ステゴサウルス類
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また、その板に関しては防御や体温調節、ディスプレイなどの用途が可能性のあるものとして考えられてきたが、依然としてはっきりしたことはわかっていない。尾に備わったサゴマイザーは少なくとも護身用の武器として使われたと考えられている[6]。しかしながら、その機能は成長段階によって異なり、議論の的となっている。

ステゴサウルス類はファヤンゴサウルス科と異なり、前上顎骨の歯を失っており、前肢が後肢より短いという特徴がある[7][4] しかし、これらの2つの特徴は、ファヤンゴサウルス科以外の非ステゴサウルス類にも存在する可能性があるため、ステゴサウルス科の診断には使えない[1][8] 。そして胴椎は神経弓によって伸長されている[5]
分類2013年の Danny Cicchetti による3種のステゴサウルス科のサイズ比較

1877年、マーシュはステゴサウルス・アルマトゥス Stegosaurus armatus を発見・命名し、1880年、それに基づきステゴサウルス科を設立した[5]

最初にウエルホサウルス、およびファヤンゴサウルス属のもとで記載されたステゴサウルス科の標本は、2010年にメイドメントらによってそれぞれステゴサウルス・ホムヘニ Stegosaurus homheni および Stegosaurus mjosi の名称でステゴサウルス属として再記載された[5] 。更にその後、多くのステゴサウルスの種は以前は異なる種だと思われていたものが全てアルマトゥス種に統合された。この標本の再分類は、標本間の全ての差異が、種間変異によって説明され得ることを見出した後になされた[5]

ステゴサウルス科の構成についてはしばらく議論されている。しかし、2017年現在までに行われたステゴサウルス類の最も広範な2つの系統分析では、ステゴサウルス類内の類似の系統発生関係を示している(下記参照)。よく解明された系統発生では、新しく発見された首の長いミラガイアおよびダケントルルスを姉妹分類群とし、ダケントルルス亜科を構成する[9] [5]。マテウスらはミラガイアとダケントルルスについて、共に頸肋骨が後方に突出し、前方の突起は背腹部に深く、側面視でその前端部に背側突起を有すると記載している。その系統樹はまた、細長い頸肋骨後部に突出する頸椎上の前関節突起の共有によって、ダケントルルス亜科とステゴサウルス属の間の姉妹群関係も示唆している。ダケントルルスは以前は基盤的ステゴサウルス類と考えられていたが、ミラガイアの発見と研究により派生的なタクソンであることがわかった[9]
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剣竜下目

Tuojangosaurus multispinus トゥオジャンゴサウルス

Paranthodon africanus パラントドン

Gigantspinosaurus Ouyang ギガントスピノサウルス

Alcovasaurus longispinus アルコヴァサウルス

ファヤンゴサウルス科 Huayangosauridae

Huayangosaurus taibaii ファヤンゴサウルス

Chungkingosaurus jiangbeiensis チュンキンゴサウルス



ステゴサウルス科 Stegosauridae

Kentrosaurus aethiopicus ケントロサウルス

Loricatosaurus priscus ロリカトサウルス

ダケントルルス亜科 Dacentrurinae

Dacentrurus armatus ダケントルルス

Miragaia longicollum ミラガイア

Adratiklit boulahfa アドラティクリット



ステゴサウルス亜科 Stegosaurinae

Stegosaurus armatus ステゴサウルス

Wuerhosaurus homheniウエルホサウルス (ステゴサウルス・ホムヘニ)

Hesperosaurus mjosi ヘスペロサウルス
















プレートの役割

首から尾にかけてならぶ骨のプレートの役割は血管の痕跡を根拠に体温調節という説明をされることが多いが、2001年のカーペンターらによるヘスペロサウルスの研究結果では血管はプレートを覆う角質の鞘の為のもので、角質は構造的に普通の表皮よりも断熱性が高いため、主な役割は防御やディスプレイだったと言われている。体温調節は二次的に行われた可能性はあるとされ、この事はステゴサウルスのような他の剣竜類でも同様だったとされる[10]
解剖学

スパイクは、1914年にギルモアによって提唱されたように単にディスプレイとして使用された[11]のか、またはバッカーが唱えたように武器として使用されていたのかで議論されている。バッカーは、剣竜類の尾椎には他の鳥盤類と違って骨化したがないためはるかに柔軟性があり、サゴマイザーを武器にしているとしか考えられないとした。彼はまた、剣竜類の後肢が前肢と比べて大きく発達している点について、強い力で尾を振り回す際にふんばったり、身体の尾側の向きを機敏に変えるための進化であると説明した。ケントロサウルスの模型を使った分析では、尾は体の側面の位置まで曲げることが可能で、恐らく捕食者を攻撃できたことを示した[12]

2001年、マクウィニーらによってサゴマイザーの強度などの研究が行われた[13]。それによると、サゴマイザーには相手に致命傷を負わせるだけの威力があったことが示唆された。この研究結果はサゴマイザーが捕食者との戦闘に使われたという説を指示する。護身用の武器だったことはステゴサウルスの標本でもその証拠として記載されたことがある。アロサウルスの尾椎にあった刺創の治癒痕にステゴサウルスのサゴマイザーがフィットしたとされた[14]

ステゴサウルス・ステノプス Stegosaurus stenops は4本のスパイクを有する。それぞれが約60?90センチメートルの長さである。この構造が武器であった事の発見はステゴサウルス・ステノプスだけでなくいくつかの種で行われた。これらのスパイクは尾に対して平行に伸び、よく復元されるような垂直に伸びることはなかった。


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