近年CGが発達し、ワイヤーを操作するアクションも多用されるようになったことで、高所からの落下、炎の中からの脱出、クルマに当たるといった危険なスタントのイメージとは異なり、身体を張った命がけのスタントは減少傾向にある[29]。
近年のアクション映像は、入り乱れるように同時に何人も相手にするのが主流となっておりアクションが立体的になった。そのためアクションの中心から外れた人間が、そのシーンで立ち止まっているわけにはいかないなど、違った部分で技術的には高度になってきている[30]。
日本のアクション監督大内貴仁は、スタントマンは常に役者を「引き立てるよう」に動くことが重要で、タイミングがズレたら待って合わせる、俳優が動きやすい位置に自ら動いていくなど、その場の状況、相手に合わせてフレキシブルに対応する「受け手」としての柔軟性が必要だと語る。受けがまずいと全体の動きが停滞してしまうため、その上手い下手がスタントマンの「実力」になるのだという[29]。
また、スタントダブルの場合には、その実力に加え、後ろ向きでも俳優本人に見えるように背中で真似をしないといけないと話す。それには俳優の動きを完全にコピーするくらいの表現力が必要になり、刀の持ち方ひとつにしても、真似をしつつカッコよく見せるというハイレベルな能力が、求められていると解説している[30]。
映像撮影では、裏方として俳優のトレーニングに協力したり、俳優に撮影での動きを伝えるなどコミュニケーション能力も重要視される[30]。現場ではワイヤーアクションでのワイヤーの設置や操作、道具の管理、現場の安全確認やそれにともなう準備などを行う[30]。またスタントコーディネーターやアクション監督とともにアクションの設計にも携わり、現在ではアイデアを俳優やスタッフに伝えるためのビデオコンテ(テスト版映像)を制作する事例も増えてきている[31]。しかし日本の現場では、女性のみならず[32]全体的にスタントマンの数は少なく、人材不足、高齢化が懸念されている[33]。 ハリウッド映画と日本映画では、その産業規模の差、組合の有無など[注釈 3]、俳優組合(SAG-AFTRA)があり、スタントマンも加入できる。日本には同様の組合は存在しない[35]。環境・条件が異なるのでギャラの形態や[33]、傷害保険・労災保険などの面での違いがある。長らく労災問題改善に務めてきたアクション監督・殺陣師の高瀬将嗣によると、日本ではスタントマンは危険な職種のため労災が下りないのではなく、スタントマンは個人事業主とみなされるため労災が下りないと言われてきたという。近年は厚生労働省の認識の変化もあり、スタントチームの会社化(スタントマンの社員化)、作品ごとの掛け捨ての保険加入や怪我をした際の労災の申請などにより、条件を整えれば、入院休業補償もされるようになった[35]。 前述のJAPAN ACTION GUILDでは「げいのう労災」を発足[36]。 スタントパフォーマーが危険なスタントによって死亡する事故もたびたび起きている。 1987年5月、アラン・バンクス(Alain Vincx、ベルギー出身、1946年生)が、ザントフォールト・サーキットで行われたカースタントショーの演目(乗用車で4台のバスを貫通する)に失敗し死亡。 2017年7月12日、『ウォーキング・デッド』にてスタントマンのジョン・バーネッカー
保険
死亡事故
脚注
注釈^ “替え玉”は一人二役を演じる際、両方が同時に画面に映る場合の代演者なども指す。
^ 2013年1月26日(土) 00:50?01:25にTBSで放映された「マツコの知らない世界」第55回にゲスト出演した谷垣健治の言葉による[25]。
^ アメリカには業界に対し、加入者の報酬待遇や安全確保などについて強い影響力を持つ[34]。
出典^ “世界を股にかけて活躍するエンターテイナーたち?映画編? スタントマン 南博男氏