スペイン語
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かつてはアラゴン地方(アラゴン語)、カタルーニャ地方(カタルーニャ語)、バレアレス諸島(カタルーニャ語)、バレンシア地方(バレンシア語)、アストゥリアス地方(アストゥリアス語)、レオン地方(レオン語)、ガリシア地方(ガリシア語)の言語がスペイン語(カスティーリャ語)の方言とされた時期もあったが、現在では、カタルーニャ語、バレンシア語、ガリシア語はいずれも独立した言語であると考えられており[注釈 7]、それぞれの地方において公用語とされている。アラゴン語、アストゥリアス語、レオン語もカスティーリャ語から派生した言語ではなく、その他のロマンス語同様、俗ラテン語が変化して今日に至っている言語であり、言語学的には別の言語であるが、カスティーリャ語の方言の扱いを受けることが多いのが現状である。
音韻
音韻対応

語頭にあった f の多くは h になり、その後発音上は消滅[注釈 8]。強勢のある e, o の多くは ie, ue に二重母音化(音割れ)。-ct- の多くは -ch- に変化。-ll- はフランス語の -ill-, イタリア語の -gli- に対応する。cl-, pl- の多くは ll に変化。現在の音素 /θ/ は古くはc /t?s/, z /d?z/ であり、別音素だった。語頭の s + 閉鎖音は前に e が付加(protesis)され、esc-/esqu-, esp-, est- となった。母音間の d は消滅していることが多い。語頭にあるあとに母音が続く i と母音にはさまれた強勢のない i は y に変化した。y は本来半母音だったが、摩擦音で発音されるのが一般的になった。二重母音における /-i/ の音は英語のそれと同じように語頭や語中では -i, 語末では -y とつづる(他のロマンス系言語の多くは y は外来語以外に用いない)。v は古くは /v/ と発音したが、b と同じ /b/ に変化し、その後、借用語において原語の v のつづりを b に置き換える傾向がある。一方、w は v に置き換えられることがある。

スペインで話されているスペイン語とラテンアメリカのスペイン語では、発音、アクセントが若干異なる。それ以外にも、地方により発音に差異が出ることがある。
母音

母音は a, e, i, o, u の5つで、日本語とほぼ同じである。ただし、u は標準日本語の「う」よりも口をすぼめて発音する。

長音、促音は無いが、アクセントのある母音はやや長めに発音されることが多いので日本語話者には長音に聞こえることがある。
二重母音・三重母音

母音のうち a, e, o を強母音、i (語末の y を含む)、u を弱母音とする。強母音 + 弱母音、弱母音 + 強母音、弱母音 + 弱母音の連続は二重母音、弱母音 + 強母音 + 弱母音の連続は三重母音となり、いずれも一音節で発音する。その場合の弱母音は、スペイン語学では音節主音の前の位置にある場合は半子音 (semiconsonante)[8]、音節主音の後ろの場合は半母音 (semivocal)[9]と呼んで区別する。国際音声記号 (IPA) では半子音の i は [j](ヨッド)[10]、u は [w](ワウ)[11]、また半母音はそれぞれ [i?]、[u?] で表記する[12]。弱母音 + 弱母音の場合、音節主音は後の母音である。

強母音 + 強母音の連続は母音接続で、二重母音とはならず、leer のように同じ強母音字が連続する場合を含め[注釈 9]、別の音節として発音する。また、弱母音字でもアセント (acento)[注釈 10]がある場合 (i, u) は強母音として扱う。

後述するように gue, gui, que, qui の u は黙字であり、二重母音の一部ではない。quiero のようにさらに母音字が続く場合は、黙字の u を無視したうえで、上記の規則に従う。ディエレシス(分音記号、クレマ)がある gue, gui の ue, ui は二重母音である。
アクセント

スペイン語のアクセント強勢アクセントである。

アセント (´)[注釈 10]がある語は、その音節に強勢がある。

アセントがない語の場合、

語末が母音か n, s のときは、最後から2番目の音節に強勢がある (grave, llana, paroxitona)。

語末が n, s 以外の子音(y を含む)ときは、最終音節に強勢がある (aguda, oxitona)。


語尾が -mente の副詞では、-mente を取り去った語に上記規則に従って第一強勢が、-mente の -men- に第二強勢(第一強勢より弱い)がある。例: ultimamente (ultima-) [?ultima?mente], solamente (sola-) [?sola?mente], igualmente (igual-) [i??wal?mente]

子音

子音字 b, ch, d, f, m, n, p, r, s, y はローマ字の日本語読みとほぼ同様の感覚で単語を読むことができる。一方、c, g, h, j, l (ll), q, v, x, z はローマ字読みとかならずしも一致しない。子音の発音には地域差があり、ここで示したのは比較的広く用いられているものである。

/b/: b、v は同じ発音で、どちらもバ行音 /b/で発音される。

ただし、イタリア系移民の多いアルゼンチンの一部などでは v を [v]で発音することがある。

発声の始めと [m] の後では通常のバ行音 [b]

それ以外の位置では摩擦音化し、[β][13]

[s] の前では発音しないことがある[13]


/k/: ca, co, cu, que, qui, および音節末の c はカ行音 [k]

que, qui は「ケ」「キ」と発音し、「クエ」「クイ」にはならない。u を発音するためには cue, cui とつづる。


/θ/: ce, ci, za, zo, zu, および音節末の z は、スペインの標準語では [θ]。英語の無声の th 音よりも摩擦が強い[13]。スペイン南部や中南米ではセセオにより s との区別が失われ、通常のサ行音 [s]

ze、ziのつづりはほとんど使わない[14]

これらの音は、15世紀以前はツァ行音 [ts] で発音していた。


ch: チャ行音 [?]

カリブ諸国などではチャ行音よりもシャ行音に近い発音になることがある。


d: ダ行音 /d/。

発声の始めと [l], [n] の後では通常のダ行音 [d]

それ以外の位置では摩擦音化し、[d]

語末では [d]、さらに無声化し [θ] となるか、ほとんど発音しないことがある。


f: ファ行音 [f]

/g/: ga, go, gu, および音節末の g はガ行音 /g/。

発声の始めと [?] の後では通常のガ行音 [g]

それ以外の位置では摩擦音化し、[?] [13]

gue, gui は「ゲ」「ギ」と発音し、「グエ」「グイ」にはならない。u を発音するためにはディエレシスを使用し、gue, gui とつづる。


/x/: ge, gi, および j は [x]。ハ行音、ドイツ語の ach laut に近いが、それより少し奥のほうで発音する。

アンダルシア南西部や米国南部では通常のハ行音 [h] で発音することがある。

語末では発音しないことがある[13]


h: 発音しない(黙字)。

l: 日本語のラ行音に近い [l]。舌先を歯茎に当てたまま息を出す接近音で、英語の clear l に相当する。

ll: 従来はリャ行音に近い [?] が標準的な発音とされていたが、実際には多くの地域でジェイスモにより y との区別が失われ、yと同じくヤ行に近い [?] で発音する。多くの南米大陸の国々では、yとおなじくジャ行音[?] で発音する方が一般的である。

ブエノスアイレス近郊ではシャ行音 [?]

単語により異なる発音をする人もいる。


m: マ行音 /m/。

語末ではン音 [n][13]


n: ナ行音 /n/。

[b], [m], [p] の前では [m][13]


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