スカイマーク
[Wikipedia|▼Menu]

機内サービスを簡素化して普通運賃を他航空会社の普通運賃の半額程度に抑え、平均搭乗率80%以上を記録していた時期もあったが、その後、大手航空会社がスカイマーク便前後の自社便の割引運賃をスカイマークと同一水準へ値下げするという対抗策を取った結果、次第にスカイマーク便の搭乗率は平均60%を切ることが多くなり赤字経営に転じた。その後、自社による副操縦士の教育プログラムや自社整備の拡大、航空運賃の見直しなどを図り、一時的に黒字を出すまで回復し、経営は軌道に乗ったかと思われたが、その後も経営不振が続いた。

2004年(平成16年)にインターネットサービスプロバイダ (ISP) のゼロ株式会社会長、西久保愼一が増資を引き受け、同社がスカイマークと合併、西久保が社長に就任[注釈 1]。しかし翌2005年(平成17年)には運航トラブルが続発して経営状態はさらに悪化したが、最新鋭機のボーイング737-800型機への機材更新や整備、運航およびサービス体制の全社的かつ抜本的見直しなどにより業績は回復し、2008年3月期には黒字を確保した。

こうした好調な業績を背景に、2010年(平成22年)には、2014年度を目途として国際線事業に参入することを発表。その参入に際しては、エアバス社の超大型機「A380」を購入して投入するとされた[6]。これは、スカイマークがこれまで低コスト体質を実現するために機材を「ボーイング737」に統一していたこと、機材はすべてリースで賄っていたこと、そして日本企業による国際旅客定期便の就航は日本航空と全日本空輸を除けば初めてであることなどを勘案すればすべてが異例の発表であった。しかし、結果的にはこの経営判断がのちにスカイマークを決定的に追い詰めることとなる。

2012年(平成24年)には、格安航空会社が日本国内でも相次いで開業して航空会社同士の競争が激化、さらに政権交代により大胆な金融緩和政策を掲げた安倍晋三が総理大臣に就任すると、これまでの円高基調であった為替市場が円安の方向へ加速していき、スカイマークの経営環境は急速に悪化していく。結果として、2014年(平成26年)7月31日に開示した平成27年3月期第1四半期決算短信では、格安航空会社同士の競争や円安による燃料費負担の増加の結果、4 - 6月期決算で55億円の営業損益ベースでの赤字を計上。そしてこれによりエアバス社とすでに契約していた「A380」の購入費も賄えない事態に陥ってエアバス社から多額の違約金を請求されることになった(後述)という2点の理由により「継続企業の前提」について「重要な疑義が生じている」と表明した[広報 4][7]

規制緩和による新規参入航空会社の中では、当時は春秋航空日本と並び、日本航空(JAL)グループおよび全日本空輸(ANA)グループの大手2社の系列に属する高度な業務提携は行わず、独立性を保ちながら航空事業を継続していた。しかし2014年(平成26年)の経営悪化に伴い、JAL、ANAに支援要請を行う事態となった(#日本航空、全日本空輸とのコードシェアも参照)。なお、残る春秋航空日本も2021年6月にJALから出資を受けJALグループ傘下に収まることになった。

2015年(平成27年)1月28日、臨時取締役会民事再生法適用を申請することを決議し、東京地方裁判所に申請、受理され、経営破綻した[広報 5]。日本国内の航空会社が経営破綻したのは、2010年(平成22年)1月19日会社更生法の適用を申請した日本航空以来であった。

2016年(平成28年)3月28日付で、東京地方裁判所からの監督命令の取り消し決定と民事再生手続きの終結が発表された[8]

民事再生手続の終結以来、定時運航率顧客満足度の向上に注力している。2018年(平成30年)には定時運航率1位を獲得し、2021まで4年連続で1位を継続[広報 6][9]2022年現在、5年連続で定時運航率1位を達成している[10]

2020年度の国内線輸送人員は、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)に次いで国内第3位である[11]
歴史
設立

1996年平成8年)

11月12日:資本金1億5千万円にて会社設立。運輸省(現在の国土交通省航空局に「羽田空港における新規発着枠の配分について」要望書を提出。


1998年(平成10年)

8月21日:航空機リース会社最大手のアメリカILFC社を通してボーイング社から新造機のボーイング767-300ER型機(JA767A)をリース形式で会社の初号機として受領。

9月19日:東京/羽田 - 福岡線で初就航[4]


1999年(平成11年)

4月24日:大阪/伊丹 - 福岡・札幌/新千歳線就航(2000年6月限りで運休)。

10月:第三者割当増資を実施し、資本金35億8900万円となる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:286 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef