上製本では、中本の化粧断ちのあと、表紙くるみが行われる前に[3]、背表紙か花ぎれと背の間に取り付けが行われる。
並製本(文庫本・新書本などのソフトカバー本)に栞紐を取り付ける場合には、工程の最初に行う必要があるために、天の断裁ができない(天アンカット)[3]。天アンカットは三方断裁に比べてコストが高くなり、また栞紐取り付けのための工賃も必要なために[3][8]、栞紐を廃して三方断裁し、しおりとしては短冊の紙片を入れるものが多い[3]。 和装本・大和綴じ
日本における歴史
なお、和綴本の場合には、造本の関係もあり、通常はスピンをつけることはない。 現在使われる意味での「文庫本」を生み出した岩波文庫(1927年発刊)は、栞紐つきの造本をおこない[9]、後発各社の文庫本もこれを踏襲した。 しかし、コストダウンの観点などから栞紐の廃止が進み[8]、岩波文庫も1970年に廃止した[1]。このため長らく、スピンのある文庫本は新潮文庫のみとなり[8]、同文庫の特徴ともみなされた[2][8]。スピンの存置は、新潮文庫編集部の積極的な方針による[8]。 その後、1985年11月創刊の「福武文庫」、2007年10月創刊の「ウェッジ文庫」、2011年1月から発売を開始した「星海社文庫」、2013年10月創刊の「日経文芸文庫」などで採用されたものの、いずれも休刊や、ここ数年新刊が出ていない状況である。
文庫本における栞紐
脚注[脚注の使い方]^ a b c “岩波文庫の80年”
^ a b c d ⇒“新潮文庫とは?”. 新潮文庫 (新潮社). ⇒http://www.shinchosha.co.jp/bunko/about/ 2016年4月12日閲覧。
^ a b c d e f g h i j k “ ⇒しおり”. 製本のひきだし 製本用語集. 東京都製本工業会. 2016年4月12日閲覧。
^ 小学館プログレッシプ英和中辞典 第3版の「book」の解説ページの本の挿絵には、本の背は「spine [or back] ]、しおりの紐は「bookmark(er)」と引き出し線付で明記されている。
^ “スピン”. デジタル大辞泉(コトバンク所収). 2016年4月12日閲覧。
^ “ ⇒bound book” (英語). Merriam-Webster's Visual dictionary online. 2016年4月12日閲覧。
^ “ ⇒枝折挿入機”. 製本のひきだし 製本用語集. 東京都製本工業会. 2016年4月12日閲覧。
^ a b c d e “第四回 やめませんからご安心を”. 新潮文庫のささやかな秘密。