スコットランド啓蒙
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また、アダム・スミスやデュガルド・スチュワートなど、多くの主要な思想家に影響を与えたヒュー・ブレア (1718?1800)[20]、スコットランド出身の詩人として初めて国際的な評価を得たマクファーソン (1736?96)[21]、スコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズ (1759?96)[22] などもこの時代に活躍した文学者である。
経済学

エディンバラ大学やグラスゴー大学の教授を歴任したアダム・スミスが1776年に著した『国富論』は、スコットランド啓蒙の最大の成果であり、近代経済学の嚆矢であると同時に、グローバリゼーションや関税などに関する現代の研究に対しても重要な枠組みを依然として提供し続けている[23][24]。スミスは農業だけが生産手段であるという重農主義的思想に異論を唱え、土地、労働、資本を生産の3つの要因として定義した上で、地域経済圏及び国家間の労働生産性の向上や貿易からの利益からなる、分業による専門化の潜在的な利点についての議論を展開した[25]
社会学と人類学

ジョン・ジェームズ・ブルネットを始め[26]、アダム・ファーガソン、ジョン・ミラー、ウィリアム・ロバートソンなど思想家は古代、及び原始的な文明に対する科学的考察から、「現代」の特性に関する考察を行った、このような人類学のアプローチは、のちの時代のヒュー・ブレアらに影響を与えた[27]
数学、科学、医学

スコットランド啓蒙を生み出した要素の一つが科学および医学的知識の普及、発展であった。この時代の主要な思想家には、医師として訓練を受けたか、医学を大学などの研究機関で学んだ経験があるものが多い。同様に、大学の医学的訓練を受けた専門家、特に地方の環境に住んでいた医師、薬剤師、外科医、さらには牧師の存在は、この地域の知的生産に大きな影響を与えた[28]。イングランドやフランスやオーストリアのような他のヨーロッパ諸国とは異なり、スコットランドの知識人は保守的な貴族のパトロンの支配下になく、実用性と発展性を重視した研究や思索を行うことができた[29]コリン・マクローリン (1698?1746) は、19歳でマリシャルカレッジで数学の議長に任命され、同時代の英国の代表的な数学者であった[15]。数学者で物理学者のジョン・レスリー (1766?1832) は、熱に関する実験で主に注目されており、人工的に氷を作った最初の人物である[30]

科学のその他の主要人物には、医師で化学者のウィリアム・カレン (1710?90)、農学者のジェームス・アンダーソン (1739?1808) が挙げられる。また物理学者および化学者であるジョゼフ・ブラック (1728?99) は、二酸化炭素(固定空気)および潜熱を発見し[31]、化学式の原型を発明した [32]ジェームズ・ハットン (1726?97) は最初の現代地質学者であり、彼の『Theory of the Earth』(1795) は地質年代に関する当時としては革新的な理論を提示している[33][34][35][36]

この時代、エディンバラ大学は医学教育と研究の中心地となった[37]
意義

18世紀の中盤にエディンバラでコリン・マクファーカーとアンドリュー・ベルによって編纂された『ブリタニカ百科事典』はスコットランド啓蒙運動の総決算と言える。1768年から1771年の間に3巻で出版され、2,659のページと160のエングレービングによる挿絵が収録されたこの百科事典はすぐに英語圏の標準的な参考書となった。 『ブリタニカ百科事典』は1898年までエディンバラで出版され続け、アメリカの出版社に売却された [38]
広義の影響

スコットランド啓蒙は伝統的に18世紀の終わり頃に終了したと考えられているが、[26] トーマスカーライルジェームズワットウィリアム・マードック ジェームズ・クラーク・マクスウェルウイリアム・トムソンウォルタースコット [3] らによる間接的な影響を考慮に入れれば19世紀前半まで続いた。運動の影響は大英帝国全土および大陸ヨーロッパにまで広がった。 この運動によって生まれた政治的概念は、アメリカの建国の父たちに重要な影響を与えた[39][40][41] 。特に常識学派は19世紀のアメリカの思想と宗教に特に影響を与えた [42]
主な人物

William Adam (1689?1748) architect

John Adam (1721?1792) architect

ロバート・アダム (1728?1792) architect and artist

James Adam (1732?1794) architect and designer

Archibald Alison (1757?1839) essayist

David Allan (1744?1796) painter and illustrator

James Anderson (1662?1728) lawyer, antiquary and historian

James Anderson (1739?1808) agronomist, lawyer

John Arbuthnot (1667?1735) physician, satirist and polymath

John Armstrong (1709?1779) physician, poet and satirist

James Beattie (1735?1803) philosopher and poet

アンドリュー・ベル(1753?1832) priest and educationalist

チャールズ・ベル (1774?1842) surgeon, physiologist and neurologist

Henry Bell (1767?1830) engineer

John Bell of Antermony (1691?1780) doctor and traveller

ジョセフ・ブラック (1728?1799) physicist and chemist, first to isolate carbon dioxide

Thomas Blackwell (1701?1757) classical scholar and historian

William Blackwood (1776?1834) publisher, founder of Blackwood's Edinburgh Magazine

Hugh Blair (1718?1800) minister, author

James Boswell (1740?1795) lawyer, author of Life of Johnson

John Broadwood (1732?1812) piano manufacturer

Henry Peter Brougham, 1st Baron Brougham and Vaux (1778?1868) Englishman born, educated and active in Edinburgh, advocate, journalist and statesman

Robert Brown (1773?1858) botanist

Thomas Brown (1778?1820) philosopher

James Bruce of Kinnaird (1730?1794) African explorer

Patrick Brydone (1736?1818) traveller and author

David Steuart Erskine, 11th Earl of Buchan (1742?1829) founder of the Society of Antiquaries of Scotland

ロバート・バーンズ[43] (1759?1796) poet

ジョン・ステュアート (第3代ビュート伯) (1713?1792) politician, botanist, literary and artistic patron, first President of the Society of Antiquaries of Scotland

チャールズ・キャメロン (1746?1812) architect, active in Russia

George Campbell (1719?1796) philosopher

Thomas Campbell (1777?1844) poet

Alexander Carlyle (1722?1805) church leader and autobiographer

Thomas Carlyle (1795?1881) historian and philosopher


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