単身でアルタミット星に着陸したスコットはそこでジェイラという星の住人に出会う。クラール一味のマナスに家族を殺されていたジェイラはかつてこの星に墜落した宇宙船を住みかにして一人で生きていた。その船は過去に調査任務で行方不明になっていた宇宙艦隊所属のU.S.SフランクリンNX326であった。星を脱出するため、ジェイラはスコットに船の修理を依頼する。カークとチェコフは墜落したエンタープライズの通信を復旧させて離散した仲間を集めようと試みるが、その最中カラーラが突如二人を攻撃する。彼女はエンタープライズをアルタミッドに誘き寄せるために送られたクラールの一味だった。カークとチェコフはカラーラを打倒して乗組員の探索を続け、スコットとジェイラに合流。U.S.Sフランクリンの修理を進め、復旧した転送装置で、墜落時に重傷を負ったスポックと彼を担いでいたマッコイを救出する。
一方、クラールは囚われたスールーやウフーラが密かに発信しようとした救難信号を利用してヨークタウンから艦隊を遠ざけ、シルから遺物を奪うと、それを自らが所持していた対になる遺物と組み合わせる。その正体は生命体を塵状に分解するアブロナスという兵器で、起動実験によってシルは殺害される。クラールは以前からアルタミット星より連邦のデータベースにアクセスして情報収集を続けており、エンタープライズをおびき寄せたのはアブロナスの部品である遺物を所持していたためだった。彼の目的はヨークタウンへアブロナスを用いた攻撃を行うことだった。
カークはそれを阻止するべくジェイラ、スポック、マッコイらと共にクラールの基地を襲撃。ジェイラはマナスを打倒し、カークは乗組員らを救出する。だがクラールは一足先にドローンの大部隊を引き連れてヨークタウンへ向かう。カークはU.S.Sフランクリンを復旧させて離陸し、追撃を敢行する。
クルーたちはドローンが周波数を用いた言語で通信しているのを解析し、それを逆手に取ってフランクリンに搭載されていたラジオから妨害電波を発信する。混乱に陥った大群は互いにぶつかり合って爆散し、巨大な炎の波を作った。クラールの乗った戦闘挺はヨークタウンの中核部で捕捉され、同時に船のアーカイブに残された映像からクラールの正体と目的も明らかになった。
クラールはかつてフランクリンの船長だった人間バルタザール・エディソンの成れの果ての姿だった。100年前アルタミッドに不時着し生き残ったエディソンと二人の乗組員は、自分たちを見捨てて平和と繁栄を謳歌する連邦を憎むようになった。そして、付近を航行する種族を捕らえては古代の装置で生命エネルギーを吸収して生き永らえ、復讐の機会を窺っていた。アブロナスを用いてヨークタウンを崩壊させたのを手始めに、銀河を戦乱の世に逆戻りさせ、そこから人類一強の支配体制を完成させること、ひいては多種族共栄という連邦の理念を葬り去るのことがその全容だった。
乗組員から吸収した命で人間に近い姿に戻ったエディソンは、給気塔からアブロナスを流して町の全域に行き渡らせようとする。カークはエディソンを追いつめ、無重力空間で格闘となる。戦いの末にエディソンは排気坑から宇宙に放り出され、アブロナスに飲み込まれていった。対するカークは寸でのところでスポックとマッコイに受け止められて助かった。
全てが終わった後、カークはヨークタウンの副総督の座を辞退し、スポックもまた、老スポックの思いを知り、仲間と共にある道を選ぶ。カークの誕生日を祝う仲間たちの目の前では、新たな航海に向けてエンタープライズの再建が進んでいた。 ※括弧内は日本語吹替[8]
キャスト
ジェームズ・T・カーク - クリス・パイン(阪口周平)
エンタープライズ号の船長。終わりの見えない宇宙探査の中で自身の矮小さを痛感し、船長としての力量に疑問を感じ始めている。
スポック - ザカリー・クイント(喜山茂雄)
レナード・マッコイ - カール・アーバン(宮内敦士)
ニョータ・ウフーラ - ゾーイ・サルダナ(東條加那子)
モンゴメリー・スコット - サイモン・ペッグ(根本泰彦)
ヒカル・スールー - ジョン・チョー(浪川大輔)
パヴェル・チェコフ - アントン・イェルチン(粟野志門)
バルタザール・エディソン / クラール - イドリス・エルバ(斉藤次郎)
アルタミッドを根城にする謎の男。
ジェイラ - ソフィア・ブテラ(川庄美雪)
アンダーソン・リー / マナス - ジョー・タスリム
クラールの右腕。
ジェシカ・ウルフ / カラーラ - リディア・ウィルソン
保護された異星人。
エイリアン原語部分の声 - サラ・マリア・フォースバーグ(英語版)
キーンザー - ディープ・ロイ
シル少尉 - メリッサ・ロクスバーグ
エンタープライズの乗組員。
パリス准将 - ショーレ・アグダシュルー(塩田朋子)
宇宙基地ヨークタウンの司令官。カークの迷いを理解し、助言を行う。
フィネガン中佐 - グレッグ・グランバーグ
宇宙基地ヨークタウンの副官。
フィージャ - ダニー・プディ(英語版)
ザヴァンコ - キム・コールド
ティヴァンナ - アニータ・ブラウン
ワジェット - ダン・ペイン(英語版)
ティーナックスの首領 - シェー・ウィガム(声)(乃村健次)
宇宙基地ヨークタウンの隊員 - ジェフ・ベゾス(カメオ出演)
宇宙基地ヨークタウンの医師 - カルロ・アンチェロッティ(カメオ出演)
レナード・ニモイはスポック・プライムとして写真でのカメオ出演で登場し、ジョージ・タケイ、ウォルター・ケーニッグ、ウィリアム・シャトナー、ジェームズ・ドゥーアン、デフォレスト・ケリー、ニシェル・ニコルズもスールー、チェコフ、カーク、スコット、マッコイ、ウフーラのプライム版としてそれぞれ写真でのカメオ出演で登場している。 2014年5月、J・J・エイブラムスは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の製作で多忙なため、『スター・トレック ケルヴィン・タイムライン版』第3作では監督を務めることができないと述べた[9]。この数日後、ロベルト・オーチーが監督候補の筆頭に上がっていると報じられたが、製作元のスカイダンス・プロダクションズはこの報道に対して一切コメントしなかった[10][11]。 2014年12月、オーチーは本作の企画から離れた。その際、自分は第3作の監督を務めることはないと明言した[12]。その後、ルパート・ワイアット、ダニエル・エスピノーサ、モルテン・ティルドゥム、エドガー・ライト、ダンカン・ジョーンズ、ジャスティン・リン、ジョナサン・フレイクスらが監督候補として噂された[13]。同月下旬、ジャスティン・リンが第3作の監督を務めることが決まった[14]。 2013年、ロベルト・オーチーはパトリック・マッケイとジョン・D・ペインの2人とともに本作の脚本の執筆を始めた。なお、一部メディアが長年オーチーとタッグを組んできたアレックス・カーツマンも脚本の執筆に参加し、ジョー・コーニッシュも何らかの形で本作に携わると報じたが、それは誤報であった[15][16]。オーチーが本作の製作から離れた後、サイモン・ペッグとダグ・ユング
製作
構想
脚本