ジョン・ル・カレ
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同作品は出版前に3回も増刷され、かつパラマウント映画から映画化のオファーを受けた[3]エドガー賞 長編賞を受賞し、世界的に評価を得る。

ル・カレの作品の多くは、初老のMI6(作中では「ザ・サーカス」の別名で呼ばれる)幹部「ジョージ・スマイリー」が登場し、その中でもスマイリーを主人公としたものは1960年代では『死者にかかってきた電話』『高貴なる殺人』、1970年代では『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』『スクールボーイ閣下』『スマイリーと仲間たち』の合計5作である。特に1970年代に発表した長編3作は全てスマイリーを主人公としており、日本ではその3作を「スマイリー三部作」と呼ぶ。

その後もスパイものを中心に作品を発表しており、各国語に翻訳されて世界各国で発売されている。映画化やテレビドラマ化された作品も多い。

2015年11月、本人への長時間インタビューと資料にもとづいた伝記『John le Carre: The Biography』が出版される(日本語訳は2018年5月に『ジョン・ル・カレ伝』上下巻として刊行された)。

2016年9月、回顧録『The Pigeon Tunnel: Stories from My Life』を著した(日本語訳は2017年3月に『地下道の鳩―ジョン・ル・カレ回想録』として刊行された)[4]

2020年12月12日、肺炎のため、トゥルーロの王立コーンウォール病院で死去した[5][6][7]。89歳没。
私生活

1954年、アリソン・アン・ヴェロニカ・シャープと結婚。3人の息子をもうけるが[8]、1971年に離婚[9]。1972年、ホッダー&ストートンの編集者のヴァレリー・ジェーン・ユースタスと結婚した。同年に生まれたニコラス・コーンウェルはニック・ハーカウェイ(Nick Harkaway)の名で作家となった。ル・カレはタイプが打てなかったため、妻が原稿のタイプ打ちを行っていた[10]

ル・カレ死後の2021年2月27日、妻のヴァレリーが死去。同年4月1日、BBCのル・カレのドキュメンタリー番組の予告編が放送され、その中で息子のニック・ハーカウェイが、ル・カレが生前にアイルランド国籍を取得していたことを明らかにした。イギリスの欧州連合離脱に対する抗議が理由とされている。英国では二重国籍が認められている[11][12]
主な著作

