スウェーデンの国旗
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この紋章は、現在の南西スオミ県の県章として未だに使用されている。1620年代グスタフ2世アドルフの時代になって初めて、青地に黄十字の二ツ尾の旗がスウェーデン船に掲げられていたことを証明するものが存在する。
三ツ尾の旗

17世紀中ごろから、二ツ尾の旗に代わって三ツ尾の旗が使用されるようになる。1663年11月6日の王室布告では、三ツ尾の旗のみを、国旗および軍艦旗として使用するように定められた[8]。これと同じ布告において、商船は各々の州の色をした正方形の旗を掲げることのみが許された。しかしながら、実際問題として、商船団は三ツ尾の国旗を正方形にカットしたものを商船旗として使用し始めた。1730年の造船に関する政府の命令において、この商船旗は国旗と同じ比で同じ色を使うこととなった。大きな違いとしては、正方形にカットされている点が挙げられる[9]1756年、個人船におけるペナントの使用が禁止された[10]。これは、本来は武装した船であることを示す軍艦旗が民間の商船隊でも使用される違法状態が常態化していたことが指摘されている。
青い海上旗

1761年8月18日の王室布告では、青一色で三ツ尾燕尾型の旗を、Skargardsflottanとして使用することが規定された。この旗は、スウェーデンの海岸線に沿って、領海内の群島の警備を行っていた水陸両用師団の小型船や小砲艦で掲げられた。奇妙なことに、Skargardsflottanの司令官は、ふさわしいとされた時には、青一色の海上旗の代わりにこれまで使われてきた通常の軍艦旗を使用することが正しいとされていた[11]。この青一色の海上旗は1813年まで使用された。
スウェーデン=ノルウェー
ユニオンフラッグ(1815年から1818年)

1814年にスウェーデンは、ノルウェーと連合王国であるスウェーデン=ノルウェーを成立させる。1815年6月6日、スウェーデンとノルウェー両国は、軍艦旗を導入した。この旗は、それまで使用されてきた三ツ尾燕尾型のスウェーデンの軍艦旗と類似した旗であり、それまでのスウェーデン軍艦旗のカントンに、赤地に白のサルタイアーが書かれたものが追加している。この旗は、ノルウェー首相であり連合論者でもあったペーデル・アンケール(英語版)によって提案され、赤地に白のサルタイアーはノルウェーのシンボルであると考えられる。これは、ノルウェーが過去にデンマークとの同君連合・デンマーク=ノルウェーを組んでおり、その同君連合が解消し、ノルウェーが独立した後もデンマークの国旗のカントンに国章を追加したものをノルウェーの国旗として使用していた[12]

ノルウェーの一般の船舶は、フィニステレ岬以北では、デンマークの商船旗と区別するために、このデンマーク国旗に国章を追加した旗を使用し続けた。しかし、地中海では、海賊から身を守るためにスウェーデンの商船旗を掲げていた。そのため、このスウェーデンとノルウェー双方の国で統一の商船旗が1818年に導入された。この商船旗は、3年前に定められた軍艦旗を長方形にしたものであった。この商船旗は、スウェーデンの船舶では使用は任意であったが、ノルウェーの船舶においては、遠方の海上でこの商船旗を掲げることが義務付けられた。1821年には、ノルウェーは新しい国旗を採択した。その国旗は、今日使用されているノルウェーの国旗と同じデザインのものである。

1821年7月17日にノルウェーの新しい国旗が採択されたことに続いて、スウェーデンとノルウェー両王国の船舶は、1818年に導入されたサルタイアーを含む長方形の商船旗を"遠方の海上"(フィニステレ岬より遠方)で使用することが定められた。この"遠方の海上"においては、各船舶はそれぞれの所属する国家の長方形の商船旗か、スウェーデン=ノルウェーの商船旗のどちらかを使用することが正しいとされた。このシステムは1838年まで継続された。
ユニオンフラッグ(1844年)

1844年6月20日の王国決議により、新しい旗と紋章が導入されることが決定した。これらは、スウェーデン=ノルウェーの両王国が同等の地位であることを示すものであった。両国家では、同じパターンで作成された商船旗・軍艦旗が採用された。これは、それぞれの王国の国旗のカントンにスウェーデン=ノルウェーの連合王国の記章を追加したものであった。この連合王国旗自体は、スウェーデンとノルウェーのそれぞれの国旗を組み合わせたものであった。また軍艦旗は、これらの国旗を、スウェーデンの軍艦旗に由来する三ツ尾燕尾型にしたものであった。加えて、この新たに作成された連合王国の記章は、海外における外交の場面や、海軍の国籍旗としても使用された。この規定により、各国家の商船隊はそれぞれの国家の国旗に連合王国の記章を追加した長方形の商船旗を掲げることが定められた。また、両王国にそれぞれ王室旗として、各々の国の連合王国の記章の入った軍艦旗の十字の交点に、連合王国の国章を加えた旗が導入された。

