惑星Eから追放された悪の天才科学者・宇宙猿人ゴリは地球に到達した。美しい地球に魅せられるゴリだったが、公害による地球汚染を見て憤激、自分が人間にとって代わって地球の支配者になろうと考える。彼は公害などを利用して次々と侵略怪獣を送り出すが、ネビュラ71遊星の指令で地球に派遣されたエージェント、スペクトルマンがその前に立ちはだかる。 諸元スペクトルマン 指令衛星ネビュラ71からゴリ追跡・地球防衛の任を課せられた、未開発遊星の保護を目的とする宇宙連合に所属する、ネビュラ遊星のサイボーグ・エージェント[2]。地球への派遣に際し、地球人に模した姿が与えられている。 普段は蒲生譲二(がもう じょうじ)と名乗り、政府機関である公害調査局第8分室・通称「公害Gメン」(後に再編成され、「怪獣Gメン」となった)に所属している[2]。怪獣と戦う時は変身し、直線で構成された金色の頭部、胴体を覆う硬質皮革風プロテクター、金色の腕・脚を覆うスーツにブーツ・グローブ、シンボルマークを中央にすえたベルトの装着といった、独特の姿を持つヒーローと化す。この変身は蒲生の身体自体の変形ではなく、ネビュラの承認を受けて照射された光線を浴びることにより、転送されたマスクやスーツなどの装備が蒲生の全身に包まれ、装着・変身するというものである。第2話では、変身が解除されて昏倒している蒲生のかたわらに転がっているスペクトルマンの頭部を、ラーが分析のために持ち去る描写があり、この頭部がスペクトルマン自体の顔でなくマスクであることがわかる[17]。このことからも、スペクトルマンの容姿があくまでも正体隠蔽、かつ戦闘用のための装備を装着した姿であることがうかがえる(このマスクは、ネビュラ側でゴリのもとから即刻奪還されている)。しかし、この設定は次第に曖昧な描写への変化を経て、最終的にスペクトルマンは蒲生の身体が変化?変身した姿という雰囲気が作られていく。ただし、ゴリ討伐の任務を完遂して遊星へ帰還次第、蒲生としての容姿は抹消され、二度と彼の姿に戻ることは不可能となるらしい(最終回で蒲生が「この顔ともお別れか…」と呟く台詞による)。そのため、本来のネビュラ人サイボーグ・エージェントとしての「スペクトルマン」がスペクトルマンのままの姿なのか、またはまったく別の容姿を持つのかは明確に描かれていない。 地球人にとっては「スペクトルマン」とは、一貫してあくまでも変身体のことを指すが、ネビュラ71にとっては変身体も蒲生譲二の状態も一貫して「スペクトルマン」であり、常にそう呼ばれる。 あくまでも極秘の地球滞在での防衛活動のため、地球人にもゴリ側にも正体は絶対秘密であり、第1話ではネビュラに「正体が知られたら解体する」と厳命されている。しかし実際のところ、第62話でラーに知られた際(ラー配下のサイボーグに「痺れガス」を浴びせられたのにまったく反応しなかったことから判明)や、最終話で木戸口二郎や倉田室長に正体を知られても、ネビュラから実際に処罰されることはなかった。 変身に際して特にアイテムを用いることはないが、独断での変身はできず、ネビュラからの許可をもらったうえでそこからの光線照射が必要である。一般的には右腕を斜め前方に突き出し、上空に見えるネビュラに変身許可を求めて承認を受けるか、逆にネビュラからの変身指令によって変身する。なお、ネビュラを目視できない場合の変身は不可能である。変身後は自在に(場合によってはこれもネビュラの指示により)巨大化できる。第20話では富士山よりも巨大化し、数個のガスタンクを火口に投げ込むという荒技を披露した[18]。これは巨大化の限界に達してエネルギーが激しく消耗し、しばらく戦闘不能になる。 怪獣に苦戦して引き分けるか、あるいは一度もしくは数度にわたり敗北するケースも多く、1エピソードの2話中に数回にわたって1体の怪獣と対戦し、やっと倒せることが多い。また、必殺技がスペクトルマンの体力を著しく消耗させ、怪獣を倒しても倒せなくても倒れ込んで行動不能になることが多い。
ヒーローとしてのスペクトルマン
身長0-∞
体重0-∞
飛行速度マッハ8
アクション
ファイティングポーズは指を握らず手刀を基調としており、片腕は前方、もう片腕は顔面に構え、両足を内股気味に閉じた独特のポーズで立つ。これは、スーツアクターの上西弘次が以前演じていたウルトラセブンとの差別化のためだという[17]。
格闘戦のアクションにおいても、常に内股気味で立ち回る。
