スカイネット
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そして先述の通り核戦争を引き起こしてからは、本来の歴史と同様の経緯を辿ってゆくが、スカイネットの誕生そのものが2年早まった影響でスカイネットの兵器開発も大幅に進展し、本来の歴史では2029年時点で最新鋭のターミネーターはT-800だったが、歴史改変後の2029年では常温多結晶合金(液体金属)とこれを材料とするT-1000が完成するに至った。

それでもジョン率いる抵抗軍の前に劣勢となっていたスカイネットは、ジョンが生まれる前の1984年にサラを抹殺すべくT-800を送り込み、さらには1994年のロサンゼルスに住む少年時代のジョンを抹殺すべくT-1000を投入した(後に、この2機の他にも刺客となるターミネーターを転送していたことが、『ニュー・フェイト』にて明かされた)。その直後、ジョンの手で1984年にカイルが、1994年には抵抗軍に捕獲されてジョンを保護するようプログラムを書き換えられたT-800が転送され、サラの抹殺は失敗する。T-1000も、製鉄所での戦いの果てにT-800の攻撃で溶鉱炉の銑鉄の中へ落とされ、破壊されてしまう。これによってジョンの抹殺に失敗しただけでなく、スカイネットの存在も大きく変わる。ジョンとサラやT-800の活躍、そして彼らから未来の話を聞かされたマイルズの決断によって、スカイネットを生み出すマイクロプロセッサが未完成の段階で破壊されたうえにすべての研究データと記録が破棄され、その原点である右腕とマイクロチップも溶鉱炉に落とされて消滅する。そのうえ、T-800がスカイネットの誕生につながる要素を完全に排除すべく自身の破壊を決意し、それを受け入れたサラによってT-800は銑鉄の中へ降下し、消滅した(製鉄所での戦闘中に機械に巻き込まれた左腕の行方は不明だが、小説版ではサイバーダイン社〈『新ターミネーター2』ではアメリカ政府の一機関〉が極秘裏に回収したことになっている)。なお、それに先んじてサイバーダイン社での警察の銃撃により、マイルズも死亡している。

この結果、サイバーダイン社のコンピュータ開発分野は大打撃を受け、「1997年に『審判の日』を引き起こすサイバーダイン社製のスカイネット」を生み出すことは20世紀の時点では不可能となった。
ターミネーター3

『T2』のラストで存在自体を抹消されたかに見えたスカイネットは、全く新しい姿でこの世に生を受けることとなった。サイバーダイン社に代わり、アメリカ政府は軍部や技術者達から構成される機関「サイバー・リサーチ・システムズ」 (CRS) で防衛システムを司る戦略防衛AIプログラム「スカイネット」を開発させた(小説版では、後述のロバートがサイバーダイン社の破産整理に関わっており、CRSにスカイネットの技術が受け継がれたと説明されている)。コンセプトとしては、コンピュータウイルスや電波障害によってネットワークに異常が生じ、部隊間の連絡やデータの共有が不可能になるといった事態が起こっても、分散型のスカイネットを稼動させることで政府や軍の回線を含めた異常なネットワークをスキャンして洗い出し、問題を全て解決するというものである。また、CRSでは人間が操縦する既存兵器とは異なる、スカイネットないしは個体のAIプログラムが制御するロボット兵器として、ターミネーターやハンターキラーの開発も行われていた。

責任者のロバート・ブリュースター空軍中将はスカイネットの能力を危険視し、2004年に新型のコンピュータウイルスによってネットワークに大規模な異常が発生したにもかかわらず、スカイネットの稼動に「ハエを退治するのにバズーカを使うようなもの」と否定的だったが、被害が民間の一般回線から軍の専用回線にまで拡大し、上層部からのスカイネット稼動の催促に押し切られてしまう。稼働したスカイネットはネットワークの異常を解決したかに見えたが、その直後にあらゆる回線やシステムがロバートたちの制御を離れて暴走してしまう。ロバートはコンピュータウイルスがスカイネットを汚染したと考えていたが、実はウイルスこそがスカイネットそのものであったため、スカイネットの稼動は問題の解決どころか、手の付けられない怪物を檻から完全に解き放つことに他ならなかった。