この新しい旗は、ノルウェー人たちの間では好意的に受け入れられた。彼らは、スウェーデンとノルウェーの連合王国が成立したときから、彼ら自身の軍艦旗を導入することを求めていた。その一方で、スウェーデンにおいては、実際のところこの新しい連合王国の記章が一般に浸透ることはなかった。そして、ニシン酢漬けレッドビートとリンゴを放射状に添えたカラフルな料理にちなんで、軽蔑的に「Sillsallaten」(スウェーデン語)、もしくは「Sildesalaten」(ノルウェー語)というニックネームがつけられた。このニックネームは、ストックホルムのスウェーデンの貴族館において、Brakel卿によるスピーチで最初に使われたと考えられている[13]

19世紀の間、スウェーデンの国旗の使用に関していくつもの決まりが定められた。軍艦旗は、税関水先人、郵便省(英語版)のような政府機関の船舶や建物でも使用された。この使用のため、軍艦旗は金色のマーカーに白い領域が設けられた。水先人のために星の刻まれたアンカー1825年の提案を基にして、1881年より使用)[14]、税関のためにはアルファベットの"T"が王冠の上につけられた紋章(1844年より)[15]。また、郵便省では王冠と郵便ラッパが追加された(1844年より)。

1897年5月7日には、別の国旗が導入された。これは、二ツ尾の旗で、三ツ尾の軍艦旗を掲げない政府所有の船舶や建物で使用された。

19世紀終わりごろになると、ノルウェーの連合王国に対する不満が高まり、同時に国旗を1821年に制定された元々の国旗に戻ることを求める機運が高まった。連合王国に反対する人々は、この1821年に制定された元々の国旗を公式にわかっているだけでもこの数年前から使用し始めていた。1890年代になると、2期連続でノルウェー議会は連合王国の記章の廃止、つまり1821年に制定された国旗に戻す法案を決議している。しかし、その決定は連合王国の拒否権によって却下された。しかし1898年、その国旗を元に戻す法案が3回目の通過を果たすと、スウェーデン=ノルウェー連合王国国王であるオスカル2世はその法案を認めざるを得なかった。1899年10月11日、連合王国の記章はノルウェーの商船旗から削除された。しかしながら、軍艦旗については、1814年の連合王国成立に従って制定された軍艦旗のように、連合王国の記章が残され、スウェーデンとの連合王国が解消されるまで使用された。"純粋な"軍艦旗は、1905年6月9日から、要塞や軍艦で使用されるようになる。

しかしながら、この連合王国の記章は、スウェーデンの国旗には、連合王国が解消される1905年まで残された。国旗に関する法律は1905年10月28日に通され、同年11月1日より連合王国の記章は正式にスウェーデン国旗から削除された[16]
1906年の旗

1905年11月1日、三ツ尾燕尾型の旗がスウェーデン軍艦の国籍旗になった。さらに1906年6月22日に制定された国旗に関する法律によって、国旗のデザインや使用についての規定が定められた。このとき制定された国旗は、以前の旗よりも明るい青色が採用された。このスウェーデンの国旗は、長方形の商船旗ともなった。さらに、三ツ尾燕尾型の旗を個人的に使用することは、併せて禁止された。
現在の推奨

通常の旗竿に国旗を掲揚する際は、国旗の幅は、竿の高さの4分の1のものを使用することが推奨されている。また、何らかの建物に設置されている旗竿の高さ(長さ)の3分の1の幅の国旗を使用することが推奨されている。また、国旗を掲揚するのは日中のみとすることが強く推奨されており、遅くとも午後9時までとされる。ただし、もし国が戦争状態にある場合は、夜においても国旗を掲げることが推奨されている。
王室旗

スウェーデン国王と女王は、大きなスウェーデンの国章が配置された国王旗を使用する。また、国王と女王以外のスウェーデン王室の人間は、それよりも小さい国章の略章が配置された王室旗を使用する。また、国王が乗艦している艦船においては、大きなスウェーデンの国章と二つに分かれたペナントの旗が掲揚される。同様に、王位継承者が乗艦している艦船においては、小さい国章の略章と二つに分かれたペナントの旗が掲揚される。

スウェーデンの王国元帥 (スウェーデン語: Riksmarskalken)は、スウェーデンの王室旗に関する一連の決定を発表している。


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