スウェーデン
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各県は、日本の市に相当する基礎自治体である複数のコミューン(スウェーデン語: kommun)[注釈 4]に分割される。名称からフランスの影響がうかがえる。2007年現在、コミューンの総数は全国で290である。最高議決機関は市(コミューン)議会(スウェーデン語: kommunfullmaktige)であり、その議員は当該コミューンの市民によって、4年毎に9月下旬に行われるリクスダーゲンや県議会(ランスティング)の総選挙と同時に選挙で選ばれる。スウェーデン国籍非取得者であっても、同一コミューン内に3年以上滞在していれば、滞在先のコミューンとそのコミューンが所属している県のランスティングについては選挙権がある。

市内の人口密集地はテートオート (tatort) と一般に呼ばれるが、市役所やコミューン議会が置かれている市の中心地は特にセントラルオート(スウェーデン語: centralort)と呼称される。嘗てスウェーデンにも「町」や「村」といった行政区分もあったが、現在は存在しない。日本の政令指定都市に置かれている「区」と同様の組織は一部のコミューンに設けられることもあるが、さほど一般的でなく、規模もごく小さい。「区」に近い概念としてスタッツデール(スウェーデン語: stadsdel)という表現があり、市内にあるそれぞれ人口密集地内の各地域を指す「地区」といった意味合いで使われる。

スウェーデンには以前、「教会市(スウェーデン語: kyrkokommun)」や「教区(スウェーデン語: forsamling)」という教会が課税権を持つ行政区分があったが、町や村と同様に行政区分としては教会市も教区も現在は存在しない。ただし、教区という区分は人口統計や歴史学の研究など、ごく限られた範囲では利用されることもある。

地方行政区分とは別に歴史的、言語的につながりのあるランドスカープ(スウェーデン語: landskap)と呼ばれる25の地方がある。「スウェーデンの地方」も参照
主要都市詳細は「スウェーデンの都市の一覧」を参照ストックホルムは国内最大の都市であり、北欧有数の世界都市である

順位都市名人口[69]面積
(km2)人口密度
1ストックホルム952,0581884,164.12
2ヨーテボリ572,7794511,088.61
3マルメ341,4571561,784.10
4ウプサラ185,4942,18584.89
5リンシェーピング138,8051,43696.66
6ヴェステロース133,274962138.54
7エーレブルー129,4821,38093.83
8ノーショーピング125,4631,503.6182.95
9ヘルシングボリ124,301347358.22
10ヨンショーピング122,5241,48982.29
11ウメオ110,5872,33147.44
12ルンド103,693430241.15
13ボロース100,570915109.91
14スンツバル94,5493,20929.46
15イェヴレ92,4561,61557.25

経済詳細は「スウェーデンの経済(英語版)」を参照

17世紀にヨーロッパで最初の紙幣が発行され、世界最古の中央銀行であるリクスバンク(スウェーデン国立銀行)が設置されたことで知られている。同行は1969年からノーベル経済学賞を授与している。

レーン=メイドナー・モデルに基づいた連帯的賃金政策が取られており、労働力移動の流動性を高めることで生産性の向上と、国際競争力の強化を図っている。

電子マネー電子決済キャッシュレス)の普及率・使用率が非常に高い。2016年時点のGDP比での現金流通量は、スウェーデンでは1.4%。アメリカ合衆国の7.8%、日本の19.9%と比べると圧倒的に低い値である。店舗や公共機関などでも、現金では支払えない場合が非常に多く、旅行者はクレジットカードを必ず持参するように勧められている[70][71][72][73][74]

こういった電子決済への流れは、2010年から2017年にかけてスウェーデン・クローナの紙幣と硬貨が、新デザインのものに切り替えられたことが影響していると見られている。スウェーデン王立工科大学のニクラス・アービットソン准教授は、新デザインの紙幣、硬貨に対応したレジへの投資を見送る店が増えたことが、キャッシュレス化の流れを推し進めたと考えている。またスウェーデンでは、店舗が現金の受け取りを拒否できる法律があるといった事情もある[74]