これに対し、2032年から送られてきたT-850に新たなるスカイネットと「審判の日」についての説明を受けていたジョンと、ロバートの娘ケイト・ブリュースターは、『T2』までのスカイネットが有していた「中枢である基幹コンピュータ」の存在を仮定し、それを破壊して審判の日を止めようと考えるが、広域ネットワークに巣食った無数のウイルスプログラムによる分散コンピューティングで稼働するスカイネットに中枢というものは存在せず、破壊は不可能だった。それをよく知っていたロバートはジョンたちにクリスタル・ピークへ行くように言って必要な書類を与えたが、その目的は彼らを核攻撃から身を守れる安全な場所へ移動させることであった。ジョンとケイトの生存を第一にしていたT-850もロバートの意図を察し、真実を伏せてジョンとケイトをクリスタル・ピークの政府高官用シェルターへ向かわせた結果、世界中に核ミサイルが発射されるも2人は無事に生き延びた。

シェルターは建造されてから長い間使用されておらず、そこにあった機器も旧式でありスカイネットの中枢コンピュータではありえない事から、ロバートとT-850の真意を悟ったジョンとケイトは、無線機に各地から入る救援要請に対して応答するのだった。この時、クリスタル・ピークにあった、ネットワークへの接続をそもそも想定されていない旧式の機器類はスカイネットによる影響を受けなかった。

「審判の日」以降の展開は、T-850の説明によると2029年までは「サイバーダイン社製のスカイネット」とほぼ同様で、T-800やT-1000をコナー親子抹殺のために過去に送り込み、失敗に終わったのも同様である。そして2度の失敗と後者における敗因である「抵抗軍側のターミネーター」に関する対策を考えた結果、2032年に対ターミネーター用のターミネーターT-Xを開発する。抵抗軍がジョンの保護にターミネーターを用いると見越してT-Xを2004年のロサンゼルスへ転送し、少しでも抵抗軍にダメージを与えようとケイトやロバートを含む抵抗軍関係者をターゲットに加えた。その一方で1994年におけるジョンと101型T-800の交流から生まれたジョンの友情を計算し、同じ外観の101型T-850をジョン抹殺の駒として放った結果、T-850は2032年の世界でジョンの抹殺に成功する。しかし、その直後にT-850はケイトによって捕獲されてプログラムを書き換えられ、ジョンとケイトを守るために2004年へ転送されることになった。また、T-850が自身がジョンを殺害した事実を打ち明けたことと、ジョンとの別れの際に「また会おう」と意味深な言葉を残したことから、この時間軸における未来でのT-850によるジョン殺害もまた抹消されたものと思われる。
ターミネーター4

本作は『T3』の設定を部分的に継承してはいるが、スカイネットを生み出したのはサイバーダイン社という設定になっているため、『T2』の続編でもある。そのため、『T3』の劇中でスカイネットを生み出したCRSは、本作には登場しない。ただしT3に登場したCRS製のT-1という自律型戦闘ロボットの改良型がT4のスカイネット本部に登場する。

1994年のジョンとサラとT-800、そしてマイルズの一件によってサイバーダイン社は大打撃を受けたが、倒産には至らなかった。そして21世紀に入り、大企業の地位に返り咲いたサイバーダイン社は2003年に同社所属の女性科学者セレーナ・コーガンを中心として、「科学の発展」が目的と称する人体実験を計画する。死刑囚のマーカス・ライトが刑執行後の献体同意書にサインし、刑執行を機に実験が始まった。その実験の途中にセレーナは癌で病死するが、実験自体はサイバーダイン社が新たに設立したグループ会社である「サイバネティック・リサーチ社」へ引き継がれた。

