ジョン・F・ケネディ
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1962年、ジェームズ・メレディスという黒人学生がミシシッピ州立大学に入学しようとして拒否される事件が起き、ケネディは軍隊を動員して人種差別主義者の暴動を鎮圧した(メレディス事件)[注釈 49]

この事件後、黒人学生を認めなかったほかの南部諸州も黒人学生を受け入れはじめたが、アラバマ州知事のジョージ・ウォレスだけは違った。ケネディは司法省幹部によるバーミングハムの地域リーダーの説得を続け、大学側に黒人学生の入学を認めさせた。1963年6月11日、2人の黒人学生ジェームズ・フッドとヴィヴィアン・マローンが司法次官ニコラス・カッツェンバックに付き添われてアラバマ州立大学の門前に到着した。司法長官ロバート・ケネディはウォレスに対して電話で妨害しないよう説得したが、ウォレスはこれを拒否し、州兵で大学の周囲を固めて自ら大学の門に立ちはだかった。ケネディは州兵を連邦軍に編入・指揮下に置くとともに大学周辺を関係者以外立ち入り禁止にし、バーミングハム郊外に連邦軍を集結させた。カッツェンバックが大統領布告を読み上げ、州兵の司令官が連邦政府の任務遂行を妨害するなら逮捕すると宣告し、ウォレスはようやく引き下がった。これにより全米50州の中で黒人学生を締め出す州はなくなった。

ケネディは同日夕方、翌年に控えた中間選挙に勝つために黒人票を獲得すべく、公民権運動を助けるためにより強い処置を講ずる時期がきたと決断し、議会へ新しい公民権法案を提案、テレビで大統領執務室から直接国民に訴えかけた。「エイブラハム・リンカーンが奴隷を解放して以来100年間の猶予が過ぎた。彼らの相続人、彼らの孫は完全に自由ではない」と述べた[注釈 50]

しかしこの公民権法は、そもそもが黒人票集めに人種問題をやってるに過ぎなかった上に、内政より外交問題に忙しいケネディ政権下では成立しなかった。もしケネディが2期目に当選しても、ケネディ政権下では成立しなかったとも言われている。
外交政策

ケネディ大統領の在任中は第二次世界大戦後の冷戦下で米ソ対立の非常に厳しい時代であった。まずキューバに対してピッグス湾事件では優柔不断な対応により大きな失敗を招いた。

1961年6月にソ連のフルシチョフ首相との首脳会談で互角にやりあったあとに、ベルリン危機やキューバ危機で硬軟取り交ぜた機敏な対応を取り事態を収拾した。また、混乱していた東南アジアのラオスでは武力介入せず、1962年6月に三派連合政府の樹立に成功した。

しかしベトナム情勢に対しては、南ベトナムのジェム政権と対立したまま、1960年以降の軍事援助の大規模な増加と、「軍事顧問団」名義でのアメリカ正規軍の増派を行い、ジェム政権の崩壊後に状況が悪化して、のちに泥沼化させるきっかけを作ることとなった。
ピッグス湾事件

大統領就任後にすぐにケネディは試練に立たされた。ピッグス湾事件の失敗である。カストロ政権の転覆を狙い、キューバ南部のビッグス湾(コチノス湾)のサパタ沼沢地に反カストロの亡命キューバ人部隊1,400人を輸送船で上陸させた(ピッグス湾事件)。しかし上陸部隊はキューバ軍に撃退され、この作戦は失敗した[167]

このキューバ侵攻計画は前大統領のアイゼンハワー政権末期にCIAの主導で進められたもので、亡命キューバ人部隊の訓練もCIAが担当していた[168]。大統領(当時)のアイゼンハワーはこの作戦にはほとんど関わらず、副大統領(当時)のリチャード・ニクソンが主導していた。大統領選挙期間中にケネディもキューバに関して「必要とあらばキューバ侵攻を認める」という姿勢を示していた[169]。そしてケネディが大統領に当選すると、作戦を主導してきたCIA長官のアレン・ウェルシュ・ダレスや作戦局担当次官リチャード・ビッセルらはケネディにこの侵攻計画を説明した。当選したばかりのケネディは、この作戦計画の重要さと大胆さに仰天した[169]。その後レムニッツァー統合参謀本部議長とバーグ海軍作戦部長の専門的意見を聞いたがいずれも成功する作戦として問題ないというものであった。ロバート・マクナマラとケネディ

1961年4月4日、この計画に関する最後の会議が国務省で開かれた。出席者はケネディ、国務長官ディーン・ラスク、国防長官ロバート・マクナマラ、財務長官C・ダグラス・ディロン、また国防次官クラスの閣僚のほか、上院外交委員長J・ウィリアム・フルブライトアーサー・シュレジンジャーほか2人の大統領顧問とダレス(CIA長官)、ビッセル(CIA作戦局担当次官)、統合参謀本部議長ライマン・レムニッツァーであった[170]


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