スター・ウォーズ
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」と語っている[9]。製作にあたっては黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』を元にしたとも言われる[10]。特に物語のキーパーソンとなるC-3PO、R2-D2の2体のドロイドのモデルは『隠し砦の三悪人』に登場した戦国時代の2人の百姓、太平(千秋実)と又七(藤原釜足)であるとルーカス自身が認めており、同じく姫から褒美をもらうというラストシーンも双方の作品に見受けられる。

序盤のモス・アイズリー宇宙港の酒場で、オビ=ワンが自身とルークに因縁をつけてきたゴロツキの宇宙人2人の腕を切り落とすシーンは『用心棒』によく似たシーンが存在し、中盤にデス・スター内でミレニアム・ファルコンの床に隠れるシーンは『椿三十郎』の若侍を三十郎が隠すシーンを彷彿させる。また、オビ=ワン役(もしくはベイダー役)で三船敏郎に出演依頼があったという逸話もある[10]
特撮

脚本にゴーサインがなかなか出ないためルーカスは友人のバーウッドとロビンスから紹介されたイラストレーターのラルフ・マクォーリー(以降『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』でもデザインを担当)にキャラクターや宇宙船のイメージ画制作を依頼し、それらも用いたプレゼンテーションを経てようやく20世紀フォックスから制作のゴーサインを得た。

映像化にはストップモーション・アニメーションやマット画といった古典的手法から大量の模型制作、光学合成、ミニチュアの爆破に至るまで幅広い技術が必要だったが、当時視覚効果スタジオは閉鎖が続き本作で想定されたような映像を作り出すには数々のノウハウを一から生み出す必要があった。ルーカスとプロデューサーのカーツは「インダストリアル・ライト&マジック(ILM)」という社名で撮影スタジオや工房に使うための倉庫をヴァン・ナイスに借り、自主映画で特撮の研究をしていた学生やカメラマン、デザイナー、特殊メイクのアーティストを多数雇い入れた。ベテランの特撮スタッフも参加しており、「P.S.」名義でマット・ペインティングを手がけたハリソン・エレンショウ(ディズニーの特撮映画でペインターを務めたピーター・エレンショウの息子)はディズニーに所属していたが本作をディズニー作品と兼任で担当することを依頼され、本来断るところが作品の面白さに惚れ込み承諾したという。

2001年宇宙の旅』以後宇宙を舞台にした『サイレント・ランニング』を監督し、テレビシリーズ『スターロスト宇宙船アーク』のプロデューサーも務めていたダグラス・トランブルに視覚効果の統括が依頼されたが、トランブルは「もう宇宙はたくさん」と言って断った。しかし『サイレント・ランニング』に参加した後もトランブルのスタジオに出入りしていたジョン・ダイクストラがこの話を知る。模型の移動装置とカメラの光学系操作をコンピュータで連動させることに成功しており、劇場映画に用立てることを望んでいたダイクストラはルーカスとカーツに売り込み正式に依頼された[注 4]

夥しい数の要素を合わせプリントを重ねる光学合成プロセスが必須であり、画質の劣化を最小限に止めるためには大面積のフィルムで撮影することが望ましかったが、トランブルのスタジオで使われていた65mmフィルムのシステムはフィルムからカメラ機材に至るまで高価で予算に収まらず、1961年の映画『片目のジャック[注 5]以降使われず枯れた技術となったビスタビジョン方式を採用。中古のビスタビジョン・カメラやプリンターも非常に安く調達可能で、35mmの汎用フィルムを使用しながら高画質が得られる利点は大きかった。

こうしてスタートした通称「トリック・ユニット」は本作でSFXの流行を呼び、映像化可能になった、あるいは大ヒットの可能性を見せたことで着手されるあてのなかったSF映画の企画の多くが一気に映画化に動き出す。本作後に一度解散した後、次作『エピソード5/帝国の逆襲』で再結成されたILMはアカデミー賞視覚効果部門で何年も連続受賞するなど大活躍を見せる。視覚効果デザイン部門のジョー・ジョンストンはやがてSFXを多用した映画の監督にも転進し、ダイクストラ、リチャード・エドランド、フィル・ティペット、ピーター・クランなども独立してそれぞれのスタジオを構えることになる。

リドリー・スコットジェームズ・キャメロンローランド・エメリッヒピーター・ジャクソンなど高い技術を持ち自作に自由や融通の利く特撮工房を設立する映画監督の例はデジタル時代になると数々現れる。彼らは、皆に人生を変えるほどの影響を本作から受けたと語っている[注 6]

本作の製作をきっかけにダイクストラにより開発されたダイクストラフレックス(Dykstraflex[注 7])はその後の特撮映画に大きな影響を与える[注 8]

劇中の撮影用のミニチュア(プロップ)の表面のディテールはプラモデルの部品を張り付けているが、これは一々彫刻するのが面倒だからである[注 9]。これは当時のアメリカのSF映画では広く普及していた手法である[注 10]

また、惑星タトゥイーンの場面は主にチュニジアで撮影されたが、隣国であるリビアが巨大輸送車サンドクローラーを軍用車両と勘違いし、危うく国際的な紛争が発生するところであった[12]
コンピュータ・アニメーションとの関わり


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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