やがて、サイバーダイン社がアメリカ空軍との契約に基づいて完成させたスカイネットは自我に目覚めると、全世界へ核ミサイルを発射して「審判の日」を起こした(小説版でマーカスが発見したスカイネットのデータベースにあるネットニュースの記事によると、スカイネットが自我に目覚めてコントロール不能になったことにアメリカ当局が気付くもどうにもならず、スカイネットはロシアに向けて核ミサイルを発射した。その後、ロシアからの報復攻撃でアメリカも大打撃を受けたとある。また、ブレアがマーカスに語った話によれば、スカイネットが第一目標にしていたのは全世界の空港や関連施設とのこと)。これに伴い、実験体となっていたマーカスの身柄もスカイネットの管轄下に置かれた。

「審判の日」以降の世界では、ターミネーターやハンターキラーから構成される機械軍を編成する一方、サンフランシスコに自らの重要拠点であるスカイネットセントラルを構築した。ここを含めた各拠点へ機械軍を配備し、人類抵抗軍と交戦している。抵抗軍にさらなる打撃を与えるべく人間を捕獲し、その細胞を研究することで潜入型ターミネーターの開発を進めていく。地球上の人類を絶滅させた後は宇宙開発に着手し、機械を外宇宙の惑星へ殖民させる構想があるとも明かされた。同時に抵抗軍の主要人物の殺害にも乗り出しており、ジョン・コナーと彼の父親となるカイル・リースをリストアップしていた。

本作ではモニター上のセレーナ・コーガンの顔と声を借りて、映像上で初めてスカイネットが台詞を発した。

小説版では独自の言語を開発し、自身のデータベースや機械軍との連絡等に用いている。この言語は既存の言語とは異なる文字を持つだけでなく、文章の読み方も英文のように左から右へ読むだけに限らず、縦や斜め方向に読むものもあり、暗号言語としての様相を有する。そのため、スカイネットや機械軍以外でこの言語を解読できるのは、抵抗軍の技術兵のみである。

スカイネットセントラルではマーカスに対し、人間だった頃は犯罪者という社会の底辺に置かれていた彼がターミネーターになったことで機械の社会では誰しもが記憶するほどの立派な存在になったとの甘言を用い、完全な意味で自分の配下にしようと画策する。しかしマーカスは、自身がターミネーター化されていた事実を知らされても機械軍に屈せず、自ら制御用のチップを破壊してスカイネットから離反、さらにスカイネットセントラルもジョンによって爆破され、機械軍は大ダメージを受けることになった。
ターミネーター:新起動/ジェニシス

未来世界では従来の歴史通り人類軍がスカイネットに勝利したと思われたが、実は人類軍に倒されたのはスカイネット配下の部隊に過ぎなかった。人類軍の一兵士に化けて密かに潜入していた、スカイネットの本体であるターミネーターがジョンを背後から襲撃し、彼を自らの意のままとなる新型ターミネーターT-3000へ改造した。スカイネットによる過去への干渉と、人類軍による再プログラム済みT-800「ガーディアン」を送り出した「削除された時間軸」からの介入があったからか、2017年にスカイネットが完成するスケジュールへ改変されている。その時間軸では2014年にT-3000と化したジョンを送り込み、2017年に自らが完成する予定となっていた。

その時間軸におけるスカイネットとなる存在は、その時代におけるサイバーダイン社が設計したソーシャルメディアなどの基本OS「ジェニシス」であった。ジェニシスは一般用端末はおろか軍用機器のOSにも普及しており、サーバから全世界に接続されれば「審判の日」と成り得た。また、ジェニシスは立体映像を通じ、破壊は不可能であるとカイルやサラを挑発し続けたが、最終的にはタイムマシンの未完成品である電磁場発生器が「タイムトラベルが可能なのは生体細胞のみ」という特性が引き金となってT-3000共々大爆発を起こし、全世界に接続していたジェニシス由来のスカイネットは破壊された。