また、キャッシュレス化によって、個人情報漏洩や不正送金の防止の技術は、他国より高いレベルのセキュリティーが必要となってくるため、こういったセキュリティー方面のベンチャー企業が台頭してきている。人体にチップを埋め込んで個人識別することによって、ドアのにもなるようなサービスも登場している[74]

2023年、スウェーデン政府は、高インフレ、不況、金利上昇、国際需要の減少に苦しんでいるが、社会福祉、つまり社会的弱者の救済に力を注いでいる。経済は2025年に回復する見通しであり、2023年の秋予算の改革は推定400億スウェーデンクローナ[75]。詳細は「Swish」を参照

 
GDPと国際収支

国際通貨基金によると、2022年のスウェーデンの国内総生産(GDP)は6,212億ドルで世界24位[76]。同年の1人あたり国民総所得(GNI)は5万7,978ドルで、世界第12位の高所得国となっている[77]2020年購買力平価ベースの1人あたり国民総所得(GNI)は56,270ドルで、世界で15番目ぐらいに高い所得国となっている[78]

国際収支について。経常収支は、世界金融危機のときに赤字に転じたが、それを除けば恒常的な黒字が続いている。2014 - 2015年にサービス貿易収支の純黒字が倍化している。サービス貿易収支の黒字が貿易収支全体に占める割合は、2001 - 2002年に無視できる程度であったものが、2014年29%、2015年47%、2016年45.5%となっている。

2013 - 2016年において、第一次所得(所得収支)は黒字基調だが、第二次所得(経常移転収支)は対照的に赤字基調である。金融収支は2013年から縮小しており、同年のポートフォリオは3兆クローナを超える赤字を記録、金融派生商品も赤字が続いている(2013 - 2016年)。

その他の投資は2016年1兆5,680億クローナの赤字。誤差誤謬は2014年に4,550億クローナであったものが、2016年に2兆7,410億クローナとなった[79]
農林水産業詳細は「スウェーデンの農業(英語版)」を参照

国土の8割が冷帯に属し、コムギの栽培が可能な地域は北緯60度以南にすぎない。農地は国土の6.5%であるが、農業従事者は国民の1.5%にすぎない。しかしながら、高い生産性によって、穀類の自給率は121%(2002年)に達している。果実類と野菜類、油脂類を除く各項目の自給率はいずれも80%を上回る。穀類の生産量ではコムギ(241万トン、以下、2004年)、オオムギ(169万トン)のほか、燕麦(93万トン、世界シェア10位)が際立つ。

国土の65.9%は森林(針葉樹林)に覆われている。このため、針葉樹に限定すれば世界第5位の生産量(610万?、世界シェア5%)を占める。木材を輸出するため、ステナラインワレニウス・ウィルヘルムセンといった海運業も発達している。

1972年酸性雨の被害を世界に知らしめるため国連人間環境会議を招致し、ストックホルムで開催した。1980年代では、国内の8万5,000の湖沼のうち、1万8,000で魚がほとんど死滅、激減した[80]
製造業

スウェーデンは、国策として掲げる専守防衛・中立政策を、軍事同盟でなく自国の軍事力のみで達成するために、国防への注力は怠ってはいない。スウェーデンが国策として掲げる中立政策ゆえ、重化学工業を担う大企業はスウェーデンの軍需産業とも密接な関係を有している。

スウェーデンは、伝統的に製造業が盛んである。とりわけ、1930年代から国策により合理化と振興が推進された結果、世界的な競争力を有するようになった企業も複数存在する。SAAB(サーブ)は一般には自動車メーカーとして知られるが、元来は航空機メーカーで、ビゲンドラケングリペンといった戦闘機サーブ 340などのターボプロップ旅客機を開発した実績を持つ。


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