スペイン語
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中南米のスペイン語圏諸国をルーツに持つ米国人は「ヒスパニック」、もしくは「ラティーノ」(ラテン系米国人[注釈 5]と呼ばれ、メキシコ領時代から存在していたものの、近年急速にヒスパニック移民が増加した。その結果、米国では事実上の公用語の英語に加え、ヒスパニックの割合の高いカリフォルニア州フロリダ州テキサス州などではスペイン語が第二言語となりつつある。この状況を受けて、英語が母語の米国人の中でもスペイン語を学ぶ人が急増している。

フィリピン1898年までスペイン領であった関係もあり、特に上流階級の間でスペイン語が使われていたが、1986年に公用語から外された。とはいえ、現在でも主にカトリック文化などの関係でスペイン語の単語が多数フィリピン人の日常生活で使われているだけでなく、タガログ語などでスペイン語からの借用語が多くみられるほか、チャバカノ語のようにスペイン語を基にしたクレオール言語も見られる。

マリアナ諸島チャモロ語は、スペインによる征服時に言語的にもスペイン語に圧倒された。スペイン語から非常に多くの借用語を取り入れたのみならず、固有の数詞も放棄し、スペイン語由来の数詞を用いている。

旧スペイン植民地の西サハラやスペインに近いモロッコでも話されている。
スペイン語話者数の推定

セルバンテス文化センターの2017年の報告書 ”El espanol: una lengua viva informe 2017” によると、2017年のスペイン語を母語(第一言語)とする人口は約4億7700万人で、その他に約1億人が第2言語としてスペイン語を習得しており、それらの限られた能力のものを含めると約5億7200万人のスペイン語話者がいる。最大の話者人口を抱えているのがメキシコであり、総話者の4人に1人約1億2千万人がメキシコに在住している。続くコロンビア、アルゼンチン、スペインがそれぞれ総話者人口の約1割の約4千万人の話者がいる[6]。米国(アメリカ合衆国)に関しては、同じセルバンテス文化センターが2015年の報告で5260万人の話者という推定を出しておりこれはメキシコに次ぐ人口である[7]。また米国のヒスパニック人口の3分の2がメキシコ系であり、それらを含めると総話者に占めるメキシコ系話者の比率は3人に1人となる。「アメリカ合衆国の人種構成と使用言語」も参照

スペイン語の話者数(2017年)、西語話者(第一言語または相当)、限定的話者、(百万人)[6]国人口話者率西語
話者限定話者備考
メキシコ123.5296.8%119.573.95スペイン語話者の4人に1人がメキシコ国内のメキシコ人、メキシコ系アメリカ人を含めると総話者に占める比率は3人に1人となる。
コロンビア49.2599.2%48.850.39総話者数の約1割である。
アルゼンチン44.0498.1%43.210.84
米国[注釈 6]325.7013.2%42.9315.08プエルトリコは別計上。セルバンテスの2015年の報告では米国のスペイン語話者は5260万人と推定しており、メキシコに次ぐ第2位の話者数となる[7]
スペイン46.5292.1%42.853.68
ペルー31.8386.6%27.564.26
ベネズエラ31.4397.3%30.580.85
チリ18.1495.9%17.400.74
エクアドル16.7895.7%16.060.07
グアテマラ16.5478.3%12.953.59
キューバ11.4299.7%11.390.03
ボリビア11.1583.0%9.251.89
ドミニカ共和国10.1797.6%9.930.02
ホンジュラス8.8998.5%8.750.12
パラグアイ6.9567.9%4.722.23
エルサルバドル6.3599.7%6.330.00
ニカラグア6.2297.1%6.040.18
コスタリカ4.9599.3%4.910.03
パナマ4.1091.9%3.770.33
プエルトリコ3.4199.0%3.380.03米国領
ウルグアイ3.4698.4%3.400.06
赤道ギニア0.8574.0%誤植0.22誤植: 原典に誤植あり。ウルグアイの話者数が反復している。
小計455.9394.6%431.5124.42米国以外の西語を公用語とする国の合計
合計781.6560.6%473.8138.62米国も含む

スペイン語以外が公用語である国におけるスペイン語の話者数(2017年)
西語話者(第一言語または相当)、限定的話者、(百万人)[6]国人口話者率西語
話者限定話者備考
アルジェリア0.180.05
オーストラリア0.120.38
ベリーズ0.170.02
ブラジル0.460.10
カナダ0.410.29
イスラエル0.130.05
日本0.11
スイス0.12
フィリピン0.0030.46母語レベルの話者の数は少ないが、スペインは旧宗主国であり学習者の数は多い。
モロッコ0.0071.53母語レベルの話者の数は少ないが、隣国であり限定的な話者の数は多い。
EU(スペイン以外)1.4030.98
その他0.130.40
合計3.2334.24

