スパイウェア
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スパイウェア(spyware)とは、ユーザーに関する情報をユーザーが意図しない形で収集し、それを情報収集者である特定の企業団体個人等に自動的に送信するマルウェアである。
概要

狭義には、キーボード・マウスからの入力やウェブブラウザの閲覧履歴などユーザーの振る舞いに関する情報を外部に送信するソフトウェアを指すが、一般的には以下に示すものをスパイウェアとしている。

キーロガー等に代表される、ユーザーの操作を監視するもの

コンピュータ内の特定のファイル等を検索し、それらを勝手に転送するもの

広告を送り付けて画面に表示するアドウェア

ブラウジング中に消費者が望まない特定のサイトを強制的に表示させるブラウザハイジャッカー

ダイヤルアップ接続時に国際電話やダイヤルQ2へ接続させるダイヤラー

ユーザーの承諾無しに新たなプログラム等を無断でダウンロードし導入するダウンローダ

ユーザーのコンピュータに重大な問題があると偽りのメッセージを出し、ソフトの購入を要求するもの

スパイウェアの定義は対策ソフトウェア会社により異なるが、積極的に広義のほうを利用する企業が多い。一部の対策側メーカーは、HTTP cookieなどプログラムファイル以外のものもスパイウェアに含めている。広義のスパイウェアは、対策側ベンダーによるマーケティング目的での拡大解釈に過ぎないとの批判もある[1]

セキュリティ企業や研究機関などによって構成されるAnti-Spyware Coalitionは狭義のスパイウェアと、広義のスパイウェアと同義語としての「潜在的に望まれない技術(Potentially Unwanted Technologies)」を定義づけている[2]

いずれの定義を取るにせよ、十分な説明を提供し利用規約への同意の元でソフトウェアがインストールされる場合は、スパイウェアと扱われない事がある。近年のアメリカでのスパイウェアの氾濫およびそれに対する法の整備が進む現状を踏まえると、利用規約に情報を送信する事を明記しなかった場合は違法となることが非常に多い。そのため、利用規約や使用許諾説明書に情報を送ると明記するソフトが増えている。

一部の無料なソフトウェア製品では、ポップアップ広告やソフトウェア上に表示されるバナー等の広告配信およびユーザーの利益となる機能を幾つか提供した上で、ユーザーの個人情報を広告会社等に提供する物もある。

十分な知識や防衛策を持たないユーザが使う機器に対し、スパイウェアは急速に、かつ非常に多く・広く蔓延している。
スパイウェアとコンピュータウイルスの違い

スパイウェアおよびコンピュータウイルスは、双方ともユーザの明示的な了解を得ずにプログラムがインストールされ、コンピュータシステムを不安定にさせる・望まない情報漏洩を起こす点においては共通しているが、その他の振る舞いには大きな違いがある。
拡散・導入プロセス

コンピュータウイルスは自己増殖能力を持ち、他のコンピュータに自分自身のコピーを広める。ウイルスが、セキュリティ対策が十分でないユーザのコンピュータに潜み、強引な手段で広く自己複製を配布するのに対し、スパイウェアは一般的に増殖機能を持たない。

スパイウェアの多くは、一見ユーザに様々な利便性を提供するように装って自らをインストールさせるか、自動的にダウンロードさせる仕掛けを施したウェブサイトの閲覧やスパムによってファイルを送りつけ、システムの欠陥を利用するなどしてインストールされる。
挙動

コンピュータウイルスには表立った形での損害を与えるものが多く、単に画面に無意味な表示をするものから、中にはキーボード操作を不能にする、システムファイルの削除、ハードディスクフォーマットなど悪質な振る舞いをするものもある。いずれも開発者の意図によってそのように設計・プログラミングされている。

一方、スパイウェアは「ユーザに知られずこっそりと情報を収集する」ことを主な目的としているため、元来表面で目立った挙動をするものはまれである。しかし、スパイウェアの中には設計上の欠陥から、コンピュータの動作に悪影響を与えるものがあり、これを見つけ削除することで動作が安定する。
スパイウェアの挙動
インストール

スパイウェアは一般的に3つの手段のいずれかによってインストールされる。
他の明らかに有用なプログラムの中に、スパイウェア
コンポーネントを隠しておく方法。大抵のスパイウェア含有プログラムは無料でダウンロードでき、何らかの利便性を挙げて、ユーザーにアピールする。

OSウェブブラウザセキュリティホールを利用する方法。ウェブサイト閲覧中にそれらの欠陥や安全上問題があるような仕様を利用してコンピュータ内にインストールされる。

ウイルスあるいはEメールに添付されたプログラムを実行することで、ダウンロードおよびその破壊的なソフトウェアの一部機能としてインストールされる方法。比較的種類は少ないが、配信元の匿名性が高いことから迷惑メール中継などスパイウェア以外の有害機能を広げる目的で用いられる場合が多い。

動作と問題点

スパイウェアは、次のような利点を誘い文句にしてプログラムをインストールするように誘う。He will explore the Internet with you as your very own friend and sidekick! He can talk, walk, joke, browse, search, e-mail, and download like no other friend you've ever had! He even has the ability to compare prices on the products you love and help you save money! Best of all, he's FREE!このソフトは貴方の友人ないし親友として、あなたと一緒にインターネットを探索します! 貴方のどの友人とも違い、話したり、歩いたり、冗談を言ったり、閲覧したり、検索したり、eメールを送ったり、ダウンロードしたりすることができます! 好きな製品の値段を比べ、お金を貯めることさえできます! その上、タダなのです!

実際にインストールするとCPUメモリを消費し、システムの安定性を犠牲にしながらインターネットの利用状況を監視したり強制的に広告を画面に表示したりする。

正常に動作しているスパイウェアの多くは、ユーザーにその存在を知られないように設計されているが、アドウェアの場合は、たえず広告を画面に表示しようとしている。「インターネットを開いてウェブページを読んでいる時」や「書類を作成している時」、更には大切な友人からのメールに返事を書いている瞬間にまで、広告を画面上に表示させる。それら広告の多くは「バイアグラで素敵なナイトライフを」や「ネットカジノで一山当てよう」といった、大多数のユーザーに取っては不用か有害な物が含まれる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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