スペイン
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スペイン料理の特徴として素材を生かした調理があり、地方にはそれぞれの地域の特産品を生かした独特の料理がある[61][62]。イベリア半島は「ヨーロッパの尾」「アフリカの頭」と言われ、古来から異なる民族・文化・宗教が交差しており、スペインの食文化はイベリア半島の歴史的背景の影響を受けている[63]。スペインは地方によって気候や風土、文化、習慣が異なるため、食材やその調理方法は様々で、事実上スペイン料理として一括りにはできない。スペイン料理の地域差を表した言い回しに「スペインのどこに行ってもあるものはワインオルチャータ、クァハダ(素焼きの壺に入れられたヨーグルト)だけ」というものがある[64]。「北では煮込み、中部では焼きもの、南部ではフライ」と、地域ごとの調理法の違いを表した言葉もある[65]。全ての地方料理に共通する事項としては、オリーブオイルが使用されることが挙げられる[66]。2010年にはスペイン料理が、イタリア料理ギリシア料理モロッコ料理とともに「地中海の食事」としてユネスコ無形文化遺産に登録された。
文学ドン・キホーテ』の著者ミゲル・デ・セルバンテス詳細は「スペイン文学」を参照

12世紀中盤から13世紀初頭までに書かれた『わがシッドの歌』はスペイン最古の叙事詩と呼ばれている。

スペイン文学においては、特に著名な作家として世界初の近代小説と呼ばれる『ドン・キホーテ』の著者ミゲル・デ・セルバンテスが挙げられる。

1492年から1681年までのスペイン黄金世紀の間には、スペインの政治を支配した強固にカトリック的なイデオロギーに文学も影響を受けた。この時代には修道士詩人サン・フアン・デ・ラ・クルス神秘主義や、ホルヘ・デ・モンテマヨールの『ラ・ディアナの七つの書』(1559) に起源を持つ牧歌小説、マテオ・アレマンの『グスマン・デ・アルファラーチェ』(1599年, 1602年) を頂点とするピカレスク小説、『国王こそ無二の判官』(1635年) のロペ・デ・ベガ、『セビーリャの色事師と石の招客』(1625年) のティルソ・デ・モリーナなどの演劇が生まれた。

近代に入ると、1898年の米西戦争の敗戦をきっかけに自国の後進性を直視した98年世代と呼ばれる一群の知識人が現れ、哲学者のミゲル・デ・ウナムーノオルテガ・イ・ガセット、小説家のアンヘル・ガニベー、詩人のフアン・ラモン・ヒメネス(1956年ノーベル文学賞受賞)やアントニオ・マチャードなどが活躍した。

スペイン内戦の時代には内戦中に銃殺された詩人フェデリコ・ガルシア・ロルカなどが活躍し、内戦後にフランコ独裁体制が成立すると多くの文学者が国外に亡命して創作を続けた。フランコ体制期にはラモン・センデールやカルメン・ラフォレ、フアン・ゴイティソーロミゲル・デリーベスらがスペイン内外で活躍した。

1974年にはスペイン語圏の優れた作家に対して贈られる文学賞としてセルバンテス賞が創設された。民主化以後の1989年にはカミーロ・ホセ・セラがノーベル文学賞を受賞している。
哲学ホセ・オルテガ・イ・ガセット。20世紀の精神に多大な影響を与えた『大衆の反逆』(1929年)で知られる。

古代ローマ時代に活躍したストア派哲学者の小セネカはコルドバ出身だった。中世において、イスラーム勢力支配下のアル=アンダルスでは学芸が栄え、イブン・スィーナー(アウィケンナ)などによるイスラーム哲学が流入し、12世紀のコルドバではアリストテレス派のイブン・ルシュド(アウェロエス)が活躍した。その他にも中世最大のユダヤ哲学者マイモニデスもコルドバの生まれだった。コルドバにもたらされたイブン・スィーナーやイブン・ルシュドのイスラーム哲学思想は、キリスト教徒の留学生によってアラビア語からラテン語に翻訳され、彼等によってもたらされたアリストテレス哲学はスコラ学に大きな影響を与えた。

16世紀にはフランシスコ・デ・ビトリアドミンゴ・デ・ソトらのカトリック神学者によってサラマンカ学派が形成され、17世紀オランダのフーゴー・グローティウスに先んじて国際法の基礎を築いた。17世紀から18世紀にかけては強固なカトリックイデオロギーの下、フェイホー(スペイン語版、英語版)やホベジャーノス(スペイン語版、英語版)などの例外を除いてスペインの思想界は旧態依然としたスコラ哲学に覆われた。19世紀後半に入るとドイツ観念論のクラウゼ (Krause) 哲学が影響力を持ち、フリアン・サンス・デル・リオと弟子のフランシスコ・ヒネル・デ・ロス・リオスを中心にクラウゼ哲学がスペインに受容された。

20世紀の哲学者としては、「98年の世代」のキルケゴールに影響を受けた実存主義ミゲル・デ・ウナムーノや、同じく「98年の世代」の『大衆の反逆』(1929年)で知られるホセ・オルテガ・イ・ガセット形而上学の再構築を目指したハビエル・スビリの名が挙げられる。「スペインの哲学(英語版)」も参照
音楽マヌエル・デ・ファリャ詳細は「スペインの音楽」を参照

クラシック音楽においては声楽が発達しており、著名な歌手としてアルフレード・クラウスプラシド・ドミンゴホセ・カレーラスモンセラート・カバリェテレサ・ベルガンサなどの名を挙げることができる。クラシック・ギターも盛んであり、『アランフエス協奏曲』を残した作曲家のホアキン・ロドリーゴや、ギター奏者のセレドニオ・ロメロペペ・ロメロアンヘル・ロメロ一家、マリア・エステル・グスマンなどが活躍している。

その他にも特筆されるべきピアニストとしてアリシア・デ・ラローチャとホアキン・アチュカーロの名が挙げられる。

クラシック音楽史に名を残す作曲家としては、バロック音楽ではイタリア出身でスペイン王家に仕えたドメニコ・スカルラッティ近代音楽ではスペインの民謡や民話をモチーフとして利用したマヌエル・デ・ファリャ(特にピアノと管弦楽のための『スペインの庭の夜』、バレエ三角帽子』、同『恋は魔術師』が有名)をはじめ、エンリケ・グラナドスイサーク・アルベニス現代音楽ではホセ・マヌエル・ロペス・ロペスなどがいる。


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