ディッコは1998年にメインストリーム・コミック界から引退した[81]。マーベルやDCでの活動末期には、Marvel Comics Presents の連載「サブマリナー」のような歴史あるキャラクターや、『マイティ・モーフィン・パワーレンジャー』のような新しい版権キャラクターを手掛けていた。メインストリーム界で最後に生み出したキャラクターは、マーベルの Shadows & Light 第1号(1998年2月)に掲載された、レン・ウェインのスクリプトによるアイアンマンの12ページ作品 "A Man's Reach..." に登場したロングアームであった。最後に描いた作品はDCのニューゴッズを主役にした5ページ作品 "Infinitely Gentle Infinitely Suffering" で、インクはマイク・グレイによる。同作は『オライオン』(2000年 - 2002年)に掲載される予定だったが[82]、2008年になってからトレード・ペーパーバック Tales of the New Gods でようやく世に出た[82]。
それ以来ディッコの単独作は、一般的な取次を介さず、長年の共作者・担当編集者だったロビン・スナイダーを通じて散発的に出版されるだけになった。スナイダーの出版物にはオリジナル作品もあれば、『スタティック』『ミッシングマン』『モッカー』など旧作の再刊もあった。2002年の Avenging World は30年にわたる短編とエッセイの集成だった[59]。2008年には数ページの新作イラストを収録した32ページのエッセイ The Avenging Mind が発行された。Ditko, Etc... は掌編と風刺漫画からなる32ページのコミックだった。さらにこの形式での刊行が続き、ヒーロー、ミス・イーリー、ケープ、マッドマン、グレイ・ネゴシエーター、!?、アウトラインといったキャラクターが生み出された[83]。ディッコは2012年にこれらの自己出版について「ほかに何もやらせてもらえなかったからやった」と述べている[84]。2010年には1973年のコミック「ミスターA」の新版や、ディッコが描いた表紙絵の選集 The Cover Series が、2011年には1975年のコミック作品 ...Wha...!? Ditko's H. Series の新版が出た[59]。
DCからもハードカバー作品集が発行され、1978年に描いていた数篇の「失われた」作品も収録された。2010年の本 The Creeper by Steve Ditko には、未刊行に終わった『ショーケース』第106号に掲載される予定だったクリーパーのストーリーが[85]、The Steve Ditko Omnibus Vol. 1(2011年)には『シェイド・ザ・チェンジングマン』の未刊行作品が収録された[86]。ハルクとヒューマン・トーチが登場するジャック・C・ハリスの原作による1980年代の作品は、マーベルから Incredible Hulk and the Human Torch: From the Marvel Vault 第1号として2011年8月に刊行された[87]。 2012年の時点でもマンハッタンのミッドタウン・ウェスト地区で仕事を続けていた[84][88]。 同名のスティーヴ・ディッコという甥は画家となった[49]。知られている限り結婚したことはなく、他界した時点で子供はいなかった[84][89]。ウィル・アイズナーはかつてディッコに非嫡出子がいると発言したことがあるが[90]、この甥を誤認した可能性もある[84]。 2012年に、その時点で公開されていた4編のスパイダーマン映画からまったく報酬を受けていないと発言した[84]。しかし、ディッコの隣人は彼が原作料の小切手を受け取っていたと証言している[91]。映画『ドクター・ストレンジ』の製作者はディッコに歓迎されないだろうと考え、連絡を取ることは控えた[89]。 ディッコは2018年6月29日にニューヨークのアパートで意識不明の状態で発見された。警察は前日か前々日に死亡していたと結論づけた。死亡が確認された時点で90歳、死因は動脈硬化と高血圧による心筋梗塞と見られた[89]。
私生活