参加に対して報酬を得られるかどうかによって、スポーツ選手はアマチュアスポーツとプロフェッショナルスポーツの2つに分けられる。また、報酬を得ているもののそれのみで生計を立てられないセミプロの選手も存在する。
アマチュアとして一般市民が余暇の1つとして行うスポーツは多岐にわたっており、市民チームやクラブは無数に存在するほか、市民マラソンのように一般市民が参加できる個人競技大会も存在する。競技スポーツだけでなく、健康のために個人で行うスポーツの参加者も多く、ジョギングやエアロビクスなどの流行と隆盛をもたらした[28]。世界最大のスポーツ大会であるオリンピックは、創設者のクーベルタン以降長らくアマチュアリズムの理想を掲げており、アマチュアしか出場することができなかった[29]。なかでも第5代国際オリンピック委員会(IOC)会長だったアベリー・ブランデージは強硬なアマチュア論者として知られ、プロの排除を厳格に遂行したが、この頃にはソヴィエト連邦をはじめとする共産圏諸国が国家の威信をかけて育成した、いわゆる「ステート・アマ」の進出が進んでおり、この方針は多くの摩擦を引き起こした[30]。こうしたことからブランデージ退任後の1974年にこの方針は削除され、以後プロの進出が急速に進んだ[31]。
これに対し、一部の人気のあるスポーツにおいては優秀なプレイヤーがプロフェッショナル化し、スポーツ参加のみで生計を立てることができるようになっている。各国において人気のあるスポーツは異なるため、プロ化しているスポーツも国ごとに異なっている。人気に高いスポーツには多くの観客が集まり、さらにマスメディアによって放映される試合には膨大な数の視聴者を見込むことができる[32]ため、一部のプロスポーツでは莫大な金額が動き、トッププレイヤーは高額な報酬を得ることができる。スポーツ選手としての収入のほか、トッププレイヤーはコマーシャルの出演によっても多額の収入を得られる場合がある[33]。こうしたことから、世界の年収ランキングにおいては数人のトップ選手がランクインすることが常である[34]。 スポーツは参加者・ファンともに膨大な人口がいるため、スポーツに関連した産業も巨大なものとなっている。 スポーツ用品産業には各種スポーツに専用の道具を生産するものだけでなく、例えば各チームのユニフォームや、スポーツ用シューズの生産なども含まれる。こうしたスポーツ用品は参加者のほか、お気に入りの選手と同じ商品を求めるファンや、機能やデザインを気に入った一般市民をも販売対象としている[35]。 メディア産業において、スポーツは重要な地位を占めている。プロスポーツの試合や世界大会のスポーツ中継には膨大な数の視聴者がおり、その広告収入を見込んで有力スポーツのイベントには莫大な放映権料が提示される。放映権料のほかに、スポーツイベントにおいては有力企業がスポンサーシップ
スポーツ産業
登山やスキー、水上スポーツなど一部のスポーツは特定の場所でしか行うことができないため、スポーツを行うことを目的としたスポーツツーリズムも盛んに行われている。特に冬季にはアルプス山脈地方を中心に多くの観光客がスキーリゾートを訪れ、スキー客数は増加の一途をたどっている[39]。また、大規模なスポーツイベントを観戦するための旅行や、スポーツチームが合宿や遠征を行うための旅行もスポーツツーリズムの小さくない部分を占める[40]。スポーツツーリズムは該当地域の経済に好影響を与える一方で、環境や文化の破壊などの問題をもたらす場合もある[41]。
スポーツと賭博の間の関係は国によってさまざまである。2009年には、世界の商業賭博総額3350億ドルの内、競馬が7%、スポーツくじが5%を占めていた[42]。ただしスポーツ賭博を完全に禁じている国も珍しくなく、さらに同じ国内においてもスポーツ賭博の対象として認められている競技と、一切禁じている競技とが存在する。日本では戦前から認められていた競馬[43]に加え、1948年から1951年にかけて競艇[44]、競輪[45]、オートレース[46]が相次いで公営競技化されたほか、2001年からはサッカーを対象にスポーツ振興くじが発売されている。