スクーバダイビング
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民間へ広まったのは横浜消防の祖[17]と呼ばれた増田万吉(1836年 - 1902年[18])がオランダから10台を輸入した1872年(明治5年)ごろと考えられている[16]。1930年代の戦争の影響で、閉鎖循環式が開発され、のちに「リブサーバー」で、ヘルメット式のように空気を送るためにホースや船と必要とせず、泡が出ない器材へと発展した[16]。1943年に世界初のレギュレーター「CG43」へと進化した[16]。現在の器材メーカー「アクアラング」の誕生となる[16]

潜水限界

深度が大きくなるほど、緊急時の浮上が難しくなり、窒素酔い減圧症の危険性も高くなる。そのため、米海軍潜水教範では、通常の潜水可能深度を40メートルとしている[19]。ただし、ごく初心者が潜る場合は10 - 20メートル前後に設定しておいたほうが安全である[19]。スクーバ・タンクの容量は通常8 - 14リットル(10リットルタンクが最多)ほどであり、始めに通常150 - 200気圧程度[20][21](約1.8 - 3.6キログラム)の圧縮空気を詰める。アマチュアダイバーの場合、通常はスクーバ・タンクを1本だけ使うため、この空気が無くなるまで[注 1]の時間が一つの目安となる。深度が浅い場合には1時間程度であり、深くなるほど呼吸に使われる空気の圧が上がり、時間が短くなる。一般的に、潜水可能時間はダイバー個人の水面空気消費率(1気圧環境、すなわち水面における1分間あたりの空気消費量)から、タンク容量×利用可能圧÷(1+平均潜水深度÷10)÷水面空気消費率の計算により見積もられる。例えば容量12リットルのタンクを使用し、150気圧の空気を使用可能で、潜水中の平均深度15メートル、ダイバーの水面空気消費率が12リットルの場合、12×150÷(1+15÷10)÷12=60分になる。なお、通常のレクリエーショナルダイビングにおける水面空気消費率は、上級ダイバーで10 - 14リットル/分程度(小柄なダイバーでは8リットル/分程度になる場合もある)、初級ダイバーで20 - 30リットル/分程度である。すなわち、同じ上記の条件でも24 - 90分と、ダイバーによって潜水可能時間には大きな差が生じる。なお、実際の空気消費量は、体調、水温、水の流れや、水中における運動度合い等の諸条件によって変化するため、個々の潜水における実際の潜水可能時間が、上記の式で算出された潜水可能時間と乖離することも多い。

また、一般的には水圧が高くなるほど減圧症の危険が高くなるため、減圧停止を行わないレクリエーショナルダイビングの場合には、深度10メートルで3時間半程度、深度20メートルで45分程度、深度40メートルで9分程度を超えて潜水してはならない。先に挙げた限界時間近くまで潜水していた場合には、地上で3時間程度の休憩が必要となる。もっともこの制約は、減圧に関する教育・訓練を受けた職業ダイバーやテクニカルダイバーには適用されず、実際これらのダイバーによっては、上記の限界時間を越えた減圧潜水もごく日常的に行われている。しかし、職業ダイバーでも、減圧潜水を頻繁に行っているダイバーは稀で、通常は浅場での作業が中心である。レクリエーショナルダイバーは減圧停止を行うことを前提とした「減圧潜水」を行ってはならない。
必要な資格と器材ダイビング器材を装備したダイバー「ダイビング器材」も参照

日本の法律では業務以外の目的でスクーバダイビングをするのに資格は必要ない[注 2]が、レジャーダイビングを行う上で潜水器材のレンタルを含むダイビング関連サービスを受けるためにはほとんどの場合Cカードの提示が必要であることから、Cカードを取得しなければ事実上スクーバダイビングをすることはできない。(ただし、Cカード認定インストラクターが同行する体験ダイビングやCカード取得のための講習では必要ない)Cカードに関しては後述する。

一方、スクーバダイビングは、器材に頼るレジャーであり、器材選択は安全管理の基本にもなる。

本項では、主要な器材[20][21]と機能のみ列挙する。より詳しい内容は別項「ダイビング器材」を参照。

スクーバ・タンク - 呼吸ガス(ほとんどの場合、普通の空気)を水中に携行するための容器。スチール製又はアルミ製。

レギュレーター - タンク内の圧力を呼吸に適した圧(周囲圧=水圧)に自動的に調整しダイバーに供給する。

ダイビングスーツ - ダイバーを低体温と皮膚の損傷から保護する。主にウェットスーツとドライスーツに分けられる。

BC、BCD - 水中では浮力を調節する。水面では救命具同様、プラス浮力を確保できる。

マスク - いわゆる「水中メガネ」。水中で物を見やすくする。水泳用と違い、鼻も入る構造となっている。

フィン - いわゆる「足ヒレ」。水面・水中での移動を容易にする。ブーツを履くタイプと素足で履くタイプがある。

スノーケル - 水面で顔面を水につけたまま呼吸できるようにする。左側に取り付けるのが普通。

ウェイト - ダイビングスーツによる余分の浮力を相殺し潜行を可能にする。主として着用するスーツにより必要ウェイト量が変わる。

ウェイトベルト - ウェイトを身体に固定する。腰への負担を軽減できる製品もある。

残圧計 - タンク内の空気の残量を表示する。アナログが大半ではあるが、デジタル表示の製品もある。

深度計 - 潜水深度を表示する。現在ではあまり使われず、多くはダイブコンピューターにとって代わられている。

コンパス - いわゆる「方位磁石」。水中で方向を表示する。一部ではあるがデジタルコンパスも市販されている。

時計 - 防水時計である。近年ではダイバーウォッチを着けたダイバーは稀で、ダイブコンピューターが一般的。

これら器材はレンタルもされているし、購入することもできる。なお、レクリエーショナルダイバーの場合、スクーバ・タンクは、重量があり運搬が大変なこと、また保管・運搬に法規制を受ける関係から、購入せずにその都度レンタルするケースが多い。スクーバ・タンクはが、酸素濃度を増やした(窒素濃度を減らした)「エンリッチド・エア;ナイトロックス」を使うこともある。空気潜水よりも最大深度が厳しく制限されるが、レクリエーションダイバーが最も頻繁に潜る深度である10 - 30メートルを少し超える辺りの深度で無減圧限界時間を伸ばすことができる。また、空気潜水と同等のプロフィールで潜水した場合、減圧症の罹患率を下げる効果があると考えられている。特に深く潜る場合にはヘリオックスガス(酸素・ヘリウム混合ガス)やトライミックスガス(酸素・窒素・ヘリウム混合ガス)を用いることもあり、何れも酸素濃度は空気よりも低く設定する(深く潜るほど、酸素濃度は低くしなければいけない)。当然のことながら、空気(中層用)やエンリッチド・エア;ナイトロックス(浅場用)を含む数本のタンクを携行することが必要となり、加速減圧(体内窒素の急速な放出)の為に純酸素を携行する場合もある。


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