方言  スペイン語(カスティーリャ語)、スペイン全土で公用語   カタルーニャ語バレンシア語を含む)、地方公用語   バスク語、地方公用語   ガリシア語、地方公用語   アラン語、地方公用語   アストゥリアス語レオン語   アラゴン語

スペインにおける方言

スペイン語北部方言(Dialecto castellano septentrional)

カスティーリャ方言

レオン方言(Castellano leones)

ラ・リオハ方言(Dialecto riojano)

アラゴン方言アラゴン語とは別)


スペインの二言語地域におけるスペイン語バリエーション

ガリシア方言(ガリシア語)(Variedad del castellano de Galicia)

カタルーニャ方言(カタルーニャ語)(Variedad del idioma espanol en territorios catalanofonos、Idioma espanol en Cataluna)

バレンシア方言(バレンシア語)(Castellano de la Comunidad Valenciana、Castellano churro)


スペイン語南部方言(Dialectos castellanos meridionales)

マドリード方言(Castellano de Madrid)

ラ・マンチャ方言(Dialecto manchego)

ムルシア方言(Dialecto murciano)

アンダルシア方言(Dialecto manchego)

エストゥレマドゥーラ方言(Dialecto extremeno)

カナリア方言(Dialecto canario)



ラテンアメリカにおける各方言(Espanol de America)

アンデス・スペイン語

カリブ・スペイン語

リオプラテンセ・スペイン語

メキシコ・スペイン語(Espanol mexicano)

かつてはアラゴン地方(アラゴン語)、カタルーニャ地方(カタルーニャ語)、バレアレス諸島(カタルーニャ語)、バレンシア地方(バレンシア語)、アストゥリアス地方(アストゥリアス語)、レオン地方(レオン語)、ガリシア地方(ガリシア語)の言語がスペイン語(カスティーリャ語)の方言とされた時期もあったが、現在では、カタルーニャ語、バレンシア語、ガリシア語はいずれも独立した言語であると考えられており[注釈 7]、それぞれの地方において公用語とされている。アラゴン語、アストゥリアス語、レオン語もカスティーリャ語から派生した言語ではなく、その他のロマンス語同様、俗ラテン語が変化して今日に至っている言語であり、言語学的には別の言語であるが、カスティーリャ語の方言の扱いを受けることが多いのが現状である。
音韻
音韻対応

語頭にあった f の多くは h になり、その後発音上は消滅[注釈 8]。強勢のある e, o の多くは ie, ue に二重母音化(音割れ)。-ct- の多くは -ch- に変化。-ll- はフランス語の -ill-, イタリア語の -gli- に対応する。cl-, pl- の多くは ll に変化。現在の音素 /θ/ は古くはc /t?s/, z /d?z/ であり、別音素だった。語頭の s + 閉鎖音は前に e が付加(protesis)され、esc-/esqu-, esp-, est- となった。母音間の d は消滅していることが多い。語頭にあるあとに母音が続く i と母音にはさまれた強勢のない i は y に変化した。y は本来半母音だったが、摩擦音で発音されるのが一般的になった。二重母音における /-i/ の音は英語のそれと同じように語頭や語中では -i, 語末では -y とつづる(他のロマンス系言語の多くは y は外来語以外に用いない)。v は古くは /v/ と発音したが、b と同じ /b/ に変化し、その後、借用語において原語の v のつづりを b に置き換える傾向がある。一方、w は v に置き換えられることがある。

スペインで話されているスペイン語とラテンアメリカのスペイン語では、発音、アクセントが若干異なる。それ以外にも、地方により発音に差異が出ることがある。
母音

母音は a, e, i, o, u の5つで、日本語とほぼ同じである。ただし、u は標準日本語の「う」よりも口をすぼめて発音する。

長音、促音は無いが、アクセントのある母音はやや長めに発音されることが多いので日本語話者には長音に聞こえることがある。
二重母音・三重母音

母音のうち a, e, o を強母音、i (語末の y を含む)、u を弱母音とする。強母音 + 弱母音、弱母音 + 強母音、弱母音 + 弱母音の連続は二重母音、弱母音 + 強母音 + 弱母音の連続は三重母音となり、いずれも一音節で発音する。その場合の弱母音は、スペイン語学では音節主音の前の位置にある場合は半子音 (semiconsonante)[8]、音節主音の後ろの場合は半母音 (semivocal)[9]と呼んで区別する。


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