チョップ攻撃を多用する。
豪快な投げ技もまれに披露することもあるが、怪獣に力負けして苦戦に陥り苦し紛れに必殺技を放つパターンであり、格闘戦は苦手と言える。
格闘戦で苦戦すると、苦し紛れに大木やパイプラインなどを拾い上げ、武器として振り回して使用することが多々ある。
第1話は極端に製作期間が短かったため、初戦闘シーンは飛び人形のみで描いている[2]。
武装
ネビュラスライス
前腕部のノコギリ型のヒレ状突起を起立させ、刃物として使用する。怪獣の急所を切断するなどで倒す決め技として使用したこともあるが、基本的には格闘戦で相手にダメージを与えるにとどまる使われ方が多い。
ネビュラギムレット
前腕部のノコギリ型のヒレ状突起を高速回転させてドリルとし、主に地中に潜るのに使われる技。攻撃に使われることもある。
スペクトルカッター[17]
第13話にて初使用。ベルトのスペクトルバックルから取り出される色鮮やかな手裏剣。普段は蒲生のデスクに納められている。スペクトルフラッシュとの連接技として使用することが多い。ネオヘドロンにはまったく通用しないなど戦果は芳しくないが、ズノウ星人戦では効果があり、スペクトルフラッシュとの連接技でこれを葬った。また、第43話では太陽マスクに操られた生身の子供たちに使用し、これを鎮圧している。
スペクトルビッグバックル[17]
第51話にて初使用。ベルトのスペクトルバックルが巨大化し、切断武器としての威力を発揮する。一峰大二の漫画版では、テレビ版より先に登場している。
スペクトルガン
第26話のみ使用。サタンキングに完敗したスペクトルマンにネビュラから転送された超兵器。ミサイルの数百倍もの破壊力を発揮するため、市街地での使用で住人に多大な被害を与えることを懸念したスペクトルマンは、山中における射撃訓練を行ったうえでの実戦を余儀なくされた。
スペクトルガンの元になったのはMP40の市販モデルガンで、銃身、ストックおよび弾倉を装着せず、全体を銀色に塗装したプロップが製作されて使用されている。
剣と盾
第22話のみの使用。ズノウ星人が乗り移ったことで戦闘力がアップしたギラギンドに対し、素手で対処不可能になったスペクトルマンのもとにネビュラより突然転送されてきた。盾はギラギンドのドリルで破壊されたものの、最後は剣で首をはね、これを倒した。
必殺技
体当たり技
第2話でヘドロンを倒した技。高速飛行しながら、文字通り敵に体当たりする。
七色の光線(一部の書籍[要文献特定詳細情報]、および劇中のテレビ局アナウンサー[注釈 2]による命名では「スペクトル光線」)
第4話でスペクトルフラッシュの使用が許可されるまで多用された技。ミドロンには決め技として使用し、爆発させずに溶解を経て白骨化させた。
スペクトルフラッシュ
エネルギー光線を指先から照射して敵を爆発させる、スペクトルマンの代表的な必殺技。発射パターンがいくつかある。初期は手をクロスさせて、上記の七色の光線と同様の光線を両手から放っていたが、中期以降は手を合掌し、指先からレーザー状の光線を放っていた。第4話でゼロンに苦戦するスペクトルマンに対し、ようやく使用許可が降りた。最大威力で発射すると力尽きて倒れてしまうため、「失敗すれば命はない」とネビュラに宣告されるほどである。放送当時の雑誌の記事には1発で全エネルギーの90%を消費すると紹介されていたが、2クール辺りから作風が変わったため、フラッシュを放った後でも力尽きて倒れなかったり、連続で発射も可能になった。第62話では、構えに入ってから発射するまでの時間が2.5秒であり、この間のスペクトルマンは無防備になることをゴリに見抜かれてしまう。そこで、2.48秒でフラッシュを発射できるディサイトマンとの戦いでは、ジャンプして回転しながらフラッシュを発射した。結果は、ディサイトマンと同タイムの2.48秒で発射したために命中し、相打ちとならず倒すことに成功する。
スペクトルサンダー
全身から超高熱を発して相手を吹き飛ばす技。劇中ではネオヘドロンを倒した稲妻状の光線や、シルバーロボを倒した頭部から発射する絶対零度の冷凍ガス、などバリエーションがある。こちらもエネルギーの消費が激しく、使用後はスペクトルフラッシュ同様に力尽きてその場に倒れ伏してしまうことが多い。
スペクトルエース
第52話で、マウントドラゴンに対して使用された光線技。怪獣が人間(Gメンの太田隊員)を飲み込んでいるため、これを照射して怪獣を静止させた。