たとえば、数値風洞(1993年11月のTOP500で首位)やPACSのCP-PACS(1996年11月のTOP500で首位)はNLSとして使用が始まり、その後2年ほどでNISとして利用された。2004年まで2年半の長期にわたってTOP500の第1位を占めた地球シミュレータもNLSとして開発され、2007年頃からはNISとして供用された。
2009年11月、長崎大学の浜田剛助教らがゴードン・ベル賞(価格性能部門)を受賞した。市販のGPU 760個の並列処理により、単精度による多体計算において、国内最速の地球シミュレータ2(倍精度LINPACKベンチマークでの測定値122.4 Tflops)を上回る158 Tflopsを開発費用3,800万円で実現した。浜田助教は「高性能の計算機は重要」としながら「(巨費を投じた従来の開発方針は)素直にいいとは言えない。方向性が逆」と発言した。GPUを大量につなげるプログラムの開発が成功の鍵とされた[25]。東京工業大学のTSUBAME 2.0
2010年11月のTOP500では東京工業大学のTSUBAME 2.0が4位を獲得した。同時期1位中国NUDTの天河一号Aと同様GPUを大幅に採用しているのが特徴であり、開発費は約30億円である(天河一号Aは約80億円、2002年世界一の地球シミュレータが600億円)[26]。
2009年11月、日本で唯一ベクトル型を続けているNECは、インテルとのXeonを使用したスカラー型スーパーコンピュータの共同開発計画を発表した[27]。
日本はスーパーコンピュータの省エネ化にも取り組んでおり、2013年11月21日に公開された省エネ性能ランキングでは、東京工業大学のTSUBAME-KFCが、2位に2割以上の差をつけて1位を獲得した[28]。
次世代スーパーコンピュータプロジェクト詳細は「京 (スーパーコンピュータ)」および「事業仕分け (行政刷新会議)#科学関連」を参照
2006年より文部科学省は、地球シミュレータに代わる次期NLSとして、「次世代スーパーコンピュータプロジェクト」を開始した[29]。当初計画ではベクトル・スカラー複合機を開発して、「2012年に10ペタFLOPS」を達成し、実質的にTOP500の1位を目指す内容であった[30]。
しかし2009年2月にアメリカで「2011年に20ペタFLOPS」を目標とするセコイアが発表され、予定通りとなれば「日本の1位奪還」にはならない見込みとなった。2009年5月にはNEC・日立が経営不振を理由に同プロジェクトから撤退し[31]、3社によるベクトル・スカラー複合型から、富士通単独によるスカラー型へ設計変更された。
同年11月13日には行政刷新会議の「事業仕分け」で、当プロジェクトは「予算計上見送りに近い縮減」(事実上の凍結)と判定されたため多数の議論が行われたが、政府は判定を見直し、12月16日には2010年度予算に227億円の計上を決定した[32]。
構築途上ながら2011年6月の時点において、LINPACKベンチマークの実行性能8.162ペタフロップス、実行効率93.0%を達成。2位と比べて3倍以上の実行性能を発揮し、TOP500の1位を獲得した。さらに2011年11月2日、最終構成を用いたLINPACKベンチマークの実行性能が10.51ペタフロップス(実行効率93.2%)となり、世界で初めて実行性能10ペタフロップスを超えるコンピュータとなったことを発表した[33]。セコイアは計画より1年遅れて2012年になって稼働し、京の性能を上回った。
グラフ探査性能ベースのベンチマークに基づく性能ランキング「Graph500」では、2015年2期連続で世界1位を獲得した[34]。
次々世代詳細は「富岳 (スーパーコンピュータ)」を参照
京の次期システムは、TSUBAMEシリーズの設計者で理化学研究所計算科学研究センター長の松岡聡教授が率いる開発プロジェクトにて、ARMv8アキーテクチャーのCPU ⇒A64FXを新開発し、京の100倍程度高速なシステム(1エクサプロップスのシステム)を2020年に構築する予定とした[35]。
2020年より試行運用、2021年(令和3年)に富岳として本格稼働し、2021年11月のTOP500、HPCG、HPL-AI、およびGraph500において4期連続の4冠を達成した。 この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。
国策巨大プロジェクトに関する議論