スパナ
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また、これらの応力集中点の問題が有るため、ボルト・ナット結合において、油脂の付着は、締め付け面の滑りを発生させ、致命的なナット・ボルトのヘッド潰れ、ナット割れ、工具破断を生じるために、軽油やヘキサンなどを使用して、脱脂をする必要がある。
フレアナットレンチ
クローフットレンチ、またはクロウフットレンチとも呼ぶ。6面を持つめがねレンチから、1面だけを取り去って5面でボルト・ナットを保持するC形の先端を持つレンチ。めがねレンチの特殊型とも考えられる。主に自動車のブレーキパイプ固定用のフレアナットを回すときに使用する。環状のメガネレンチはパイプが邪魔になって通せないが、フレアナットレンチは環の欠落している部分でパイプを通過することができ、2面のみのスパナよりも確実に保持できるため、ボルト・ナットをなめにくい。
ラチェットレンチ
右または左の一定方向もしくは両方向締め付けられるラチェット機構を取り入れたレンチ。小さい回転角度で取り付け、取り外しができる。高級品では、ハンドルをほとんど振れないような狭い場所でも作業ができるよう、この回転角度をいかに小さくできるかがメーカー相互の競争になっている。
コンビネーションレンチ Combination Spanner
レンチの両端に同一サイズのめがねレンチとスパナが付いているもの。仮締めと本締めが一本のレンチで使い分けできる。15度のアングル角度を付けた現在のコンビネーションレンチを最初に開発したのは、1933年のプロムツールPLOMB Tools(現在のプロトPROTO)である。ただし、スパナとめがねの組合せレンチは1800年代からある[3][4]。以前はその形状から片目片口レンチと呼ばれていたが、障害者への配慮から現在この呼称は使われていない。自動車整備ではソケットレンチと共に基本の工具である。
モンキーレンチ(あるいはアジャスタブルレンチ)
レンチの二面幅(ボルトヘッドをつかむ部分の幅)をスクリューギアによって自由に変えられるレンチ。便利ではあるが、ギア機構を用いているために、どうしても口部が完全に固定されずガタつきが発生し、そのためボルトを傷めやすいので簡易的な利用に限られる。また、掴む部分に比して頭部のサイズが大きくなるので狭いところでは使いにくい。口部にロック機構が存在するものもある。
ソケットレンチ Plug Spanner
ボックスソケットとハンドルが分離しており、色々な使用状態に合わせて、適合サイズのソケットを現場に合った各種ハンドルに取り付けて作業することができる。スナップオン創業者のジョセフ・ジョンソン(Joseph Johnson)が1920年に開発した[5]
ボックスレンチ
ボルトヘッドを完全に包み込んで保持する円筒状のボックス(ソケット)に柄がついたタイプのレンチ、柄の形状によってL型ボックスレンチ、T型ボックスレンチと区別される。ボックスの口形状はめがねレンチ同様、6角口(12角口)がある。T型ボックスレンチはボルト軸と完全に一致した方向にトルクをかける事ができるため、高いトルクをかけるのに最も適するレンチとされる。また、軸に片手を沿え、ハンドル部を回すことで早回しすることができる。
トルクレンチ
ボルトの締付けが弱いと機器の利用中にボルトが緩んで外れる危険がある。逆に強すぎると機器やボルトが破損する場合がある。このため、機器の組み立てにはボルトの適正締付けトルクが指定されている場合が多い。トルクレンチは、締付けトルクを指定してボルトを締め付ける為の工具である。事前の設定を要するプリセット型、適正トルクを表示するプレート型の2種類がある。
六角棒レンチ
六角棒がL型になったレンチで、アーレンキー、ヘキサゴンレンチ、ヘックスレンチ、六角レンチともいう。六角穴付ボルト(キャップボルト)や六角穴付止めネジ(イモネジ)などの六角形の穴に差し込み、締めたり緩めたりするのに使用する。
パイプレンチ
パイプを挟んだり、回したりするための専用レンチ。
水栓レンチ
水栓の取り付け・取り外しに使用される特殊なレンチ。主に水道の蛇口(横水栓)を交換する際に使用される。形状はU字型のフックの片方が延長されており、栓に引っかけてから回す。
チェーンレンチ
チェーンを対象物に巻き付けて使用するレンチ。太物パイプや変形物を確実につかみ、狭い場所での使用に適する。
ストラップレンチ(ベルトレンチ)
ストラップレンチ(Strap Wrench)は、チェーンレンチと類似しているが、チェーンの代わりに丈夫な繊維織物のバンドを使用している。このレンチは、表面を傷つけたくないパイプや内燃機関シリンダーを回すために使われる。レンチの使い方は、繊維織物のバントをシリンダーのまわりに巻き、レンチの金属製本体のスロットに通す。そして、バンドをきつく引き上げ、レンチを回すとバンドはシリンダーの周りでさらに張る事になる。この締め付ける操作が、シリンダーを掴んで回す事になる。力を抜くとバンドが自然に緩むので、位置を変えて一連の操作を繰り返して行う[6]各種フックレンチ(上からフックスパナ・ピンスパナ・フェイスピンスパナ)
フックレンチ
フックレンチまたはフックスパナ、引掛スパナとも呼ばれる。英語では、Spanner wrenchesと表記する。用途に合わせて色々な種類がある。工作機械オートバイ自転車などに使われる多くの特殊なナットは、ノッチを外周に切って作られる。これらナットのためにフックレンチ(Hook spanner)は必要とされる。このレンチは、先端に突起が付いたフックと、曲がったアームを備えている。この突起は、ナットのノッチの1つに適合する、そして、指定された一方向にハンドルを回してナットをゆるめるか締める。レンチは刻み溝をつけられたナットの特定のサイズ用に製造されるタイプか、またはアームを一定のサイズの範囲に合わせることができる調節腕を持ったタイプがある。これらは、アジャスタブルフックレンチ(Ajustable hook spanner)、または自在フックレンチと呼ばれる。もう一種類のレンチは、ピンタイプ(Pin spanner)である。ピンタイプは、フックの代わりにピンを備えている。このピンは、ナットの外周部分の穴に嵌まる。そして、ピンがナットに直面して穴に嵌まるように設計されているレンチをフェイスピンタイプ(Face pin spanner)という。レンチが外れるとナットを損傷したり事故になるので、フックレンチを使うときは回転力がレンチからナットへ伝わる間、突起のフックまたはピンが安定してナットと接触していることを常に確認する必要がある[7]
ペダルレンチ
自転車のペダルの取り付け・取り外し専用のレンチ。ペダルとクランクの間は狭いため、一般的なレンチは引っ掛かってしまい入らない。そのためペダルレンチは薄い板状になっている。また、漕ぐ力でネジが自然に締まるため、しばしば固着に近い状態になっていることも多く、小型の自転車用万能ツールに付いているものでは歯が立たないこともある。
ロケットレンチ
機械的な力ではなく火薬の燃焼による推進力を使って緩める装置。小型ロケットが互い違いにセットされた台座を緩める対象に取り付けて点火することで、ごく短時間で緩めることができる。主に不発弾の錆びた信管を外すのに使われており(信管が衝撃を受けると爆発につながる)、陸上自衛隊不発弾処理隊でも採用されている。
脚注^ THOMAS DUTTON 『THE HAND TOOLS MANUAL』p83、2007年発行、TSTC Publishing ISBN 978-1-934302-36-1
^ 技能士の友編集部『作業工具のツカイカタ』2002年8月25日13版発行。株式会社大河出版。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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