スイス
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かつては冷戦下の厳しい国際情勢に即応するため、包装された弾薬と手榴弾が貸与され、悪用防止の封印を施した容器に入れて各自が保管していた時期もあった[13]

対戦車兵器迫撃砲などより大型の武器は、地区単位で設置されている武器庫に収められ、厳重に管理されている。これらの支給火器が犯罪に用いられることはごくまれであったが、2007年9月から予備役に貸与されていた弾薬は回収され、スイス軍が集中管理するようになった。現在、予備役の立場にある国民は、自動小銃は持っていても弾薬は持っていない。有事の際は、動員令を受けた予備役に対して速やかに弾薬が貸与される予定である。

銃が手軽に手に入る社会であるため、スイスでは自殺にも銃を用いる傾向がある。自殺者の24%から28%が銃で自殺しており、その割合はアメリカ合衆国に次ぐ世界2位で、ヨーロッパの中では最高である。また男性が銃による自殺を選択する傾向があり、銃による自殺者の95%は男性である[14]。しかし、「世界平和度指数」の軽火器へのアクセスしやすさによると、スイスは5段階評価で2点で、台湾やドイツと同レベルであり、スイスはアメリカのように弾薬が簡単に手に入る社会ではないことがうかがえる[15]

冷戦の時代には、スイス連邦政府によってスイスの一般家庭に配布された小冊子「民間防衛」の内容からも窺い知れるように、スイス国民はあまねく民間防衛組織に加入し、有事に備えていた。冷戦の終結後は、民間防衛組織の多くが役割を失って消滅したか、人員や装備を大幅に削減したため、現在のスイスには「民間防衛」が発行された当時のような高度な防衛体制は、もはや存在しない。それでも、政府が食糧を計画的に備蓄し、スイス軍の施設と公立の学校については核戦争への備えとして核シェルターが常設されている。民間でも、過去には自宅や職場にシェルターを装備する義務があったが、現在では撤廃された。それでも、任意でシェルターを装備している企業や個人が多いことで有名である。
経済チューリッヒはスイス経済の中枢であり、欧州屈指の金融センターである。詳細は「スイスの経済(英語版)」を参照

世界銀行によると、2020年のスイスの購買力平価ベースの一人当たり実質GNIは69,190ドルで、カタールシンガポールルクセンブルクアイルランドに次いで、すべての国の中で世界第5位となっている[16]国際通貨基金によると、2013年のスイスのGDPは6,508億ドルであり、世界第20位である[17]。同年の一人当たりのGDPは8万1,323ドルであり、世界でもトップクラスの水準である。2016年の一人あたり国民総所得(GNI)は84,240ドルで、世界第2位である[18]

なお、スイスは世界でもっとも国際競争力の高い国のひとつであり、2011年世界経済フォーラムの研究報告書において、世界第1位の国と評価された[19]富裕層も非常に多く、9.5%の世帯が金融資産で100万ドル以上を保有しているとされる[20]

2016年10月14日アメリカ合衆国財務省が為替報告書を公表したうえで、スイスの不正な為替介入の有無を監視するようになった[21]。通貨のスイスフラン(CHF)は「金(地金)よりも堅い」と言われるほど、世界でもっとも安定した通貨である。1870年代にデザインされた硬貨が、大きな変更を経ずに製造され流通している。国内の物価および賃金水準は高く、国民の貯蓄高も日本並みに高い。輸入関税率は低く、高級外車などが比較的安く購入できる。

スイスフランの利子率は、通貨の安定性とねじれて低かった。これに目をつけ、東中欧を中心にフラン建ての住宅ローンが多く組まれている。このため、もしスイスフランが不安定となると、他国の家計にパニックを起こすリスクが生じている[10]。スイスフランは、2011年からユーロに対して為替相場の上限を設けていたが、2015年初頭に突然撤廃された。詳しくはスイス国立銀行の項目を参照されたい。

近世に至るまで、スイスのおもな産業のひとつとして存在したのが傭兵であった。スイスはその地形から農業などの産業を発達させにくかったため、戦力を輸出することで産業不足を補っていた。 現在は戦力の輸出は禁止されているものの、バチカンのスイス衛兵は唯一の例外として認められている。スイス企業の産業分野は手広い。金融業(銀行、保険)、電力、観光業、精密機械工業(時計、光学器械)、化学薬品工業が挙げられる。

スイスは「協同組合の国」であり、2018年には協同組合の大手10社だけでGDPの11%以上を占めた[22]。ほとんどのスイス人が協同組合で食料品を購入し、多くが組合銀行に口座を持つ。スイスの2大小売企業ミグロ、コープはいずれも協同組合である。
農家

リャマアルパカを飼育する農家が乳や毛の生産に使うためスイス国内で増えている[23]
エネルギー詳細は「スイスのエネルギー(英語版)」を参照

スイスにおけるエネルギー部門は、その構造と重要性から先進国の典型として現在も世界各国の手本にされている。

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電力

チューリッヒに本部を置くABBグループが世界規模で事業展開しており、同社が1988年に吸収したスウェーデン企業のASEAは地中海を取り巻くスーパーグリッドの敷設に参画している。
鉱業

スイスの鉱業は、岩塩の採掘のみに頼っている。浅海の堆積物と海水が褶曲、もしくは押しかぶせ断層によって地層中に閉じ込められたことに由来し、採掘量は2002年時点で30万トンである。ただし、岩塩精製ではカリウムが副産物として得られる(ドイツ帝国#経済)。

グレンコアなど海外で採掘事業を行う企業もある。


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