため人数の制限が避けられない」などと説明したことが報道される[212]

4月30日、公開された映像により、船内乗客の見落としが指摘される。16日午前10時20分頃の映像では、船内に閉じこめられている乗客が、窓を割ろうと試みる姿が映されている。プラスチックボックスらしき道具で窓を叩くが、窓は割れず、窓に顔を近づけ救出を待つが、海洋警察の救命ボートはその場を離れ、客室が水に浸かっていく様子が確認される[213]

4月30日、海洋警察艦艇が燃料にも困る状況であるのにも関わらず、海洋警察の予算145億ウォンがゴルフ場作りに、流用されていたことが指摘される。セウォル号対策委員会委員長であるチョン・ジンフ議員によると、2006年、海上警察教育院は、野外射撃場や艦砲射撃場の設置が必要として、敷地の拡大とそのための予算を求めたが、当初予定されていなかった、ゴルフ場が作られた[214]

5月1日、セウォル号沈没時に潜水士が救助に遅れた原因が、(潜水士を運ぶための)高速艦艇の乗組員がいなかったため、と報道される。(セウォル号沈没地域を担当する)木浦海洋警察には、高速艦艇と潜水士達が非常待機していたが、事故当日には高速艇の乗組員がおらず、潜水士達は車で1時間以上をかけて、珍島彭木港まで移動しなければならなかった。このため木浦港から事故現場まで、高速艇であれば最短約80分で到着できたにもかかわらず、実際には152分を要し、1人の被害者も救うことができなかった[215]

5月1日、捜査指揮と救助活動の責任者、海洋警察庁イ・ヨンウク情報捜査局長が事実上の更迭処分を受ける。イ局長は、清海鎮海運の実質オーナーである兪炳彦が関係する企業、セモに務めていた経歴があり、さらに兪炳彦が指導者を務める救援派の信徒であったとされ、これらが更迭の理由と考えられている。テレビ朝鮮によると、イ局長は、かつてセモ社の造船事業部に勤務し、兪炳彦前会長から奨学金を受けていた。また、過去の博士論文では『勉学の機会を与えてくれた兪炳彦会長に心から感謝申し上げる』とつづられていたことが、各メディアで伝えられた[216][217]

5月2日、海洋警察がセウォル号操船関係者達を同じモーテルで過ごさせ、口裏を合わせる機会を与えていた可能性があると報道がされる。船長のイと乗組員10人は、事故当日の16日から、全羅南道木浦市竹橋洞のモーテルに集められていたとされ、逮捕拘束されるまでの取り調べ期間中は、警察署とモーテルとを行き来していた。海洋警察側は会話が自由に出来ないよう監視をしていたとするが、もし監視していたのであれば、4月21日に一等機関士が自殺を図り乗組員達が止めたことは辻褄に合わないと、韓国メディアは疑問を呈している。当時の捜査責任者であった海洋警察庁情報捜査局長のイは、兪炳彦が会長を務めていたセモグループ出身者であるとされ、5月1日に事実上の更迭処分を受けている[218]

5月7日(事故から22日目)、海洋警察は4月18日に発表した生存者の数を174人から172人に訂正した。原因は重複記載であり、1人は二重表記、もう1人は救出者証言による食い違いだ。これにともない行方不明者は33人から35人に増えた[33][219][220]

5月7日、セウォル号事件に関連し、韓国政府から公務員に出されていた自粛令を無視したとして、済州地方海洋警察庁は、地方庁航空団長を務める警監の職位を解除した。警監は、ゴルフ自粛の公文書を受け取っていたことを認めながらも、階級が低いので問題になるとは思わなかったなどと述べ、責任を感じている[221]

5月7日、キム・ソクキュン海洋警察庁長官は、セウォル号の中間捜索の結果のなかで、長期の工事は身体検査と4大保険に加入するが、小規模では保険なしで行う、などと説明した。セウォル号は突発的な事故での捜索活動のため、保険加入の条件には含まれない。6日に亡くなった民間ダイバーの産業潜水士については、韓国産業人材管理公団の確認の結果、産業潜水士の資格がなかったなどとし、重要なのは、資格があるかないかよりも潜水能力の有無である、などと強調した[222]。ちなみに民間海洋救助隊員は、1日8時間作業をした場合、日当約97000ウォン(約9600円)を受け取り、超過した場合は1時間7800ウォンを受け取る。


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