強母音 + 強母音の連続は母音接続で、二重母音とはならず、leer のように同じ強母音字が連続する場合を含め[注釈 9]、別の音節として発音する。また、弱母音字でもアセント (acento)[注釈 10]がある場合 (i, u) は強母音として扱う。
後述するように gue, gui, que, qui の u は黙字であり、二重母音の一部ではない。quiero のようにさらに母音字が続く場合は、黙字の u を無視したうえで、上記の規則に従う。ディエレシス(分音記号、クレマ)がある gue, gui の ue, ui は二重母音である。 スペイン語のアクセントは強勢アクセントである。 子音字 b, ch, d, f, m, n, p, r, s, y はローマ字の日本語読みとほぼ同様の感覚で単語を読むことができる。一方、c, g, h, j, l (ll), q, v, x, z はローマ字読みとかならずしも一致しない。子音の発音には地域差があり、ここで示したのは比較的広く用いられているものである。
アクセント
アセント (´)[注釈 10]がある語は、その音節に強勢がある。
アセントがない語の場合、
語末が母音か n, s のときは、最後から2番目の音節に強勢がある (grave, llana, paroxitona)。
語末が n, s 以外の子音(y を含む)ときは、最終音節に強勢がある (aguda, oxitona)。
語尾が -mente の副詞では、-mente を取り去った語に上記規則に従って第一強勢が、-mente の -men- に第二強勢(第一強勢より弱い)がある。例: ultimamente (ultima-) [?ultima?mente], solamente (sola-) [?sola?mente], igualmente (igual-) [i??wal?mente]
子音
/b/: b、v は同じ発音で、どちらもバ行音 /b/で発音される。
ただし、イタリア系移民の多いアルゼンチンの一部などでは v を [v]で発音することがある。
発声の始めと [m] の後では通常のバ行音 [b]。
それ以外の位置では摩擦音化し、[β][13]。
[s] の前では発音しないことがある[13]。
/k/: ca, co, cu, que, qui, および音節末の c はカ行音 [k]。
que, qui は「ケ」「キ」と発音し、「クエ」「クイ」にはならない。u を発音するためには cue, cui とつづる。
/θ/: ce, ci, za, zo, zu, および音節末の z は、スペインの標準語では [θ]。英語の無声の th 音よりも摩擦が強い[13]。スペイン南部や中南米ではセセオにより s との区別が失われ、通常のサ行音 [s]。
ze、ziのつづりはほとんど使わない[14]。
これらの音は、15世紀以前はツァ行音 [ts] で発音していた。
ch: チャ行音 [?]。
カリブ諸国などではチャ行音よりもシャ行音に近い発音になることがある。
d: ダ行音 /d/。
発声の始めと [l], [n] の後では通常のダ行音 [d]。
それ以外の位置では摩擦音化し、[d]。
語末では [d]、さらに無声化し [θ] となるか、ほとんど発音しないことがある。
f: ファ行音 [f]。
/g/: ga, go, gu, および音節末の g はガ行音 /g/。
発声の始めと [?] の後では通常のガ行音 [g]。
それ以外の位置では摩擦音化し、[?] [13]。
gue, gui は「ゲ」「ギ」と発音し、「グエ」「グイ」にはならない。u を発音するためにはディエレシスを使用し、gue, gui とつづる。
/x/: ge, gi, および j は [x]。ハ行音、ドイツ語の ach laut に近いが、それより少し奥のほうで発音する。
アンダルシア南西部や米国南部では通常のハ行音 [h] で発音することがある。
語末では発音しないことがある[13]。
h: 発音しない(黙字)。
l: 日本語のラ行音に近い [l]。舌先を歯茎に当てたまま息を出す接近音で、英語の clear l に相当する。
ll: 従来はリャ行音に近い [?] が標準的な発音とされていたが、実際には多くの地域でジェイスモにより y との区別が失われ、yと同じくヤ行に近い [?] で発音する。多くの南米大陸の国々では、yとおなじくジャ行音[?] で発音する方が一般的である。
ブエノスアイレス近郊ではシャ行音 [?]。
単語により異なる発音をする人もいる。
m: マ行音 /m/。
語末ではン音 [n][13]。
n: ナ行音 /n/。
[b], [m], [p] の前では [m][13]。
[g], [k], [x] の前では [?][13]。
n: ニャ行音 [?]。
p: パ行音 [p]。
[s], [t] の前では発音しないことがある[13]。
r: ラ行音 [?]。英語やフランス語の一般的なR音[注釈 11]とは異なり、はじき音で、日本語のラ行音にかなり近い。
語頭と [l], [n], [s] の後では後述する巻き舌音 [r]。
rr: 語中でのみ用いる巻き舌音 [r]。
プエルトリコやドミニカ共和国では、j 音 [x] になることがある(ブラジルポルトガル語と同じ変化)。
ペルーやボリビアの一部の地方ではザ行音になることがある。
緑の地域は音節末の「s」を/h/と発音する。紫の地域は/s/のままで発音する。
s: サ行音 [s]。
スペイン南部や中南米の一部では音節末の s をハ行音 [h] で発音するか、ほとんど発音しないことがある。
t: タ行音 [t]。
w: 外来語のみに用いられ、単語によってワ行音 [w]、または [b]。
地域差もあり、ペルーでは常に [w] で発音する傾向がある。
語頭では [gw] になることもある。
x: 本来は [ks] だが、[k] は弱くなるか、発音しないことが多い。
特に子音の前、および語頭では [k] を発音せず、[s]となりやすい[13]。
Mexico [?me?xiko?] のように、一部の固有名詞などでは j 音 [x] で発音する。