スーパーチャージャー
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

しかし、ルーツ式は過給圧を高めるほど効率は低くなり[5]、騒音を生じやすい[12]ほか、装置が大きく重い欠点があることから、後付けで搭載されるアフターマーケット製品のスーパーチャージャーを中心に遠心式を採用する例もある[7]。また、スーパーチャージャーが組み合わせられるエンジンは基本的にガソリンであり、ディーゼルエンジンの場合元々低速トルクが太いため採用するメリットが乏しく、さらにディーゼル車特有の高圧縮比との両立に問題があり、2ストロークユニフロー掃気ディーゼルエンジンを除き、日本車においてディーゼルエンジン車のスーパーチャージャー搭載例はない(プレッシャーウェーブ・スーパーチャージャーの搭載車は存在する)。

1921年(大正10年)に、世界で初めてスーパーチャージャー付きエンジンを搭載した量販車「メルセデス6/25/40ps」と「メルセデス10/40/65ps」が、ベルリンモーターショーで公開されている。
日本車

過去において日本の自動車税の税額は車体寸法とエンジンの排気量により決定され、過給機の追加は課税に影響しなかったことから、小型乗用車の枠内に納めたシャシに排気量2,000 ccのエンジンと過給機を搭載して最高出力を争うように訴求力を高めていた。その場合においても、小排気量で高回転域の出力を重視する場合はターボチャージャーと比較するとメカニカルロス及び騒音が大きく[注釈 1]。またコストパフォーマンスが悪いことから採用例が少なかった。一方、ターボチャージャーの欠点は技術が進歩すると共に解消され、スーパーチャージャーの採用例が増えることはなかった。最高出力を向上する目的で過給機の採用例が増えた日本の自動車業界であったが、自動車による環境負荷を低減することが注目されるようになると最高出力競争が下火になり、過給器を搭載する乗用車は一時的に少なくなった。2010年代から、小排気量のエンジンに過給機を搭載するダウンサイジングコンセプトが世界的に認知され始めたが、ターボチャージャーが主流であり、機械式スーパーチャージャーの採用は一部[注釈 2]に留まっている。2023年現在国内外で市販されている日本メーカーの乗用車でスーパーチャージャーを搭載しているのは、MAZDA3のみとなっている。(ただし、マツダは高応答エアサプライと呼んでおり、スーパーチャージャーの扱いではないとしている)
民生デイゼル工業(現:UDトラックス
米国ゼネラルモーターズ (GM) が1938年に実用化したユニフロー スカベンジング ディーゼルエンジンライセンスを、戦後民生デイゼル工業(現:UDトラックス)が取得し、1955年昭和30年)から「UDエンジン」の名前で生産をはじめた。そのエンジンの掃気に二葉式ルーツブロアーを利用し、日本初の量産スーパーチャージドエンジンであった。エンジンはモジュラー設計で、直列3、4、5気筒とV型8、12気筒をラインナップしていたが、2サイクルエンジンの廃止に伴って掃気用のスーパーチャージャーは採用されなくなった。
トヨタ自動車
AW11型後期のMR2、AE92と101型のMT車のみカローラレビンスプリンタートレノ4A-GE型、GS121と131型クラウン、GX81型前期のみマークIIチェイサークレスタ1G-GE型、TCR20型エスティマ2TZ型の各エンジンにスーパーチャージャー付きの設定があった。それぞれ、自然吸気の仕様から圧縮比を下げ、エンジンルーム内の部品配置を変更し、ルーツ式が組み合わされた。スーパーチャージャーへの動力伝達は電磁クラッチを介して行われ、車速やスロットル開度、エンジン回転数を検知して、スーパーチャージャーが抵抗になるような条件下ではクラッチを切り、出力損失を抑える制御とされていた。アイドリング時にはスーパーチャージャーが駆動されず、スロットル開と車速信号を検出するとクラッチが接続されて駆動する。2017年(平成29年)に限定生産されたヴィッツGRMNにもスーパーチャージャーが搭載された。
日産自動車
日産では、スーパーチャージャーとターボチャージャーを組み合わせた、ツインチャージャーエンジンのMA09ERT型マーチRマーチスーパーターボに搭載された。2012年(平成24年)9月、ダウンサイジングコンセプトによる小型車向けの燃費向上策として、直列3気筒の1.2リットルHR12DDR型では直噴ミラーサイクル化とスーパーチャージャーとを組み合わせ、同社のE12型ノートに搭載された。ミラーサイクルにより高効率化を図るとともに、その欠点であるトルクの低下に対して1.5リットル相当の動力性能も得るために、必要により機械式スーパーチャージャーを作動させて過給している[13]
富士重工業(現:SUBARU
1988年(昭和63年)式レックスで、それまでのターボに代わってスーパーチャージャーが採用された。[注釈 3]吸気管内圧力を利用して開閉する過給気バイパスバルブにより走行負荷状態に応じて過給をオン・オフする方式とを採用した。その後、ヴィヴィオプレオR1R2ステラでもスーパーチャージャーを採用し、プレオでは燃費対策として、日本車として初めて低圧過給(マイルドチャージ)を採用した。軽商用車ではサンバーにスーパーチャージャーが搭載されたが、エンジンルームのスペースの都合上インタークーラーは装備されなかった。
ダイハツ工業
1987年(昭和62年)にハイゼットトラックのEB型550 ccエンジンで採用されたものの、補機スペースの関係でエアコンとの同時装着ができないなど制約が多く、660 cc化された際に廃止された。
スズキ
1987年(昭和62年)にキャリイで採用され、1989年(平成元年)に実施された大規模なマイナーチェンジの際に廃止された。
三菱自動車工業
1986年(昭和61年)発売のS10系2代目デボネアVの2,000 cc V6(6G71型エンジン)モデルで初めて採用された。続いて1987年(昭和62年)に軽トラック三菱・ミニキャブ、軽ワンボックス三菱・ブラボーでU14/U15T(548 cc、直列3気筒3G81型エンジン)に採用され、1990年(平成2年)に660 ccモデルが追加された後も併売された。
マツダ
1993年(平成5年)10月に発売されたユーノス・800で、量産車初のミラーサイクルエンジンであるKJ-ZEM型 V6 DOHC 2,300 ccエンジンにIHI製リショルム・コンプレッサーが採用された。また、2019年令和元年)からMAZDA3に搭載されたSKYACTIV-Xには、イートン製のスーパーチャージャーが採用されているが、これはマツダが「高応答エアサプライ」と呼ぶ「送風機」で、過給器の扱いではない[14]
本田技研工業
2013年(平成25年)にCR-Zがマイナーチェンジした際に無限・RZ(コンプリートカー扱い)として300台限定で販売された。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:111 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef