これに対し、一部の人気のあるスポーツにおいては優秀なプレイヤーがプロフェッショナル化し、スポーツ参加のみで生計を立てることができるようになっている。各国において人気のあるスポーツは異なるため、プロ化しているスポーツも国ごとに異なっている。人気に高いスポーツには多くの観客が集まり、さらにマスメディアによって放映される試合には膨大な数の視聴者を見込むことができる[32]ため、一部のプロスポーツでは莫大な金額が動き、トッププレイヤーは高額な報酬を得ることができる。スポーツ選手としての収入のほか、トッププレイヤーはコマーシャルの出演によっても多額の収入を得られる場合がある[33]。こうしたことから、世界の年収ランキングにおいては数人のトップ選手がランクインすることが常である[34]。 スポーツは参加者・ファンともに膨大な人口がいるため、スポーツに関連した産業も巨大なものとなっている。 スポーツ用品産業には各種スポーツに専用の道具を生産するものだけでなく、例えば各チームのユニフォームや、スポーツ用シューズの生産なども含まれる。こうしたスポーツ用品は参加者のほか、お気に入りの選手と同じ商品を求めるファンや、機能やデザインを気に入った一般市民をも販売対象としている[35]。 メディア産業において、スポーツは重要な地位を占めている。プロスポーツの試合や世界大会のスポーツ中継には膨大な数の視聴者がおり、その広告収入を見込んで有力スポーツのイベントには莫大な放映権料が提示される。放映権料のほかに、スポーツイベントにおいては有力企業がスポンサーシップ
スポーツ産業
登山やスキー、水上スポーツなど一部のスポーツは特定の場所でしか行うことができないため、スポーツを行うことを目的としたスポーツツーリズムも盛んに行われている。特に冬季にはアルプス山脈地方を中心に多くの観光客がスキーリゾートを訪れ、スキー客数は増加の一途をたどっている[39]。また、大規模なスポーツイベントを観戦するための旅行や、スポーツチームが合宿や遠征を行うための旅行もスポーツツーリズムの小さくない部分を占める[40]。スポーツツーリズムは該当地域の経済に好影響を与える一方で、環境や文化の破壊などの問題をもたらす場合もある[41]。
スポーツと賭博の間の関係は国によってさまざまである。2009年には、世界の商業賭博総額3350億ドルの内、競馬が7%、スポーツくじが5%を占めていた[42]。ただしスポーツ賭博を完全に禁じている国も珍しくなく、さらに同じ国内においてもスポーツ賭博の対象として認められている競技と、一切禁じている競技とが存在する。日本では戦前から認められていた競馬[43]に加え、1948年から1951年にかけて競艇[44]、競輪[45]、オートレース[46]が相次いで公営競技化されたほか、2001年からはサッカーを対象にスポーツ振興くじが発売されている。 19世紀以降、いくつかのスポーツは発祥地から遠隔地の諸国へと広がり、世界的な広がりを持つようになった[47]。スポーツはルールの共有や整備を通じて、発祥地の文化を越えて普遍的な方向へと進む傾向があるが、一方で元々それを固有文化としていた地域においては、固有性と普遍性の間で衝突が起きる場合がある[14]。それぞれの競技には国際的な統括団体として国際競技連盟が存在しており、各国の国内競技連盟間の調整や国際大会の主催、各国間の相互交流などを行っている。ただし競技が行われる地域はそれぞれ異なっており、サッカーのように比較的偏りなく全世界で行われるスポーツもあれば、北米・カリブ海・極東に競技者の集中している野球や、イギリス連邦諸国で主に行われるクリケットやラグビーのように一部地域で強い人気を持つものもある。こうした国際的な人気スポーツに対し、ある1カ国や1民族で長く行われている民族スポーツも世界各地に存在し、根強い人気を誇っている[48]。 スポーツとナショナリズムの間には、すでに19世紀において強い相関が認められ[49]、21世紀においても各種国際大会の勝敗は各国のナショナリズムの高揚をもたらす[50]。
グローバリゼーション・ナショナリズム