スクールカウンセラー
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したがって、例えば在職の教職員が研修などを受講した後に兼務したり、退職した教職員OBが指導経験を活かすために登用されたりなどといった、「教職員としての立場の延長線上にある“当事者”や“関係者”[8][9]」が児童・生徒・学生に関わる場合は、臨床心理学/精神医学分野の「高度な専門的知識の担保」の点に加えて、既存の教職員とは異なるべき「第三者性・外部性の確保」の点も曖昧となるため、専門的かつ中立的な立場で心理相談業務を担うスクールカウンセラーの本来的な位置づけとは異なる[2][5][6][7]。これは、他分野の心理カウンセラーにおいても同様に大前提とされており、「二重関係(多重関係)の回避[8][9]」と呼ばれる倫理上の義務とされている[8][9]

この点は、アカデミックハラスメントなどの様々なハラスメント関連問題への対策とも共通しており、国公私立や小中高大などを全て含む広義のスクールカウンセラーも、狭義のスクールカウンセラーである文部科学省の任用規程にならい、「公認心理師」「臨床心理士」「精神科医」「大学教員」などを資格要件として掲げて校外・学外から別途招き[10][11][12][13][14][15]、「高度な専門的知識の担保」と「第三者性・外部性の確保」の両方を満たした上で、メンタルヘルスの担い手としての委嘱契約などを交わすといった、業務上の配慮を行っている[16][17]
歴史
公立学校対象事業

メンタルケア先進国であるアメリカでは、1975年の「Education of All Handicapped Children Act」の施行などにより、1970年代には既に、教育機関における心理職専門家「school psychologist」が社会的認知を得る土壌が築かれていたが、日本において心理職専門家が各教育機関に公的に参画し、「スクールカウンセラー」として特に広く知られるようになった契機は、1995年度から旧文部省が開始したスクールカウンセラー事業である[7]

同事業は、「スクールカウンセラー活用調査研究委託事業」として始められたもので、開始年度の全国154校を皮切りに、各都道府県公立の小学校、中学校、高等学校へ心理職専門家としてスクールカウンセラーの配置・派遣が行われてきた。その後、2001年度からは、現文部科学省下において「スクールカウンセラー活用事業補助」と事業名を新たにし、全公立中学校への配置・派遣へ向けさらに本格的に制度化された。同事業開始後のスクールカウンセラー配置・派遣校は全国10,000校を超え、特に2008年度からは全公立学校への配置・派遣が計画的に進められている[7]
私立学校対象事業

文部科学省のスクールカウンセラー事業の直接的対象になっていない私立学校が、新たにスクールカウンセラーの導入を希望する場合や、継続的にスクールカウンセラーを配置する場合は、1975年から都道府県に対して行われている「私立高等学校等経常費助成費補助 ※「高等学校等」とは、「高等学校」「中等教育学校」「中学校」「小学校」「幼稚園」「特殊教育諸学校」を指す」を利用することで、文部科学省からの間接的補助を受けることができる[2]

同補助事業は、同年(1975年)に議員立法として成立した「私立学校振興助成法」を法的根拠にもち、各都道府県が私立の「高等学校」「中等教育学校」「中学校」「小学校」「幼稚園」「特殊教育諸学校」に、教育条件を維持・向上するために必要な経費の助成を行っている場合、当該都道府県に対して文部科学省が補助を行うものである[18]。すなわち、【文部科学省「補助」】⇒【都道府県「助成」】⇒【私立学校「経費」】という流れで、文部科学省から私立学校へ間接的な補助が行われ、スクールカウンセラーの導入や維持に関わる経費は、同補助事業の対象となっているため[19]、都道府県側に助成の相談が可能である[2]

また、臨床心理専門職大学院認証評価機関である日本臨床心理士資格認定協会は、各都道府県臨床心理士会と協力し「私学スクールカウンセラー支援事業」を2010年度から実施している[20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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