スペイン語
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歴史イベリア半島周辺の言語分布の変遷
  スペイン語

スペイン語は、ローマ帝国の公用語であったラテン語口語である俗ラテン語を元に、アラビア語などの影響を受けながら発達した言語である。8世紀に北アフリカからイスラム教徒イベリア半島に侵入し、その後、キリスト教徒によるレコンキスタ(再征服運動)が起こるが、この時期に俗ラテン語がロマンス諸語に変化した。このロマンス諸語が後に、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語フランス語ルーマニア語などに分かれていく。

イベリア半島では、アラビア語の影響なども受けながらイベリア系ロマンス語が発達し、カスティーリャ、レオン、ポルトガル、そしてイスラム系タイファ王国などで使用されていた(タイファ王国ではアラビア語のアンダルス方言も広く使用され、その影響を強く受けたロマンス語をモサラベ語と呼ぶ)。やがてレコンキスタの過程でカスティーリャ王国はその中心的勢力となり、スペイン王国の誕生後は事実上統一スペイン国家の国家語となった。このため、現在でもスペイン語のことをカステリャーノ (castellano) と呼ぶ人は多く存在する。

この歴史的経緯により、文法などはラテン語の規則を多く受け継いでいるが、単語はアラビア語から借用したものも多く使われている。(とりわけアンダルシア方言は最も強くアラビア語の影響を受けた)スペイン語の中のアラビア語起源の単語は主に、

アラビア語からの直接借用(とりわけアル=アンダルス・アラビア語

モサラベ語(イスラム支配下のアル=アンダルスで話されていたロマンス語、アラビア、ヘブライ文字で書かれた)

を通じた借用がある。またイベリアのムスリムの間ではスペイン語もアラビア文字で表記されることが少なくなかった。イベリア半島のムスリムはベルベル人が多かったため、ベルベル語の影響も存在している。なお、同じイベリア半島で話されている言語であるバスク語はローマ帝国やケルト人の進出以前から半島で使われていた言語と思われ、スペイン語とは大きく異なる。しかし、スペイン語はバスク語の影響も受けている。
話者分布EU加盟国におけるスペイン語への理解度
濃黄色が母語地域、以下10 - 19%、5 - 9%、5%未満(灰色はEU非加盟国・地域)スペイン語圏の分布  スペイン語を公用語とする国や地域  公用語ではないが25%以上の割合で話されている国や地域  10 - 20%の割合で話されている国や地域  5 - 9.9%の割合で話されている国や地域

スペイン語は国連の6つの公用語(他は英語フランス語ロシア語中国語アラビア語)の一つであり、スペインを始め、ブラジルを除く中南米18か国、北米1か国、アフリカ2か国、計21か国における公用語である。スペイン語が公用語である国・地域は以下の通り[注釈 2]

ヨーロッパ

スペイン



北アメリカ

メキシコデ・ファクト



中央アメリカ

グアテマラ

ホンジュラス

エルサルバドル

ニカラグア

コスタリカ

パナマ



カリブ海地域

 キューバ

ドミニカ共和国

プエルトリコ(米国自由連合州)[注釈 3]



南アメリカ

ベネズエラ

 コロンビア

エクアドル

ペルー

ボリビア

パラグアイ

 チリ(デ・ファクト)

アルゼンチン(デ・ファクト)

ウルグアイ(デ・ファクト)



アフリカ

赤道ギニア

西サハラ(第2公用語)

なお、スペインではカタルーニャ州バレンシア州バレアレス諸島州ではカタルーニャ語(バレンシア州ではバレンシア語)が、バスク州ナバーラ州の一部ではバスク語が、ガリシア州ではガリシア語が、スペイン語同様に地方公用語として認められている。

南北アメリカ大陸では、メキシコ以南の21の国・地域のうち16か国がスペイン語を公用語としており、先住民族を含め、人口の大半がスペイン語を話す。加えて、英語を唯一の公用語とするベリーズにおいても最も話されている言語はスペイン語である。カリブ海地域(西インド諸島)でスペイン語を公用語としているのはキューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコ[注釈 3]だが、人口では過半数を占める。これら、メキシコ以南のスペイン語圏と、ポルトガル語を公用語とするブラジル、場合によってはハイチなどのフランス語圏の国・地域を総称してラテンアメリカと呼ぶ[注釈 4]

また、米国ではかつて南西部一帯がメキシコ領であった関係でスペイン語の地名が各地に残っており、ニューメキシコ州ではスペイン語が事実上の公用語となっている。中南米のスペイン語圏諸国をルーツに持つ米国人は「ヒスパニック」、もしくは「ラティーノ」(ラテン系米国人[注釈 5]と呼ばれ、メキシコ領時代から存在していたものの、近年急速にヒスパニック移民が増加した。その結果、米国では事実上の公用語の英語に加え、ヒスパニックの割合の高いカリフォルニア州フロリダ州テキサス州などではスペイン語が第二言語となりつつある。


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