スリナム
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両国は領有権を巡り争ったが1667年ブレダ条約でオランダはニューアムステルダム(現ニューヨーク)とスリナムを交換し、その後幾度かイギリスによる占領があったものの、以降オランダの領有権が確定した。

オランダ人は黒人奴隷を使ってコーヒー、カカオ、サトウキビ、綿を栽培したが、奴隷の待遇は劣悪であり、多くの奴隷がプランテーションから脱走し、熱帯雨林に住むインディオの助けを得てマルーンオランダ語: ボスネイハー - Bosnegers、英語: ブッシュ・ニグロ - Bush Negroes、フランス語: ネグマルーン - Neg'Marrons)となった。現在もサラマカ、パラマカ、ジュカ(オーカン)、クウィンティ、アルク(ボニ)、マタワイなどのボスネイハー部族が存在している。ボスネイハーはしばしば新しい仲間を募るため、また、女性や、武器、食料、物資を得るためにプランテーションを襲撃した。これらの襲撃はプランターやその家族に少なからずの損害を与えることとなり、植民地政府側は19世紀にボスネイハーと平和協定を結ぶに至った。これによりボスネイハーは独立した地位と交易の権利を認められた。

その後、1863年に奴隷制度が廃止されたが1873年まで完全解放はされなかった。奴隷達の多くは自由になるとすぐに数世代に渡って彼らを苦しめたプランテーションから逃れ、パラマリボに流入した。このことにより、スリナムにおける農場経営は一時停滞したがスリナムのプランテーションは手作業の労働者に大きく依存していたため、労働力の不足を補うためにまず中国大陸南部から、つづいてインドから、さらにはオランダ領東インド(現在のインドネシア、特にジャワ島)から契約労働者を受け入れ、新たな労働力とした。またその間中東からも少数の移民が導入されている。このような歴史により、スリナムは世界でも多様な民族性と文化を持つ国となっている。

1954年にはオランダから自治権を獲得し、1973年にNPK(多くが黒人やムラートのクレオールからなる政党)がオランダ政府と完全独立のための交渉を始め、1975年11月25日に完全独立した。分離手当ては非常に実質的であり、独立後最初の10年間のスリナム経済の大部分がオランダ政府の対外援助からなった。
独立以降

1980年陸軍曹長デシ・ボーターセによる軍部クーデター(1980年スリナムクーデター(英語版))が起き、スリナムの社会主義化が国家軍事評議会のもとで進められソ連キューバと親密な関係を築いた。1982年には民主化運動の指導者15名が処刑されたため(12月殺人事件(英語版))、オランダは援助を停止した。1986年にはボスネイハーなどからなるゲリラとの内戦(英語版)が勃発した。

1987年11月の総選挙で軍部が敗退すると、1988年には新憲法のもとでシャンカル(英語版)大統領が選出され民政復帰を果たした。オランダが再び援助を再開したが、1990年にボーターセによる軍事クーデター(1990年スリナムクーデター(英語版)、別名電話クーデター)が再び勃発した。クーデターによりオランダは再び援助を停止。シャンカルは退陣した。1991年の総選挙ではフェネティアーン大統領が選出され、アメリカ合衆国およびオランダとの関係を回復した。1992年にはオランダによる人道的援助が再開され、ボーターセ軍司令官が辞任(2010年、民選大統領として復権)した。エコツーリズムが発達し、2000年に中部スリナム自然保護区が、国際連合教育科学文化機関世界遺産となった。
政治詳細は「スリナムの政治」を参照チャン・サントーキ大統領大統領官邸

1980年2月25日、クーデターが発生した。軍が実権を握り、軍が任命した大統領が就任した。1981年11月の総選挙で軍政は崩壊し、野党の連合政権が登場したが1990年12月にまた軍のクーデターが起こり、再び倒された。スリナムの政治は1987年制定の憲法によっている。立法府は一院制国民議会で構成されており、定数は51名。5年ごとに改選される。

議会の3分の2以上の賛成によって選出された大統領が行政府を取り仕切る。大統領の任期は5年で、投票がそれに満たない場合は議会と地方代表から構成される340名の国民議会の投票によって選出される。

カリブ共同体南アメリカ連合に加盟している。
国家安全保障詳細は「スリナムの軍事」を参照

2009年時点で総員2,200人の規模を有する。

1975年の独立でオランダ軍部隊から独立し、1980年にはクーデターを引き起こす。民政移管後は政軍関係の再構築をアメリカ合衆国の援助下で行っている。
地方行政区分スリナムの行政区画詳細は「スリナムの行政区画」を参照

スリナムは10の地方(蘭: district)に分かれ、地方はさらに62の ressort に分かれる。
ブロコポンド (Brokopondo)