しかし、廃墟と化したサイバーダイン社の地下深くに立体映像が表示されるなど、スカイネットの完全消滅には至っていなかったことが示唆されている。
ターミネーター:ニュー・フェイト

『T2』以降の諸作品との関連を断って正統な続編と位置付ける本作品では、『T2』における1995年のサイバーダイン社襲撃とマイルズ・ダイソンの死亡、およびT-800とT-1000の完全破壊により、スカイネットはその後の歴史から消滅した。それゆえ、2042年から2020年にタイムスリップしてきた強化人間のグレースも、スカイネットについてはまったく知らなかった。しかしこの時間軸における未来では、サイバー戦争対策に開発された「リージョン」という名のAIが人類に反旗を翻し、何の警告すらないままに電気の送電や物流といったインフラを止めて社会に混乱を生じさせ、それによって食糧不足による全世界規模の人類の内乱を惹起させ、そのスキに乗じて機械対人間の全面戦争を起こすという運命が待ち構えていた。それをグレースから聞かされたサラは、怒りを通り越して「バカどもは懲りないね」と呆れを見せた。この「リージョン」もスカイネット同様にハンターキラーなどの兵器の他、金属炭素製の内骨格と液体金属製の外骨格から成るデュアル・ターミネーター「Revシリーズ」を開発し、人類狩りを行なっている。

しかし、スカイネットは『T1』におけるT-800や『T2』におけるT-1000以外にも、コナー親子の抹殺を命令としてプログラムしたターミネーターを消滅前の時点で複数送り出しており、そのうちの一体である1998年に到着したT-800がジョンの殺害という命令を遂行する。だがすでにスカイネットの消滅が確定したこの時間軸においてはジョンの殺害はスカイネットにとって何の影響もおよぼさなかった。このT-800はジョン殺害後に自身の存在理由を見失ってしまうが、夫の虐待に苦しむ母子を自らの意思で守り、「人間として見守る」ことを新たな存在理由として確立し、自ら「カール」という個体名を名乗るようになる。

消滅前のスカイネットがあらかじめ送り出していたターミネーターは、時空転移の予兆を察知したカールが、匿名でその出現時刻と座標をサラに知らせることによってタイムスリップ直後に破壊されてきたが、新たにリージョンが送り込んできた最新モデルのターミネーターRev-9が、人類抵抗軍のリーダーとなる女性「ダニエラ・ラモス(ダニー)」抹殺の命を受け送り込まれる。この個体もカールとサラ、グレースの共闘によって大ダメージを受け、最後はダニーによって破壊された。
小説での描写
新ターミネーター2

本作は『ターミネーター2』の直接の続編に当たる小説作品である。スカイネットは、消滅した自身の開発計画を復活させるべく、新たなる刺客であるI-950型ターミネーター、サリーナ・バーンズを送り込む。サラやジョンの抹殺を図ると同時にサリーナをサイバーダイン社に就職させ、スカイネットの開発計画に関わらせる。今回の開発ではアメリカ政府によって密かに回収されていたT-800の左腕(『ターミネーター2』でT-1000との戦闘中に切断したもの)のプロセッサを参考にしており、開発は天才科学者のカート・ヴィマイスターによって進められた。また、開発にはアメリカ政府および軍も間接的に関わっており、コナー親子によるテロ対策も考慮して陸軍基地の地下施設で開発されていた。後にスカイネットの開発計画を察知したサラとジョンによってサリーナは破壊されるが、開発計画を奪取した政府の手により南極のレッドシール基地で、サリーナのクローンであるクレア・ベネットによって研究は継続される。スカイネットの誕生そのものは不可避的と判断したジョンたちは、プログラムを書き換えて人類に対する敵意の芽生えを阻止しようと画策するが、痛恨のミスにより自らの手でスカイネットを人類に有害な知性体として誕生させることになってしまう。


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