#邦題原題刊行年 刊行年月 訳者 出版社備考
1ししやにかかつてきたてんわ死者にかかってきた電話Call for the Dead1961年1965年
1978年11月宇野利泰ハヤカワノヴェルズ
ハヤカワ文庫スマイリー五部作
2こうきなるさつしん高貴なる殺人A Murder of Quality1962年1966年
1979年12月宇野利泰ハヤカワノヴェルズ
ハヤカワ文庫スマイリー五部作
3さむいくにからかえつてきたすはい寒い国から帰ってきたスパイThe Spy Who Came in from the Cold1963年1964年9月
1978年5月宇野利泰ハヤカワノヴェルズ
ハヤカワ文庫スマイリーは脇役
4かかみのくにのせんそう鏡の国の戦争The Looking-Glass War1965年1965年
1980年6月宇野利泰ハヤカワノヴェルズ
ハヤカワ文庫スマイリーは脇役
5といつのちいさなまちドイツの小さな町A Small Town in Germany1968年1970年
1990年3月宇野利泰ハヤカワノヴェルズ
ハヤカワ文庫
6未訳The Naive and Sentimental Lover1971年
7ていんかあていらあそるしやあすはいティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイTinker, Tailor, Soldier, Spy1974年1975年5月
1986年11月
2012年3月菊池光
菊池光
村上博基ハヤカワノヴェルズ
ハヤカワ文庫
ハヤカワ文庫スマイリー五部作
8すくうるほおいかつかスクールボーイ閣下The Honourable Schoolboy1977年1979年7月
1987年1月村上博基ハヤカワノヴェルズ
ハヤカワ文庫スマイリー五部作
9すまいりいとなかまたちスマイリーと仲間たちSmiley's People1979年1981年5月
1987年4月村上博基ハヤカワノヴェルズ
ハヤカワ文庫スマイリー五部作
10りとるとらまあかあるリトル・ドラマー・ガールThe Little Drummer Girl1983年1983年11月
1991年12月村上博基ハヤカワノヴェルズ
ハヤカワ文庫
11はあふえくとすはいパーフェクト・スパイA Perfect Spy1986年1987年4月
1994年7月村上博基ハヤカワ・ノヴェルズ
ハヤカワ文庫
12ろしあはうすロシア・ハウスThe Russian House1989年1990年4月
1996年4月村上博基ハヤカワ・ノヴェルズ
ハヤカワ文庫
13かけのしゆんれいしや影の巡礼者The Secret Pilgrim1990年1991年
1997年8月村上博基ハヤカワ・ノヴェルズ
ハヤカワ文庫スマイリー
14ないとまねしやあナイト・マネジャーThe Night Manager1993年1994年7月
1998年6月村上博基ハヤカワ・ノヴェルズ
ハヤカワ文庫
15われらのけえむわれらのゲームOur Game1996年1996年5月
1999年6月村上博基ハヤカワ・ノヴェルズ
ハヤカワ文庫
16はなまのしたてやパナマの仕立屋The Tailor of Panama1997年1999年10月田口俊樹集英社
17しんくるあんとしんくるシングル&シングルSingle and Single1999年2000年12月田口俊樹集英社
18ないろひのはちナイロビの蜂The Constant Gardener2001年2003年12月加賀山卓朗集英社文庫
19さらまんたあはほのおのなかにサラマンダーは炎のなかにAbsolute Friends2003年2008年11月加賀山卓朗光文社文庫
20みっしょんそんくミッション・ソングThe Mission Song2006年2011年12月加賀山卓朗光文社文庫
21たれよりもねらわれたおとこ誰よりも狙われた男A Most Wanted Man2008年2013年12月
2014年9月加賀山卓朗ハヤカワ・ノヴェルズ
ハヤカワ文庫
22われらがそむきしものくわれらが背きし者Our Kind Of Traitor2010年2012年11月
2016年10月上岡伸雄
上杉隼人岩波書店
岩波現代文庫
23せんさいなしんじつく繊細な真実A Delicate Truth2013年2014年11月
2016年9月加賀山卓朗ハヤカワ・ノヴェルズ
ハヤカワ文庫
24ちかどうのはとく地下道の鳩―ジョン・ル・カレ回想録The Pigeon Tunnel2016年2017年3月
2018年10月加賀山卓朗早川書房
ハヤカワ文庫
25すぱいたちのいさんくスパイたちの遺産A Legacy of Spies2017年2017年11月
2019年11月加賀山卓朗早川書房
ハヤカワ文庫スマイリー復活脇役
26すぱいはいまもスパイはいまも謀略の地にAgent Running in the Field2019年2020年7月
2023年2月加賀山卓朗早川書房
ハヤカワ文庫
27しるばびゆくシルバービュー荘にてSilverview2021年2021年12月
加賀山卓朗早川書房
遺作
28未訳The Letters of John le Carre 1945?20202022年

Tim Cornwell編の書簡集

映像化
映画

寒い国から帰ったスパイ(1965年) - 『寒い国から帰ってきたスパイ』の映画化。マーティン・リット監督。

恐怖との遭遇(1966年) - 『死者にかかってきた電話』の映画化。シドニー・ルメット監督。

鏡の国の戦争(1968年) - フランク・ピアソン監督。

リトル・ドラマー・ガール(1984年) - ジョージ・ロイ・ヒル監督、ル・カレ共同脚本。

ロシア・ハウス(1990年) - フレッド・スケピシ監督。

テイラー・オブ・パナマ(2001年) - 『パナマの仕立屋』の映画化。ジョン・ブアマン監督、ル・カレ共同脚本。

ナイロビの蜂(2005年) - フェルナンド・メイレレス監督、ル・カレ脚本監修。

裏切りのサーカス(2011年) - 『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の映画化。 トーマス・アルフレッドソン監督。

誰よりも狙われた男(2014年) - アントン・コービン監督。本人がカメオ出演している。

われらが背きし者(2016年) - スザンナ・ホワイト監督。


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