スラグ
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(5) 環境安全品質を保証するための合理的な検査体系:試料採取から結果判定までの一連の検査は、環境安全品質基準への適合を確認するための「環境安全形式検査」と、環境安全品質を製造ロット単位で速やかに保証するための「環境安全受渡検査」とで構成し、それぞれ信頼できる主体が実施する。
鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン

鐵鋼スラグ協会は鉄鋼スラグ製品の管理すべきことをガイドラインを2005年に制定し改正を行っており、目次や要旨を以下に示す[10]

1. 目的

2. 適用範囲

3. 各会員の責務

4. 鉄鋼スラグ製品の品質管理

(1)備えるべき環境安全品質

(2)前項の環境安全品質以外の品質規格等

(3)出荷検査

鉄鋼スラグ製品の環境安全品質に係る分析検査は、製造・販売者とは別法人のJIS Q 17025若しくはJIS Q 17050-1及びJIS Q 17050-2に適合している試験事業者、または環境計量証明事業者として登録されている分析機関により、製造ロット毎に、最低でも1ヵ月に1回以上行わなければならない。その結果に係る記録については、少なくとも10年以上の保管期限を定めて保管されなければならない。なお、本ガイドラインにおいての環境計量証明事業者とは、計量法に基づく計量証明の事業区分が「又は土壌中の物質の濃度に係わる事業」の登録を受けた者とする。



5.鉄鋼スラグ製品の販売管理

5-1. 受注前

スラグ製品の販売において、販売先に対し、名目の如何を問わず販売代金以上の金品を支払ってはならない。


5-2. 受注・納入

5-3. 鉄鋼スラグ製品の運送

5-4. 施工中の調査

施工中の調査結果を記録に留め、少なくとも10年以上の保管期限を定め保管しなければならない。



6. 施工後の調査

施工後の調査を、必要な期間、必要な頻度で行い、調査結果を記録に留め、少なくとも10年以上の保管期限を定め保管しなければならない。


7. 行政・住民等からの指摘・苦情等が発せられたとき及びその懸念が生じたときの対応

住民等からの指摘・苦情等が発せられたとき、またはその懸念が生じたときは、その原因が鉄鋼スラグ製品に起因するか否かを問わず、各会員は、需要家と協力して速やかに原因究明にあたるとともに、鉄鋼スラグ製品に起因する場合は、需要家と、必要に応じて行政・住民等と協議の上適切な対策をとることとし、需要家その他の関係者の行為に起因する場合には、必要に応じ当該関係者に注意喚起を行い、必要に応じて行政庁と協議することとする。


8. マニュアルの整備と運用遵守状況の点検及び是正措置

9. 鐵鋼スラグ協会への報告

10. ガイドラインの定期的な点検・整備

別紙1 使用場所 ・用途に応じた鉄鋼スラグ製品に適用する環境安全品質基準  他

別添1 産業廃棄物処理業者に処理を委託する鉄鋼スラグ等の管理指針


スラグの問題点対象リサイクル材の発生要因、適用法令(国土交通省)

国土交通省は、銅スラグやフェロニッケルスラグ等の非鉄スラグについて、適用法令は産業廃棄物鉱さい)としている。また、万が一管理不十分のため異物や材料基準に合致しないものの混入が認められた場合は廃棄物と見なされる[11]

スラグは重金属が含まれている場合があるため、再利用の用途によっては重金属含有量の把握が必要である。例えば、建材試験センター規格の土工用製鋼スラグ砕石(JSTM H 8001)では、六価クロムセレンフッ素ホウ素の溶出量基準と含有量基準が設けられている。スラグから重金属を取り除く技術も開発されてきている。

1974年(昭和49年)度において有害物質を含む可能性のある鉱さいを排出した事業所は、全国に532事業所あり、その排出量は300万トンで、これらの鉱さいの処分状況について見ると、排出量の62%が埋立処分されていた[12]

1975年(昭和50年)夏、重クロム酸ソーダ等6価クロム化合物の製造に伴って生じる6価クロム鉱さい埋立地周辺の環境汚染社会問題となった[13]

1978年(昭和53年)1月の伊豆大島近海の地震に伴い伊豆半島所在の鉱山のたい積場が崩壊し、鉱さいが流出し、河川を汚染する等の事故が発生した[14]

アメリカ合衆国オクラホマ州ピチャーは、および亜鉛の町で、鉱山稼働中にスラグの山が町中に作られたが、1967年の鉱山閉山後も有毒金属を含むスラグの山はそのまま放置され、住民、特に子供たちの健康被害の原因の一つ[注釈 1]となった。最終的に、この健康被害が一因[注釈 2]となって2009年9月にピチャーの町は行政サービスが廃止され[15]2013年11月に正式に自治体としても廃止された[16]。2015年に最後の住民が死去し、現在はゴーストタウンとなっている。

鉄鋼スラグ


近代製鉄で発生する鉄鋼スラグは、カルシウムを大量に含有するために強い塩基性アルカリ性)を示す。そのためにスラグを砕石として散布するなどのむき出しのままで使用する用途には適さない。強い皮膚刺激のために取り扱いには手袋が必須である。住宅地などで鉄鋼スラグがそのままの状態で使用され過去に問題となったことがある[17][18]

吸水して膨張する性質があり、盛り土に使った群馬県の民家のケースでは、地盤が盛り上がって床が歪むなどの被害も出ている[19]
日向製錬所と後背地の鉱さい堆積場(宮崎県

2016年(平成28年)群馬県榛東村の大規模太陽光発電所(事業主:ソフトバンクグループのSBエナジー)の敷地に土壌環境基準を超える大同特殊鋼渋川工場から排出された鉄鋼スラグが使われ、村が撤去を検討していることが分かった[20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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