映画第1作が莫大な製作費の回収に至らなかったこともあり、ロッデンベリーは製作総指揮から製作顧問という役職に回され、以降の映画の製作にあまり関れなくなった。1982年6月に公開された映画第2作『カーンの逆襲』では、監督のニコラス・メイヤーによって登場人物が年をとったことを隠さない方針が持ち込まれ、人生、成長、老いが物語に深く関わるようになり、これらの要素は以降の作品群にも受け継がれている。『宇宙大作戦』の映画はその後も好評だったが、フランチャイズの価値を認めるパラマウント映画は、『宇宙大作戦』のキャストに多額の出演料を支払うよりも新しいキャストを起用したほうが利益が大きいと判断し[12]、新しいテレビドラマの製作を企画する[13]。ロッデンベリーは当初は関与を拒否していたが、初期のコンセプトワークに不満があったため、製作総指揮として参加することになった。こうして、1986年10月に新しいテレビドラマである『新スタートレック』の放映が告知され、1987年9月より放映されることとなった。
『新スタートレック』は『宇宙大作戦』の続編ではあるものの、約80年後を舞台に、登場人物を一新した次世代の物語となった。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}第2シーズンまでは前作から脱し切れていないという評価が多かったが[要出典]、第3シーズンからは脚本家のマイケル・ピラーらの手腕でイメージを一新、毎話ごとにスポットを当てる登場人物を変えていく形式とし、制服や小道具、船内セットなどのビジュアル的な部分も作り変えられた。こうした努力により、『新スタートレック』は中盤から人気が上昇し、『宇宙大作戦』に匹敵すると言われるほどの人気作品に成長するに至った。 1991年10月、かねてより患っていた脳卒中の発作によりロッデンベリーが死去。同年12月に公開された映画第6作『未知の世界』は、作中で長らく敵対していたクリンゴン帝国との和平という、現実の冷戦終結を下敷きにしたストーリーによって高い評価を受けた。本作が『宇宙大作戦』の事実上の完結編となり、続く映画第7作『ジェネレーションズ』からは『新スタートレック』の映画が複数製作された。 一方、テレビドラマの製作総指揮はリック・バーマンらに引き継がれた。『新スタートレック』放送中の1993年1月、バーマンはピラーと共にスピンオフ作品となる『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』を立ち上げ、これにより初めて同時期に2つのシリーズ作品が放送されることとなった[14]。さらに、『新スタートレック』完結後の1995年1月、バーマンはピラー、ジェリ・テイラー
スピンオフ作品の登場(1991年 - 2005年)
2001年9月、バーマンはブラノン・ブラーガと共に『スタートレック:エンタープライズ』を立ち上げるが、放送開始から視聴率が低迷し、過去の作品で人気を博した異星人を登場させる、第3シーズンをまるごと一つの物語に費やすなどの様々なテコ入れが試されるも成果は上がらなかった。『スタートレック:エンタープライズ』第4シーズンでは製作総指揮からバーマンとブラーガが外され、マニー・コトのみになったことで、過去の作品との整合性を取り、時には無理なく補完が行われるなどエピソードとしての質は改善されていった。これらのコンセプトおよび物語構成の再構築の多くは概ね好意的に受け入れられたが、結局このシーズンで打ち切りが決定し、2005年5月に放送を終了した。これにより、バーマンとブラーガはフランチャイズから完全に退くこととなった。 『スタートレック:エンタープライズ』の打ち切り後、フランチャイズのリブートが模索され[注 2]、2009年5月、『宇宙大作戦』を新たなキャストで描いた映画第11作『スター・トレック』が公開された。これに始まるリブート映画作品群は「ケルヴィン・タイムライン」シリーズと呼ばれ、従来のフランチャイズ作品の歴史(「プライム・タイムライン」)の束縛から離れて、異なる時間軸を描いた。この間、テレビドラマは製作されない状況が続いた。 2014年10月、CBSが映像配信サービスCBS All Access(現・Paramount+)を開始。その目玉作品として、2017年9月、アレックス・カーツマンが製作総指揮を務め、『宇宙大作戦』の10年前を描く『スタートレック:ディスカバリー』の配信が開始された。 これを皮切りに、カーツマンの指揮下でフランチャイズの作品世界は大きく拡大していくことになり[17]、『新スタートレック』の約30年後を描く『スタートレック:ピカード』、『スタートレック:ディスカバリー』と同時代で『宇宙大作戦』に先立つエンタープライズ号の航海を描く『スタートレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』、さらにアニメーション作品の『スタートレック:ローワー・デッキ』や"Star Trek: Prodigy
リブート映画の公開(2009年 - 2016年)
作品世界の拡大と映像配信への移行(2017年 -)
2024年現在、Paramount+においては、映画版も含めた過去の全作品が配信されている。
作品が及ぼした影響スペースシャトル・エンタープライズのロールアウト式典に招待されたロッデンベリーとキャスト。左端はNASA長官のジェームズ・フレッチャー、右から2人目はフロリダ州下院議員のドン・フュークア(英語版)。
『スタートレック』の熱心なファンのことを、トレッキーまたはトレッカーと呼ぶが、アメリカのみならず世界中の宇宙関連事業関係者にもファンが多いと言われる。また、スティーヴン・ホーキングのように、『スタートレック』を自らの講演で引用したり、ゲストとして出演するような著名人もいる。また、映画『ターミナル』に登場した入国審査官のように、現代のアメリカを舞台とした作品では、登場人物がトレッキーという設定になっていることもある。
スペースシャトルのオービター1号機(大気圏内での滑空飛行試験用の機体)は当初は「コンスティテューション」と名付けられる予定だったが、トレッキーによる40万通ほどの投書が行われたことで、当時のジェラルド・R・フォード大統領の権限によって「エンタープライズ」と名付けられることになった[注 3]。