ストライキ
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このほか、組合の機関決定を経ずに一部組合員の行う「山猫スト」は、団体交渉の主体を欠き、不当とする判例が有力とされる[11]
ストライキに対する規制
公務員のストライキの制限

日本国内の公務員は、国家公務員法第98条及び地方公務員法第37条により、ストライキが禁止されている。戦後直後は一部の職種を除いて公務員のストライキも認めていたが、1948年7月31日政令201号によって全ての公務員のストライキが禁止された。その後政令201号は、日本国との平和条約が発効したことに伴うポツダム命令廃止法により1952年10月25日に失効しているが、前述の規定により公務員のストライキが認められていない。

また、1949年に国の直営事業から分離された公共企業体日本国有鉄道日本専売公社。1952年に日本電信電話公社が加わる)の職員に対しては、公共企業体等労働関係法(現在の行政執行法人の労働関係に関する法律)が制定され、やはりストライキが禁じられた。

これを不満として、1975年に日本国有鉄道を中心とした三公社五現業職員がストライキ権認容を求めてストを起こす「スト権スト」が起こされたことがあった。政府見解としては、ストを禁止している理由として、職務の公共性や人事院(かつての公共企業体については公共企業体等労働委員会による仲裁・裁定)の存在があることを挙げている。なおこれは国際労働機関(ILO)の結社の自由及び団結権の保護に関する条約及び批准が留保されているとはいえ、市民的及び政治的権利に関する国際規約追加議定書に抵触する疑いがある。

他に労働関係調整法第36条で、「工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又はこれを妨げる行為」としては、職種を問わずストライキが禁止される。

実際に「争議行為が発生したときは、その当事者は、直ちにその旨を労働委員会又は都道府県知事に届け出なければならない。」という規定が労働関係調整法第9条にある[注釈 1]。なお、公務員の争議権を含む労働基本権全般の規制と日本国憲法第28条に関する司法判断については、労働基本権#日本の公務員の労働基本権を参照。
公益事業に対する規制「労働関係調整法#公益事業」も参照

労働関係調整法第8条で、公衆の日常生活に欠くことのできない「公益事業」として次の業種が指定され、これらの業種ではストライキの実施には事前の予告が必要となる。
運輸事業

郵便、信書便又は電気通信の事業

水道電気又はガスの供給の事業

医療又は公衆衛生の事業

また電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律で、電気事業・石炭鉱業事業においてはストライキ時の禁止行為が規定されている。

特にストライキが予定されることが多いのは、運輸事業のうち鉄道路線バスなどの日常生活に密着した公共交通機関を経営する鉄道事業者バス事業者である。ストライキが実施されると列車やバスなどの運休が発生するため利用者への影響が大きく、プロ野球が鉄道ストで試合中止になるなど各種イベントへの影響も大きかった。ただし近畿日本鉄道など一部の私鉄はストライキを行わないか、あるいは集改札ストに留まり、平常どおり電車を運転した。1990年代以降は大手私鉄ではストライキはほとんど行われなくなり、仮に突入しても朝のラッシュアワー前に収束されることが多い。事業者も、大手私鉄の春闘が妥結した後に春闘交渉が行われる地方の中小私鉄やバス会社の一部のみで、使用者側の回答を不満としたストライキが行われる程度である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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