スクールカウンセラー
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また、教育機関に関わる災害事故、あるいは事件犯罪自殺などの緊急時に、地方自治体被災者被害者心のケアのため学校などの現場に派遣する「緊急支援チーム(クライシス・レスポンス・チーム:CRT)」の、精神科医臨床心理士保健師精神保健福祉士ら専門家スタッフを指す場合がある[3]

狭義では文部科学省のスクールカウンセラー事業で、後述する任用規程のスクールカウンセラー資格要件に掲げられた、高度な臨床心理学精神医学的専門知識を有する心理職専門家を指し[1][2]、法的身分は地方自治体・教育委員会からの任用を受けた特別職である[4]
第三者性・外部性の確保

広義・狭義いずれの場合においても、従事する業務が「心理相談」であるという性質上、既存の教職員とは異なり、各児童・生徒・学生の成績評価などを行わず、また保護者や他の教職員とも利害関係が存在しない「第三者性」「外部性」を有する心理職専門家であることが、スクールカウンセラーの倫理的な大前提として特に必要とされている[2][5]。この「第三者性」「外部性」の重要性は、利用者側からも、文部科学省が行っている現場調査の中で『教員とは異なり、成績の評価などを行わない第三者的な存在であるため、児童・生徒・保護者が気兼ねなくカウンセリングを受けることができた[6]』『“児童・生徒と教員”とは別の枠組み・人間関係で相談することができる[7]』などの実感として報告されているため、それらの報告を踏まえた調査研究において文部科学省は、「高度な専門性」と同時に「第三者性・外部性」の両立を、スクールカウンセラー任用上の意義として特に重要視している[6][7]

したがって、例えば在職の教職員が研修などを受講した後に兼務したり、退職した教職員OBが指導経験を活かすために登用されたりなどといった、「教職員としての立場の延長線上にある“当事者”や“関係者”[8][9]」が児童・生徒・学生に関わる場合は、臨床心理学/精神医学分野の「高度な専門的知識の担保」の点に加えて、既存の教職員とは異なるべき「第三者性・外部性の確保」の点も曖昧となるため、専門的かつ中立的な立場で心理相談業務を担うスクールカウンセラーの本来的な位置づけとは異なる[2][5][6][7]。これは、他分野の心理カウンセラーにおいても同様に大前提とされており、「二重関係(多重関係)の回避[8][9]」と呼ばれる倫理上の義務とされている[8][9]

この点は、アカデミックハラスメントなどの様々なハラスメント関連問題への対策とも共通しており、国公私立や小中高大などを全て含む広義のスクールカウンセラーも、狭義のスクールカウンセラーである文部科学省の任用規程にならい、「公認心理師」「臨床心理士」「精神科医」「大学教員」などを資格要件として掲げて校外・学外から別途招き[10][11][12][13][14][15]、「高度な専門的知識の担保」と「第三者性・外部性の確保」の両方を満たした上で、メンタルヘルスの担い手としての委嘱契約などを交わすといった、業務上の配慮を行っている[16][17]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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