スワヒリ語
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また、小学校から学校では一貫してスワヒリ語中心の生活を子供たちが送るため、タンザニア国内各地に点在する諸語の利用が低下し、各民族語の継承が困難になるケースも散見されている[16]
ケニア

ケニアにおいてはスワヒリ語は国語とされ、また英語とともに公用語に定められている。これまで正式には定められていなかったが、2010年8月27日に発布された新憲法においてその地位は明確に規定された。ケニアにおいてもスワヒリ語はリンガフランカとしての地位を保っており、かなりの数の人々が共通語としてスワヒリ語を解することができる。ただし、特に首都ナイロビで話されるスワヒリ語は標準スワヒリ語からはかなりかけ離れたものであり、ナイロビ・スワヒリ語とも呼ばれる方言が使用されている[17]。いっぽうで、隣国タンザニアと異なり学校教育においては英語が教育言語として使用されており、初期教育においては諸民族語も指定されているものの、母語話者の少ないスワヒリ語は海岸部の母語話者地域を除いては教育言語とはなっていない。また、公用語としても英語の使用が優勢である。首都ナイロビは本来はキクユ語圏であり、キクユ語を中心に話すものも数多い[18]

1970年代より、首都ナイロビを中心に、上記のナイロビ・スワヒリ語とはまた別の、シェン(Sheng)と呼ばれるスワヒリ語の方言が発生した。シェン(Sheng)とはスワヒリ語(Swahili)と英語(English)の合成語であり、その名のとおりスワヒリ語のナイロビ方言に英語やルヒヤ語キクユ語カンバ語ルオ語といった近隣諸民族の言語の語彙を多く導入したもので、マタツ(乗り合いタクシー)の運転手などから若者言葉として広まり、音楽などのポップカルチャーなどにも使用されるようになった。
ウガンダ

ウガンダにおいては、スワヒリ語の地位は上記2国に比べてもなお低い。ウガンダは首都カンパラを擁する旧ブガンダ王国地域が主導権を握っており、共通語もガンダ人の話すガンダ語が使用されることが多い。これに反発するブガンダ以外の諸地域はガンダ語の普及に消極的であり、国内のどの民族の母語でもないスワヒリ語は彼らの支持によって2005年に英語と並ぶ公用語に指定された。これは、スワヒリ語が重要な役割を果たすケニアおよびタンザニアとの東アフリカ連邦構想を念頭においたものでもある。しかし、ウガンダ国内ではスワヒリ語は北部のナイロート系民族が共通語として使用しているだけであり、公用語として長く使用されてきた英語や共通語として力を持つガンダ語に比べるとスワヒリ語の重要性は低いものとなっている[19]
コンゴ民主共和国

コンゴ民主共和国においては、スワヒリ語は公用語ではないが4大共通語のひとつであり、リンガラ語ルバ語コンゴ語とならんで国語に指定されている。スワヒリ語の使用地域は東部および南部であり、旧カタンガ州北キヴ州南キヴ州マニエマ州、旧東部州南部、旧西カサイ州東部などが使用地域である。ただし、あくまでもリンガフランカとしての普及であり、母語話者は存在しない。また、教育言語はフランス語であり、スワヒリ語をはじめとする4つの国語は小学校の最初の2年間のみ教授言語とされ、その後は学科としても教えられない[20]。コンゴは多民族・多言語国家であるが、首都キンシャサはリンガラ語圏に属する。このため、モイーズ・チョンベローラン・カビラジョゼフ・カビラといったスワヒリ語圏出身の政治家との間に摩擦が起きることがある。2006年のコンゴ大統領選挙時には、東部のスワヒリ語圏を固めたジョゼフ・カビラに対し、リンガラ語圏出身の対立候補であるジャンピエール・ベンバが排外主義をあおり、大きな混乱が起きた。
ルワンダ

ルワンダではほぼ100%の国民にルワンダ語が普及しており、スワヒリ語は商用言語として使われる程度であったが、周辺国との関係から2017年に公用語に制定された。また、2015年以来学校教育での必修言語となっている。なお、ルワンダでは2008年まではフランス語が、それ以降は英語が教授言語となっている。
その他

日本において専門的にスワヒリ語を学ぶことのできる大学は、大阪大学の外国語学部スワヒリ語専攻が唯一のものである[21][22]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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