スノッリ・ストゥルルソン
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ヘルディースとの間にヨーンとハルベラの2子をもうけたが、二人の結婚生活は破綻し別居するに至った[7]。スノッリは1206年、レイクホルトの神父パールの息子、神父マグヌスの屋敷に財産の管理を請負って移り住んだが、マグヌスが死去するとそこを自分の所有とし[8]ボルガル・フィヨルド一帯に広大な領地を保有するに至った。

スノッリは1215年にアイスランドの全島議会ゴジに選ばれた。この選出は義理の兄弟にあたるオッディの一族のセイムンドの引立てによるものだったが、法の宣言者の座に就くとスノッリはもっぱら自分の権力を伸ばすことに注力したため両者の関係は急速に悪化していった[9]
スカンディナヴィア渡航

1218年から1220年にかけてスノッリはスカンディナヴィアへ渡航するが、最も重要な目的はノルウェー訪問だった。当時アイスランドは首領と教会が争っており、アイスランドの教会を監督するノルウェーのニダロス(当時のノルウェーの首都、現在のトロンハイム)の大司教からの圧力を掛けられていた。また、近年起きた貿易を巡るトラブルから両国の関係は緊張しており、アイスランドをノルウェーの統治下へ入れようとする動きがあった[10]

まず、スノッリはヴィーケンにノルウェー王ホーコン4世(ホーコン・ホーコンソン)と摂政スクーリ伯(後に公)を訪ねてそこで冬を過ごし、春になると故ホーコン公の妃クリスチーネを訪問した。その後スノッリはノルウェー各地の史跡を見て回ったが、『ヘイムスクリングラ』の取材が目的であったと考えられる[11]

彼はニダロスに戻るとスクーリ公の食客となり、ホーコン4世の従士の一人に加えられ、1220年にはアイスランドの総督(Landmadr)に任ぜられた[11]スノッリはこの時の厚遇の返礼として帰国後の1222年、寛大なホーコン王への賞賛を『韻律一覧』に著し、スクーリ公へと送った[12]。スノッリはスクーリ公にアイスランドとの和議をノルウェーに有利に成立させると約束する一方[10]、独立を守るためにアイスランド国内のノルウェー王の支配を認めようとする勢力と王との関係を絶とうと画策していた。スノッリは人質として長男ヨーンを送ると約束して帰国したが、人質を送る以外何もせず、アイスランドがノルウェー王の統治下へ入るように働きかけることもなかったため、ホーコン4世の不興を買った[13]
親族との不和と暗殺

1222年、スノッリは再びゴジに選出されたが、ノルウェー王から総督の地位を与えられたことで多くの島民から不審に思われていた。スノッリはこの時期政治的な争いを避け、著作に力を注ぐ一方で政略結婚によりアイスランドでの地盤固めをしようとした。二女のインギビョルグをハウカ谷の小ギツル・ソルヴァルドソンに嫁がせ、彼自身はギツルの兄の未亡人ハルベイグの財産を管理する約束のもと事実婚を結び[14]、妻ヘルディースが死去すると正式に結婚した。

1235年、ホーコン4世はローマ巡礼の帰路ニダロスに立ち寄ったスノッリの次兄シグヴァトの息子ストゥルラに、総督の地位と引き換えにアイスランドをノルウェーに臣従させるよう働きかけ、ストゥルラはこれに応じた[13][15]。ストゥルラが巡礼でアイスランドに不在だったとき、スノッリの二男ウレキヤがストゥルラの本拠地にあたるアイスランド北東部で争いを起こしており、ストゥルラはこれを口実にスノッリを殺害しようと彼に挑んだ(これに先立ちスノッリは長男ヨーンの死に絡み娘婿のギツルからも離反されていた[16])。スノッリは和解を申し入れたがストゥルラは拒否し、ウレキヤを捕らえるとホーコン王の元へ送った。スノッリは有力な首長ソルレイブや長兄の息子オーラヴと共に挙兵しストゥルラと戦おうとした。しかし彼は交戦前に逡巡して戦場を離脱し、戦ったソルレイブらは惨敗して捕らえられた。スノッリは投降し1237年、彼らと共にノルウェーへと送られた[17]

そのころのスクーリ公はホーコン4世の権力の拡大に伴い、かつての勢いを失っていた。王の一臣下に甘んじるのを不服とした彼は自ら王として立つ逆転の機会を狙っていた。ノルウェーでスノッリはスクーリ公の息子の屋敷に身を寄せたが、スクーリとホーコン4世との確執に際しスクーリ側と看做された。1238年8月21日、アイスランド本国でホーコン4世の息のかかった次兄シグヴァトと甥ストゥルラが長女の婿コルベイン(コルヴェンドヌ)・アルドノルソンと二女の婿ギツルとの戦いで戦死した[18][19]


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