マヒンダ・ラージャパクサ大統領がLTTEの制圧と内戦の終結を宣言し、四半世紀に及ぶ内戦は2009年5月に終了した。以後、ラージャパクサは内戦終結の功績を背景に政権の強化を図り、2010年1月には任期を前倒ししての大統領選挙により、内戦の司令官だったフォンセカ前陸軍参謀長を破り再選を達成。同年9月には大統領の三選禁止条項を撤廃する憲法修正案も可決させるなど、大統領への集権化を進めた[9]。一方、内戦終結後は国防省を国防・都市開発省と改称し、統一の実現と平和の到来とともに余剰となった戦力をインフラ整備にも動員した。復興需要ならびに観光業の復活から、2010年、2011年とGDPが8%台の成長を続けるなど、急速な経済発展が続いた[10][11]。
2014年11月、2年の任期を残したラージャパクサは、三選を企図して早期選挙を実施。しかし、与党SLFPの幹事長で保健相のマイトリーパーラ・シリセーナが政権を離脱、野党統一候補として立候補する事態となり、2015年1月の投票においてシリセーナに敗れた[12]。だが、大統領と首相の対立など政治的混乱に、経済成長の鈍化、さらに2019年にはイスラム過激派によるスリランカ連続爆破テロ事件が起きる[13]など不安定な情勢が続き、マヒンダ・ラージャパクサの弟のゴーターバヤ・ラージャパクサが第8代大統領に就任。マヒンダ自身も首相への復権を果たした。
経済危機と反政府運動大統領府前に集まる市民(2022年)詳細は「2022年スリランカ反政府運動」を参照
しかし、2020年に新型コロナウイルスの世界的流行が発生すると情勢が一変。主要産業である観光業が壊滅、ラージャパクサ政権時代に拡大した債務の返済に困窮するようになり、物価高と外貨不足から独立以来と言われる経済危機に陥る[14]。大規模な抗議デモが相次ぎ、2022年7月にはゴーターバヤ政権が崩壊[15]。この間に首相から次いで第9代大統領へと就任したラニル・ウィクラマシンハは、7月5日に国家としての破産を宣言、国際通貨基金 (IMF) に支援を要請した[15]。これを受け、9月1日、IMFはスリランカに対し29億ドルの金融支援を行うことで暫定合意に達したと発表。ただし、この支援については国内の経済改革のほか、対外債務(中国、インド、日本など)の整理再編を行うことを前提条件とした[16]。
2023年10月11日、スリランカと中国は42億ドル分の債務再編で合意した[17]。
政治ウィクラマシンハ大統領グナワルダナ首相詳細は「スリランカの政治」を参照「スリランカの大統領」、「スリランカ政府」、「スリランカの首相」、および「スリランカ憲法」も参照
国体は共和制。半大統領制と議院内閣制が混合した体制となっている。また、間接民主主義の色合いが強めとなっている。
国会は総議席数225の一院制で、知識人や上流階級を基盤とする統一国民党 (UNP) と農村部や労働者階級を基盤とするスリランカ自由党 (SLFP) の二大政党を中心としつつ、タミル人の民族主義政党タミル国民連合や、共産主義政党でかつては武装闘争も展開した人民解放戦線 (JVP) といった小政党も一定の立場を築いている。「スリランカの政党」も参照
1948年の独立以降、一貫して民主主義が維持されているが、他方で2005年のマヒンダ・ラージャパクサ政権以後、大統領の権力が強まり、2009年の内戦最終局面での避難民や捕虜の取り扱い、2010年の大統領選挙に敗退したフォンセカ元陸軍参謀総長の逮捕、同年の憲法の大統領の三選禁止条項の撤廃といった点から、西欧諸国からは人権上の問題を指摘されている[18][19][9]。2015年のマイトリーパーラ・シリセーナ政権下においては、こうしたラージャパクサ時代の政策の見直しが図られたが、大きな成果は上がらず[20]、2019年にはゴーターバヤ・ラージャパクサ政権が誕生した。しかしそのゴーターバヤ政権も2020年からの経済危機で崩壊し、2022年にはラニル・ウィクラマシンハ政権が誕生している[15]。
歴代の指導者が放漫的な財政運営を行ってきたうえ、2010年代前半に行われた空港や港湾、高速道路の建設が国家の債務を急激に増加させた。スリランカの国の総債務は2017年現在で6兆4,000億円にのぼり、全政府収入の95%が借金の返済にあてられている。完済に400年かかるとされており、非現実的な状況に陥っている[21]。
国際関係詳細は「スリランカの国際関係(英語版)」を参照
外交面では、非同盟の立場を維持しつつ、歴史的・文化的にも関係が深い隣国インドと、政治や経済、安全保障上、極めて重要な国として良好な関係維持に努めている。また経済社会開発の観点から日本を含む先進諸国との関係強化を重視しているほか、近年は中国やパキスタン、イランとの関係も強化しており、2009年には1986年以降長らく最大の援助国であった日本に代わって、中国が最大の援助国となっている[22]。南部ハンバントタでは中国の援助の下、大規模な港湾・空港整備が行われており、中国の進出を象徴するプロジェクトとなっている[23]。同港は2017年7月より99年間にわたり中国国有企業・招商局港口にリースされている[24]。
また、南アジア地域協力連合 (SAARC) の原加盟国であり、2006年、東南アジア諸国連合地域フォーラム (ARF) にも加盟するなど、最近は南アジアや東南アジア諸国との協力関係強化にも力を入れている[5]。
日本との関係詳細は「日本とスリランカの関係」を参照