スエズ運河
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スエズ運河橋


51.5


旧バッラ・バイパス


59.9


東側レーン:新スエズ運河[1]


エル・フェルダン鉄道橋


76.5イスマイリアスエズ運河庁本部


ティムサ湖




95.0Deversoir


グレートビター湖




スモールビター湖




アハメド・ハムディ・トンネル


横断架空線




162スエズ, スエズ港


石油ドック、テウフィーク港


スエズ湾 (Northward convoy waiting area)


紅海



凡例


水路


停泊地


ドック, 工業または兵站エリア


主要な町村


鉄道、鉄道橋

スエズ運河(スエズうんが、???? ?????? qan?t as-suw?s)は、地中海紅海をスエズ地峡で結び、アフリカアジアを分断するエジプトの人工海面水路である。1859年から1869年にかけてスエズ運河会社によって建設され、1869年11月17日に正式に開通した。スエズ運河は、地中海と紅海を経由して北大西洋と北インド洋を結ぶ水路で、アフリカ大陸を回らずにヨーロッパアジア海運で連結することができる。例えばアラビア海からロンドンまでの航行距離を約8,900km短縮する。2012年には、17,225隻(1日平均47隻)の船舶が運河を通過した。運河は北端のポートサイドと南端のスエズ市タウフィーク港を結び、中間点より北に3キロメートルの運河西岸にはイスマイリアがある[2]

建設当初のスエズ運河は全長164キロメートル (102 mi)、深さ8メートル (26 ft)だったが、その後何度かの拡張工事を受け、現在では全長193.30キロメートル (120.11 mi)、深さ24メートル (79 ft)、幅205メートル (673 ft)となった[3]

スエズ運河は南北どちらかの一方通行で運営され、船のすれ違いはバッラ・バイパス(Ballah By-Pass)やグレートビター湖など4か所で可能である[4]。運河には閘門が無いため海水は自由に流れ、主に夏にはグレートビター湖から北へ、冬は南へ水流が生じる。潮目の変化は湖の南で起こる[5]

運河はエジプト政府の所有物であるが、1956年7月に大統領ガマール・アブドゥル=ナーセルが運河を国有化するまでは、フランスやイギリスを中心としたヨーロッパの株主が運河を運営するコンセッション会社を所有しており、このことが1956年10月から11月にかけてのスエズ危機の原因となった。スエズ運河は、エジプトの国営スエズ運河庁(SCA)によって運営・維持されている。スエズ運河の自由航行に関する条約では、「戦時においても平時においても、通商または戦時のすべての船舶が旗の区別なく使用することができる」とされている。とはいえ、運河は海軍のショートカットやチョークポイントとして、軍事戦略上重要な役割を果たしてきた。地中海と紅海の両方に海岸線と基地を持つ海軍(エジプトとイスラエル)は、特にスエズ運河に関心を持っている。

2014年8月、エジプト政府は、スエズ運河の通過時間を短縮するために、バラ・バイパスを35km拡張・拡幅する工事に着手した。この拡張工事は、スエズ運河の容量を一日あたり49隻から97隻へと約2倍にすることを目的としている。費用は594億エジプトポンド(90億ドル)で、エジプトの企業や個人に限定して発行された有利子の投資証明書で賄われた。新スエズ運河と名付けられたこの拡張工事は、2015年8月6日の式典で華々しく開通した。

2016年2月24日、スエズ運河庁は新しい側水路を正式に開通させた。この側水路は、スエズ運河の東延長部の北側に位置し、イースト・ターミナルに船舶を接岸・離岸させるためのものである。イースト・コンテナ・ターミナルはスエズ運河上に位置しているため、新航路が開通するまでは、護衛艦の走行中にターミナルへの接岸・離岸を行うことはできなかった。
通行基準行き違いのためにバッラ・バイパスに停泊する船詳細は「スエズマックス」を参照

運河は、喫水20メートル (66 ft)以下または載貨重量トン数240,000トン以下かつ水面からの高さが68メートル (223 ft)以下、最大幅77.5メートル (254 ft)以下の船が航行できる[6][7]。これを上限とする基準をスエズマックスという。この基準では、超大型のタンカーは航行できない。載貨重量数が超過するような場合は、荷物の一部を運河が所有する船に一時的に分載して、通過後に再度載せ直すことも行われる。
利便性

1869年に運河が開通するまで、トーマス・フレッチャー・ワグホーンの陸送郵便ロバート・スチーブンソン鉄道路など、地中海と紅海の間は船から荷降ろしされ陸上を運搬する方法がしばしば用いられていた。

スエズ運河を通過しない場合、アフリカ大陸南端のアガラス岬を回航しなければならない。現在でもこの航路を取る必要がある超スエズマックスの船は、ケープサイズと呼ばれる。ロンドン - 横浜間を例に取ると、アフリカ回航では14,500海里 (26,900 km)かかるところを、スエズ運河を通れば距離は11,000海里 (20,000 km)となり、24%の短縮となる[8]。ただし、21世紀初頭にはソマリア沖の海賊や高い保険料を避けるために、この航路を取る船が増えた[9][10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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