スマウグは、谷間の国の方言 Tragu の訳として当てられた名前であり、北方語やホビットの方言に見られる trah- という語幹に関連している[3]。スメアゴル (Smeagol/Trahald) とも関連があるとされている。トールキンによると、スマウグの名前はゲルマン祖語の動詞 smugan (「穴に押し込む」の意)の過去形である。
なお、『フォーブス』誌が企画する「フィクション版世界長者番付(英語版)」(各フィクションのキャラクターが現代社会に実在すると仮定して、どれくらいの富を築いているかを推測したもの)では、幾度となく上位にランクインしており、2012年版において、推定資産総額620億ドルで1位を獲得している。[4] その出自は、竜族の根城として知られる「ヒースのかれ野」にあるとされる。第三紀に谷間の町を荒廃させ、はなれ山(エレボール)とそのすべての宝を奪った。彼は「怒りの戦い」を生き延びた個体ではなく後代に生まれたものと思しい(スマウグ本人がはなれ山襲撃時の自身のことをまだひ弱な若竜であったと発言している)。[5] 火竜の例に漏れず炎と水蒸気を口と鼻から吐くことができ[6]、「火柱」になって飛んだり発光したりしていると思わしき描写もある。高い知能を持っており人語を解し、話すことができる。ビルボの「運の良い数字」「樽に乗ってきた」という僅かな発言から、「一行が14人であること」「湖の町の人間の関与」などに気付くほど、頭の回転が速い。その上有翼であるため空を飛ぶことも可能である。視覚・聴覚・嗅覚にも優れており、寝床にある全ての宝の有無を瞬時に把握したり、眠っていても己の棲家に近づくものの足音を聞きつけたり、人間やエルフ、ドワーフを匂いで識別することができる。しかし未知の存在であったホビットの匂いはわからなかったため、このことが後にビルボ・バギンズに幸いする。 スマウグは中央の広間に宝を積み上げ、その上で長の年月を眠って過ごしていた。その間に竜族特有の弱点である柔らかい腹に、数多の金銀宝石がこびり付いたことで、作中でダイヤのチョッキと呼ばれるような代物で腹を鎧っていた。しかしこのチョッキには左胸の部分に綻びがあり、スマウグ自身はそのことに気付いていなかった。 かれの宝の中にはアーケン石やミスリルの胴着、大王ブラードルシンの軍隊の為に拵えた、柄に黄金細工が施された数多の業物の槍、そしてスロール
人物
スマウグの鱗を傷つけることは通常では不可能だが、ビルボがスマウグと対峙したとき、ビルボが竜の弱点である腹の部分について触れておだてたため、そのおだてに乗ってしまったスマウグが自らのチョッキを自慢気に見せびらかせた際に、綻びがあることも見せてしまった。この事をビルボが仲間のドワーフに話したとき、山の秘密の入口から入ってきたツグミがこの話を聞いていた。このツグミが今度は湖の町エスガロスのバルドにこの話を伝えスマウグがエスガロスを襲撃したときに、バルドの家に代々伝わる不壊の決して的を過たない黒い矢を弱点の綻びに受けて命を落とした。
スマウグの死後、トーリンたちははなれ山の宝の所有権を主張した。このため、スマウグに受けた損害の賠償として宝の一部を要求したバルドや闇の森のエルフの王スランドゥイルとの間に軋轢が生じた。トーリンは宝の山分けを拒み、両者に宣戦を布告した。この衝突はついには五軍の合戦へと発展する。
スマウグの死を境に、中つ国における火龍族の歴史は幕を閉じ史上に記録されないほどに減少したと思われるが、『指輪物語』でのガンダルフの発言[7]や、トールキンの書簡144[8]を見るに、力の指輪を焼き尽くせるような古い強力な火を体内に宿した個体が今やもういないというだけで、龍族そのものは絶滅はしていないのではないかと考えられる。
『指輪物語』では、ガンダルフはスマウグが倒されたのは幸運だったと言っている。この大龍がサウロンに利用されていれば、後の戦局の結果が大きく変わったであろうとされているからである。
演じる人物ホビット 竜に奪われた王国のワールドプレミアで展示されたスマウグの肖像(ベルリンにて)
2012-14年にかけて公開されるピーター・ジャクソン監督の「ホビット」では英国人俳優のベネディクト・カンバーバッチが声とモーションキャプチャーでの動きを演じる。西洋のドラゴンの他にも、東洋竜など世界中の様々な竜伝説からヒントを得て製作されている。非常に威圧的な形容を持ち、一つの指輪で透明になったビルボを言葉だけで強制的に指輪を外させるなど、原作とは異なる展開を見せる。 実写映像作品では全長130mまたは「ボーイング747の2倍 (140?152mほど)」[9]、片方の翼にボーイング747が収まるとされている[10]。
映像作品