セカンドレディの役割を担うジルの専属スタッフチームのメンバーには連邦上院外交委員会の元顧問であるキャサリン・ラッセルがまず首席補佐官に選ばれた[35]。ハワード・ディーンとエリザベス・エドワーズ(英語版)の元スポークスパーソンであるコートニー・オドネルがコミュニケーションズ・ディレクター(英語版)に任命され[36]、法律事務所「モルガン・ルイス・アンド・バッキアス(英語版)」の弁護士を務めるキルスティン・ホワイトが政策ディレクターに任命された[37]。セカンドレディとしてジルは合わせて8人の専属スタッフを抱えており、そのオフィスはアイゼンハワー行政府ビルの一角を占めている[34]。
ジルはバラク・オバマの第一期大統領就任式直前に『オプラ・ウィンフリー・ショー』に出演してバラク・オバマがアメリカ合衆国国務長官になるかアメリカ合衆国副大統領になるかを選択する権利を夫に与えたという爆弾発言をしたため[38][39]、バイデンのスポークスパーソンは副大統領職しか打診されていないとして、これを否定する声明を発表している[39][40]。
2009年6月にニューヨーク市ブルックリン区にあるキングスボロー・コミュニティ・カレッジ(英語版)(KBCC)で卒業式のスピーチ(英語版)を行った[41]。2009年秋もNOVAで英語のリーディング&ライティング2コースの授業を続けた[42]。2010年1月にはデラウェア州の冬に卒業式がある主要な大学で卒業式のスピーチを行った[43]。2010年8月にはアメリカ軍人とその家族への関心を高めることを目的として「ライフタイム(英語版)」のテレビドラマシリーズ『アーミー・ワイフ』に自分自身の役で出演した[44]。
ミシェル・オバマのファーストレディとして初の単独外遊となった2010年4月のメキシコ訪問の旅にジルも同行した。二人は途中で予告なしにハイチに立ち寄り、同年に発生したハイチ地震による被災状況などを視察した[45][46]。2011年4月にジルとミシェルはアメリカ軍人とその家族にスポットライトを当て、その支援体制を強化することを目的とした国家主導の構想「ジョイニング・フォーシズ」を起動させた[47][48]。2011年9月に1300万人に影響を与えるアフリカの角における飢饉、戦争、干ばつによる危機的状況への人々の意識を向上させることを目的としたアメリカ合衆国国際開発庁(USAID)の国民啓発キャンペーンに参加した[49]。ジルはNOVAで教職を続けている[50]。2011年には終身雇用の准教授に任命されて週2日は英語ライティング・コンポジション3コースの授業を行っていた[51]。
バイデン夫妻はオブザーバトリー・サークル1番地に移住した後も夫婦生活や近くに住む孫たちと一緒に過ごす時間を大切にしており、公的活動よりも非公式な活動の方を優先している[52]。2012年6月に出版された子ども向けの本『Don't Forget, God Bless Our Troops』は義理の息子ボーの従軍が彼の若い家族にどのように影響を与えたかについて書いたものである[53]。同じ月にデラウェア州の青少年とその家族のためにソーシャルワーカーとして働く実の娘アシュリー・ブレイザーが結婚した[54]。
ジョー・バイデンが副大統領の再選を狙って2012年アメリカ合衆国大統領選挙に出馬したが、ジルは人前での話と政治の話の両方を嫌っているため、選挙キャンペーンには控えめに関与した[55]。コミュニティ・カレッジの授業スケジュールは削減せず、キャンペーンに姿を見せないことが何度かあった[55]。 2013年1月のバラク・オバマの第二期大統領就任式
第二期
セカンドレディとして第二期に入った後も切断患者のためのリハビリテーション施設「イントレピッドセンター(英語版)」を何度も訪問したり、ロンドンで開催の「インヴィクタス・ゲーム(英語版)」の開会式に出席するなど、アメリカ軍人とその家族に対する支援を続けている[57]。2014年アメリカ合衆国中間選挙(英語版)中は注目度の高い選挙戦が繰り広げられたコロラド州のマーク・ユーダル(英語版)とジョージア州のミシェル・ナン(英語版)を含む多くの民主党候補のためにキャンペーンに積極的に関与した[58][59]。
ジョー・バイデンが2015年10月21日にホワイトハウスのローズガーデン(英語版)で、同年5月に長男ボーが脳腫瘍で亡くなった悲しみがまだ癒えていないことを理由に2016年アメリカ合衆国大統領選挙への不出馬を表明したとき、バラク・オバマとともにその記者会見の場に立ち会った[60][61]。夫が大統領にふさわしい人物だと確信するジルはその後のインタビューで「最高の大統領になれたでしょう」と話し、彼の決定に失望を隠すことができなかった[62]。
ジルはNOVAでの授業を続け、2015年秋の英語5コースをすべて引き受けた[63]。2016年は夫ががんの撲滅を目指し、主導するプロジェクト「がん月打ち上げ2020(英語版)」のリスニングツアーに同行した[64]。2016年3月に1年間のISS滞在(英語版)から地球へ帰還したアメリカの宇宙飛行士スコット・ケリーを大勢のNASA職員らとともに出迎えた[65]。
2010年4月13日。2010年のハイチ地震から3か月が経過したポルトープランスをミシェル夫人とともに視察するジル夫人
2012年4月11日。ペンシルバニア大学で行われた「ジョイニング・フォーシズ」のイベントでゲストに挨拶するジル夫人
2016年3月3日。1年間のISS滞在(英語版)から地球へ帰還した宇宙飛行士スコット・ケリーを出迎えるジル夫人