スパイ小説
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大井廣介は『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』の月評「紙上殺人現場」で両作を取り上げ、「アンブラーに刺激され、アンブラーとはりあう作家が、期せずして、同時に登場した」とその意義を強調している[3]。また新保博久も中薗の『密書』と『密航定期便』(1963年)を挙げて「この分野にいち早く鍬を入れた」とそのパイオニアとしての功績を評価している[4]

その他、日本人作家による主なスパイ小説には次のようなものがある。

結城昌治『ゴメスの名はゴメス』(1962年)

三好徹『風は故郷に向う』(1963年)

都筑道夫『三重露出』(1964年)

志水辰夫飢えて狼』(1981年)、『あっちが上海』(1984年)、『こっちは渤海』(1988年)

伴野朗『ゾルゲの遺言』(1981年)

これ以外にも戦前から少年少女向けにスパイ小説を書いていた山本周五郎の『樅ノ木は残った』(1958年)にも伊達騒動を対立する2陣営の諜報合戦と見立てたスパイ小説の趣がある[注 5]。同じく時代小説ながら村山知義の『忍びの者』五部作(1962年 - 1971年)もリアリズムで忍者を描き、やはりスパイ小説の趣がある。現代小説では、梶山季之は「トップ屋」としての経験を活かし『黒の試走車』(1962年)などで産業スパイを扱った。また五木寛之直木賞受賞作『蒼ざめた馬を見よ』(1967年)は(必ずしもそう評価はされていないものの[注 6])世界を舞台にしたスケールの大きなスパイ小説と言っていい。さらに生島治郎の『もっとも安易なスパイ』(1985年)や大沢在昌の「アルバイト探偵(アイ)」シリーズ(1995年 - 2006年)のようなコメディタッチのスパイ小説も書かれている。

冷戦中の日本のスパイ小説は、CIAを善玉として描くものがほとんどだが、田中芳樹は、KGBを善玉として、ソ連反体制派と対峙する『白夜の弔鐘』(1981年)を発表している
主なスパイ小説作家
欧米

エリック・アンブラー

ジェラール・ド・ヴィリエ

エドワード・オッペンハイム

マニング・オブライン(英語版)

バロネス・オルツィ

アリー・カーター(英語版)

ジョン・ガードナー

チャールズ・カミング

ヤン・ギィユー

マイケル・ギルバート

トム・クランシー

ブライアン・クリーヴ(英語版)

グレアム・グリーン

ビル・グレンジャー(英語版)

デズモンド・コーリイ(英語版)

マニング・コールス(英語版)

ダニエル・シルヴァ

デズモンド・スキロー(英語版)

ロバート・アースキン・チルダーズ(英語版)

レン・デイトン

クレイグ・トーマス

ロス・トーマス

トレヴェニアン

ジョン・バカン

デズモンド・バグリィ

ウィリアム・F・バックリー・ジュニア(英語版)

ドナルド・ハミルトン(英語版)

ロバート・ハリス

ジャック・ヒギンズ

チャーリー・ヒグソン(英語版)

R・J・ヒルハウス(英語版)

アラン・ファースト(英語版)

ジョゼフ・フィンダー

フレデリック・フォーサイス

ジェームズ・クランシー・フェラン(英語版)

ケン・フォレット

A・J・ブッチャー(英語版)

アントニイ・プライス(英語版)

ブライアン・フリーマントル

ヴィンス・フリン

イアン・フレミング

レイモンド・ベンソン

デニス・ホイートリー(英語版)

アダム・ホール

アンソニー・ホロヴィッツ

ロバート・マカモア(英語版)

アンディ・マクナブ


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