スイスフラン
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20ラッペン硬貨と1/2フラン硬貨は現在では同じ白銅貨として製造され流通しているが、20ラッペン硬貨より1/2フラン硬貨の方が高額面にもかかわらずサイズが小さく重量も軽いのは、かつて1/2フラン硬貨が銀貨だった名残である。

現在流通している硬貨のうち2フラン以下の6種類の硬貨のデザインは、フラン硬貨がヘルヴェティア女神の立像、ラッペン硬貨が同じく頭像で、これらの図案は1870年代から変更されていない。材質こそ銀や純ニッケルから白銅に変ったが、概ね150年もの間同じデザインの硬貨が流通しているような国は、他には全く見当たらない。これは如何にスイス・フランが安定している通貨であるかの裏付けに他ならない。なお、低・中額面硬貨のヘルヴェティア女神像に対し、最高額面の5フラン硬貨のデザインはウィリアム・テルとなっている。この5フラン硬貨は、広く一般に流通している硬貨においては、日本の500円硬貨と並んで先進諸国の硬貨では最も実質価値の高い額面の硬貨である。20フラン金貨 1897年銘(ブレネリ)

この他の硬貨として、1880年代から10フラン、20フランの本位金貨が流通していた。20フラン金貨はラテン通貨同盟の基準金貨でフランスの20フラン金貨(ナポレオン金貨)と同じ6.4516グラムの重量を有する金純度90%の金貨で、アルプスの少女「ブレネリ」が描かれていた。

スイスの硬貨においては、公用語全てをもって国名表示することが困難であるため、基本的に国名はラテン語名の HELVETIA または CONFOEDERATIO HELVETICA の銘が使われている。
通常硬貨の種類

1ラッペン

1850 - 1941年: 銅貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)

1942 - 1946年:
亜鉛貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)

1948 - 2006年: 青銅貨(表: 白十字、裏: 麦の穂と額面)


2ラッペン

1850 - 1941年: 銅貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)

1942 - 1946年: 亜鉛貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)

1947 - 1974年: 青銅貨(表: 白十字、裏: 麦の穂と額面)


5ラッペン

1850 - 1877年: 洋銀貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)

1879 - 1917年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)

1918年: 黄銅貨(表: ヘルヴェティア頭像 裏: 花輪と額面)

1919 - 1931年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)

1932 - 1941年: ニッケル貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)

1940、1942 - 1980年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)

1981年以降: アルミ黄銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)


10ラッペン

1850 - 1876年: 洋銀貨(表: 紋章 裏: 花輪と額面)

1879 - 1915年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)

1918 - 1919年: 黄銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)

1919 - 1931年: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)

1932 - 1939年: ニッケル貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)

1940年以降: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)


20ラッペン

1850 - 1859年: 洋銀貨(表: 紋章、裏: 花輪と額面)

1881 - 1938年: ニッケル貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)

1939年以降: 白銅貨(表: ヘルヴェティア頭像、裏: 花輪と額面)


1/2フラン

1850 - 1851年: 銀貨(品位.900、2.5グラム)ヘルヴェティア女神坐像。

1875 - 1967年: 銀貨(品位.835、2.5グラム)ヘルヴェティア女神立像。

1968年以降: 白銅貨(仕様変更2度)


1フラン

1850 - 1857年: 銀貨(品位.900、5グラム)ヘルヴェティア女神坐像。

1860 - 1861年: 銀貨(品位.800、5グラム)ヘルヴェティア女神坐像。

1875 - 1967年: 銀貨(品位.835、5グラム)ヘルヴェティア女神立像。

1968年以降: 白銅貨(仕様変更2度)


2フラン

1850 - 1857年: 銀貨(品位.900、10グラム)ヘルヴェティア女神坐像。

1860 - 1863年: 銀貨(品位.800、10グラム)ヘルヴェティア女神坐像。

1874 - 1967年: 銀貨(品位.835、10グラム)ヘルヴェティア女神立像。

1968年以降: 白銅貨(仕様変更2度)


5フラン

1850 - 1874年: 銀貨(品位.900、25グラム)ヘルヴェティア女神坐像。

1888 - 1916年: 銀貨(品位.900、25グラム)ヘルヴェティア女神頭像。

1922 - 1923年: 銀貨(品位.900、25グラム)ウィリアム・テル

1924 - 1928年: 銀貨(品位.900、25グラム)ウィリアム・テル(図案修正)。

1931 - 1969年: 銀貨(品位.835、15グラム)ウィリアム・テル(小型化)。

1968、1970年以降: 白銅貨(仕様変更3度)


10フラン

1911 - 1922年: 金貨(品位.900、3.2258グラム)ブレネリ。


20フラン

1883年: 金貨(品位.900、6.4516グラム)ヘルヴェティア女神頭像(周囲ギザ)。

1886 - 1896年: 金貨(品位.900、6.4516グラム)ヘルヴェティア女神頭像(周囲文字)。

1897 - 1949年: 金貨(品位.900、6.4516グラム)ブレネリ。


100フラン

1925年: 金貨(品位.900、32.2581グラム)ブレネリ。

なお、硬貨の裏面に描かれた花輪は、1,2ラッペンが月桂樹、5ラッペンが葡萄、10ラッペンがの葉、20ラッペンが石楠花となっている。フラン硬貨には各種の植物の組み合わせの花輪が描かれている。5フラン硬貨にはエーデルヴァイスも描かれている。

スイスの硬貨は最初にも記したが、概ね1875年以降現在に至るまで図案の変更はなく、種類に乏しい嫌いがあるため、収集家は勢い記念硬貨の収集に走るが、通常硬貨を年号別に収集すると膨大なコレクションになるので、一部のマニアのターゲットになっている。
ミントマーク

スイスの硬貨は、原則的にベルン造幣廠(現: スイス連邦造幣局)で鋳造されているが、初期の硬貨に関しては、パリストラスブールブリュッセルで鋳造されたものがある。各々の鋳造硬貨は、次の通りである。

パリ(ミントマークは「A」)

1850・1851年: 1Rap.、2Rap.、1/2Fr.、1Fr.、2Fr.(1850のみ)、5Fr.

1894年: 1/2Fr.、1Fr.、2Fr.


ストラスブール(ミントマークは「AB」)

1850年: 5Rap.(この硬貨は非常に希少である)


ストラスブール(ミントマークは「BB」)

1850・1851年: 5Rap.、10Rap.、20Rap.


ブリュッセル(ミントマークは「B.」)

1874年: 5Fr.

硬貨にはミントマーク(ベルン造幣廠はB)を刻むのが慣わしであったが、1970年代から80年代の一時期、全ての硬貨からミントマークが削除された時期があった。
記念硬貨

スイスではこれまでに様々な記念の硬貨も発行されてきたが、中でも1855年から発行されている射撃大会の記念硬貨は希少価値も高く、コレクターの注目アイテムである。1970年代以降は、ほぼ毎年各種の記念硬貨が定期的に発行されている他、コレクター向けの地金型、収集型の金貨や銀貨も発行されている。日本ではこれらの収集型金貨は、予約し抽選で購入者が決まる事が多いが、スイスではほとんどの場合、銀行等で誰でもすぐに購入できる。また、造幣局のウェブ通販で海外からも購入できる。


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