映画製作において、この写真が作品の製作に直接関与することはない。もっぱら宣伝用として、ポスター、雑誌、新聞などのメディアで使用するものである。また、初期のスチル写真は撮影所で組織化された専属スタッフやカメラマン、もしくは撮影所近辺の写真館の撮影技師らが撮影していた。これらの写真は配給会社を通して映画館や出版社に配られ、宣伝材料として用いられた。
デジタルミラーレスカメラの登場以前はスチルカメラマンの使用機材は一眼レフカメラが定番だったため、プラスチックハードケース等を改造した特製の防音ケース[注釈 3]に入れたカメラを用いるか、望遠レンズを用いることで同時録音の妨げにならないように撮影する技術が求められた。騒音にシビアな場合、リハーサル中に撮影したり、本番とは別に[注釈 4]、撮影する役者に本番時と同じポーズを取らせ、(必要に応じて)撮影風景を再現して撮影するなどする。(前述のように)映画自身の撮影フィルムから抜き出すことで、本番中の撮影を避けることもあった。
2020年代ではデジタルミラーレスカメラが主流になりつつありシャッター音など動作音がほとんど鳴らないため、防音ケースの使用はみられなくなっている。
映画館にこれらのスチル写真を配るということは減ってきているが、雑誌などでのタイアップなど宣伝材料としての活躍の場は多い。劇場で配布・販売されるパンフレット類はもちろんであるが、公開に合わせて写真集などの関連書籍を作ることが多くなってきており、写真家に依頼することも増えてきている。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ とは言え、写真術が「ある一瞬」を切り取れるようになったのは、説によっては1000年以上もあるカメラ・オブスクラの歴史から見ればそう古いことではない。日本では、水雷の爆発による水煙を写真に撮って江崎礼二が「早撮りの江崎」と評判になったのが1884年のことである。
^ これの場合、成立上、銀塩写真が静止画から動画に発展したのとは逆に、電子写真は動画用のビデオカメラから派生するような形で「電子スチルビデオカメラ」が生まれている、という事情もある。
^ サウンド・ブリンプ(英語版)という。水中カメラ用の密閉ケース(水中ブリンプ[8][9])も用いられた。
^ 撮影スケジュールを邪魔しないよう、通常は本番の後にスチル写真を撮った。
出典^ a b 「怪獣アイテム豆辞典」『東宝編 日本特撮映画図鑑 BEST54』特別監修 川北紘一、成美堂出版〈SEIBIDO MOOK〉、1999年2月20日、150頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-415-09405-8。
^ 三輪健太朗『マンガと映画』NTT出版、2014年、304頁
^ スチル、デジタル大辞泉、コトバンク
^ ⇒スチル Excite辞書
^ ⇒still コトバンク
^ ⇒still Excite辞書
^ a b 『写真空間3 特集 レクチャー写真論!』青弓社、2009年、129頁
^ “ボレックス R16B カメラ用 ブリンプ(1962-1975)”. NHK放送博物館. 2024年2月28日閲覧。
^ “映画・映像 業界用語辞典 「水中ブリンプ」”. 東京映画映像学校. 2024年2月28日閲覧。
関連項目
ブロマイド
樋上晴彦
小冊子
スチルカメラマン