コメワイネ (Commewijne)

コローニー (Coronie)

マロワイネ (Marowijne)

ニッケーリー (Nickerie)

パラ (Para)

パラマリボ (Paramaribo)

サラマッカ (Saramacca)

シパリウィニ (Sipaliwini)

ワニカ (Wanica)

主要都市詳細は「スリナムの都市の一覧」を参照

パラマリボ(首都)中心に首都圏が形成されている。
地理詳細は「スリナムの地理」を参照スリナムの地図内陸の川

スリナムは南アメリカ最小の独立国である。国土の大部分はギアナ高地に位置し、二つの主要部に区分される。北部の沿岸低地地方(おおよそアルビナ-パラナム-ワゲニンゲンのライン)は文化的であり、人口の大部分はこの地域に居住している。南部は熱帯雨林からなり、ブラジル国境周辺のサバナにはまばらに人が居住している。南部は国土の約80%を占める。

スリナムには二つの主要な山脈、即ちバクウイス山脈(英語版)とヴァン・アスチ・ヴァン・エイック山脈(英語版)が走る。国内の山では海抜1,286mのジュリアナトップ山(英語版)が最も高い。その他の山としてはタフェルベルグ山(英語版)(1,026m)、カシカシマ山(英語版)(718m)、ゴリアスベルグ山(オランダ語版)(358m)、ヴォルツベルグ山(英語版)(240m)など。

国の北東部にはブロコポンド・ダムの作る人造湖プロメシュタイン湖があり、これは世界で最も大きなダム湖の内の一つ。1964年にアフォバッカダム(英語版)としてボーキサイト産業(使用量の75%を占める)と国内消費に水力発電を供給するために建設された。

コペナメ川の上流の中部スリナム自然保護区は、手付かずの熱帯雨林と多様な生態系のためにユネスコの世界遺産となっている。スリナムには多くの国立公園がある。沿岸部にはGalibi National Reserve、Coppename Manding国立公園、Wia Wia NR が、中央部にはBrownsberg NR, Raleighvallen/Voltzeberg NR, Tafelberg NR 、Eilerts de Haan NPが、ブラジル国境地帯にはSipaliwani NR がある。 国立公園と湖を合計すると国土の12%を占める。
気候

スリナムは熱帯気候であり、国土が赤道直下に近く、赤道から2?5 度北に位置するスリナムは、非常に暑く湿った熱帯気候に属し、年間を通じて気温の変化があまりありません。4月から8月までと、11月から2月まで、1年に2回の雨季がある。また、乾季も8月から11月までと、2月から4月までの2回ある。

平均相対湿度は 80% ? 90% です。平均気温は 29 ? 34 °C (84 ? 93 °F) です。湿度が高いため、実際の温度は歪んでおり、記録された温度よりも最大 6 °C (11 °F) 高く感じる場合があります。

スリナムの気候変動は気温の上昇と異常気象の増加につながっています。比較的貧しい国として、世界的な気候変動への貢献は限られています。森林面積が広いため、この国は2014 年以来カーボンネガティブ経済を運営しています。
経済首都パラマリボ。詳細は「スリナムの経済」を参照

豊かなボーキサイト木材資源に恵まれている。スリナムの経済はボーキサイトに大きく依存しており、GDPの15%、輸出額の70%を占めている。農業は砂糖バナナ柑橘類などで、漁業ではエビが欧州や日本に輸出されている。近年は石油資源[3] や金[4]も期待されている。

国民の1/4が農業セクターに従事している。スリナムの経済は他国に強く依存しており、主な貿易相手国はオランダ、アメリカ合衆国カリブ海諸国である。
鉱業

スリナムの経済は強く鉱業に依存している。総輸出額に占める鉱物資源の割合は2000年時点で8割に達した。輸出の上位4品目はボーキサイトを精製したアルミナ (62.1%)、金 (11.4%)、魚介類、原油 (4.3%)である。

2007年時点の採掘量は、ボーキサイト(500万トン)、アルミナ(220万トン)、金 (11トン)、原油(日量15千バレル)。
交通

道路網は沿岸部とその隣接地に向かって東西に伸びている。南北を結ぶおもな手段は川である。内陸部へは水路または空路により結ばれている。空路はヨハン・ペンゲル国際空港(ザンデリー国際空港)から利用され、ガイアナ仏領ギアナ両国との間はフェリーによって結ばれている。

自動車の通行区分は日本などと同じ左側通行である。南アメリカでは他に隣国のガイアナと英領フォークランド諸島が左側通行を採用している。

鉄道は、過去に使用されていたものは存在するが、現在運用されている鉄道路線は存在しない。


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