スズメ
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毎日1個の卵を産み[13]、1つの巣に産む卵の数は4-8個とされ[6]、5-6卵が75 を占める[15]。2010年には、秋田県大潟村で、9卵が産みこまれていた例が報告されている[16]。卵は灰白色で、紫褐色や灰色、黒褐色の斑があり鈍端側に多い[6]。卵の大きさは1.7-2.25 cm × 1.3-1.55 cm[6]。雌雄が抱卵し10-12日で孵化する(抱卵日数は10-14日)。ヒナは晩成性で14-18日で巣立つ。

スズメの巣、

卵。卵の長径は約2 cm、短径は約1.5 cm

スズメの巣と瓦の隙間

巣材は主にイネ科の植物

営巣場所犬や猫などの毛も巣材として利用する。

巣は地面近くには作らず、人の身長よりも高い位置に作ることが多い。見た目には無理と思われるような隙間でも擦り抜けられるので、スズメの巣そのものは普段目に付かないが、巣の真下付近には枯草などの巣材の残骸が散らかっていることが多いので、それを頼りに見付け出すことができる。また、雛が餌をねだる高い周波数のチリチリという鳴き声で巣の存在に気付くこともある。

日本では人間の生活に密着しているので、多くはの下や雨樋屋根の隙間などの屋根の軒の隙間や、この他にも人の住んでいない家や集合住宅の換気扇カバーの中や煙突、プレハブの鉄骨の隙間や穴など直径3 cm または 2.5 cm × 4 cm ほどの隙間さえあれば入り込んで営巣することがある。人間が設置した巣箱も利用するが、この際は出入口の位置まで巣材を積み上げる習性がある。他に、電話線の分配ボックス、電柱トランス下のスペース、交通標識の横に伸びたパイプ、ガソリンスタンドの天井の照明の裏等でも営巣する。

自然にあるもので営巣する場合、木の洞(きのうろ)や、さらに樹木の枝の茂みに球形の巣を作ることもある[14]ツバメなど他の鳥の古巣を利用することもあり、造巣中のコシアカツバメの巣を奪って使った観察記録もある[14]。まれにスズメバチの古巣を利用した例も報告されている[17]。また、トビクマタカなど猛禽類の巣の下部裏側に営巣することもあり[14]、これは猛禽類の近くに外敵が来ないことを利用していると考えられる。
群れ群れで採餌中のスズメ

夏から秋にかけて、街路樹などに数十から数百羽が集まってねぐらを形成する。その年生まれの若鳥が多いとされるが[18]、若い個体だけでなく成鳥もまざっている。集まることで、体温の維持、翌日の餌場の探しやすさ、睡眠時の安全性の向上などの効果があると考えられている[19]。一方で、群れのねぐらに入らず個々の場所に定住する個体は成鳥が多いとされる[18]

近縁で主にヨーロッパに分布するイエスズメでは、喉元の黒い部分の大きさが、その個体のコンディションの良さを表しており、黒い部分が大きいほど、または黒さが強いほど群れの中で優位な個体であるという研究がある[20]。一方、スズメの頬および喉の黒い部分と社会的なランクについては、それほどはっきりした関係がないことが示されている[21]。ただし、イエスズメについても否定的な研究もあり、スズメについてもまだ十分調べられているわけではない。
寿命

スズメの寿命はよく分かっていない。理由は、そのための調査があまり行われていないせいもあるが、巣立ち後に分散するので個体の寿命を把握しづらいためである。ヨーロッパの標識調査からのある推定[22]では、秋頃に捕獲された雛が、翌年の春を迎えるまでの生存率は0.49、その後の生存率は年あたり0.32となっている。これらの値が日本でも成り立つとすると、秋頃の当年生まれの個体の期待余命は1.4カ年ほど、1年目の春を迎えた個体の期待余命は1年ほどということになる。卵の段階から巣立つまで、そして巣立った直後から秋にかけては、かなり高い死亡率を持つと思われる。

日本における自然条件下の最長寿命は、2293日である[23]。これは初めて捕獲されて標識されてから、次に捕獲されたまでの日数なので、少なくともこれ以上生きたことは間違いない。飼育下では、一般に自然条件下よりも長く生き(生理的寿命)、最長15年という記録がある[24]
捕食者

都市部では、ヘビカラスイタチなどが捕食者になっている。農村部ではこれらに加え、中型以上の猛禽類(例えばノスリオオタカハヤブサフクロウ)やモズも捕食者になる。かつては、ヒトも影響力の大きな捕食者であった。
日本におけるスズメ
分布

北海道から沖縄まで見られる。北海道、南千島、本州、粟島佐渡隠岐見島、四国、九州、対馬五島列島屋久島伊豆諸島奄美大島琉球諸島大東諸島では留鳥であり、舳倉島男女群島種子島には旅鳥として、またトカラ列島にもまれに認められる[2]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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