ジョン・ラスキン
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ラスキンは1858年から、ある裕福なアイルランド人家庭の子供たちに美術を教えていたが、その中のひとり、9歳のローズ(Rose La Touche)に魅了される。ローズが18歳まで家庭教師を続けたが、彼女が16歳になると、何度も結婚を申し込んだ。しかし、宗教が違うことを理由に断られる。1875年にローズが27歳で急死したことが伝えられると、ラスキンは精神的に強いダメージを受け、しばしば発作に見舞われるようになった。亡くなったローズと会話するために、スピリチュアリズムの研究も始めた。

1878年、ホイッスラーの作品を酷評したことが原因で名誉棄損でホイッスラーから訴えられ、法廷闘争に巻き込まれる。ラスキンは敗北したものの、精神的な病からのものとして、賠償金はわずか1ファージング(4分の1ペニー)だった。ただし、この敗北によってラスキンは名を落とし、さらには精神活動の低下をうながした可能性もある。晩年は湖水地方の湖岸のブラントウッドに居宅を構え、定期的な文化講義を行なったり、文化財保護運動、ナショナル・トラストの創設などに関わった。

ラスキンの美術に関する考えは、一言で言えば「自然をありのままに再現すべきだ」ということであった。この思想の根幹には、神の創造物である自然に完全さを見出すという信仰があった。

また、ターナーの描いた裸婦画を「イメージを壊す」という理由で全て焼却処分してしまっている。
水彩

ラスキンには「水彩、最も美しい芸術」との言葉もあり、水彩画の作品を残している。水彩をこよなく愛していたことをうかがわせる。
著作

近代画家論 (Modern painters 1843-60年)

建築の七灯 (The seven lamps of architecture 1849年)

黄金の河の王様(The King of the Golden River 1850年)

ヴェネツィアの石 (The stones of Venice 1851-53年)

芸術経済論 (A political economy of art 1857年)

この最後の者に (Unto This Last 1862年)

胡麻と百合 (Sesame and lilies 1864もしくは1865年)

塵の倫理(The Ethics of the Dust 1866年)

野にさく橄欖の冠(The Crown of Wild Olive 1866年)

時と潮(Time and Tide 1867年)

空の女皇(The Queen of the Air 1869年)

建築の詩美(The Poetry of Architecture 1893年)

主な訳書

『ゴシックの本質』(
川端康雄訳、みすず書房、2011年)

『ヴェネツィアの石』(井上義夫編訳、みすず書房、2019年)

『フィレンツェの朝』(井上義夫編訳、みすず書房、2023年)

『この最後の者にも ごまとゆり』(富士川義之解説、中央公論新社中公クラシックス〉、2008年)

前者は飯塚一郎訳、後者は木村正身訳。元版『世界の名著41 ラスキン モリス』中央公論社(1971年)


『プルースト=ラスキン「胡麻と百合」』(吉田城訳・解説、筑摩書房、1990年)マルセル・プルーストによる仏語訳版での訳注・解説。

『建築の七燈』(杉山真紀子訳、鹿島出版会、1997年)

『芸術経済論 永遠の歓び』(宇井丑之助・宇井邦夫訳、巌松堂出版、1998年)- 2編の講演録

新訳版『芸術経済論 与えられる歓びと、その市場価値』(宇井丑之助・宇井邦夫・仙道弘生訳、水曜社、2020年)


『アミアンの聖書』(高橋昭子・芳野宣子・竹中隆一訳、ぱる出版、1997年)

『ヴェネツィアの石』(福田晴虔訳、中央公論美術出版、1994-1996年)全3巻:1.「基礎」篇、2.「海上階」篇、3.「凋落」篇

『風景の思想とモラル 近代画家論 風景編』(内藤史朗訳、法蔵館、2002年)

『芸術の真実と教育 構想力の芸術思想 近代画家論 原理編』(全2巻、内藤史朗訳、法蔵館、2003年)

『ヴェネツィアの石 建築・装飾とゴシック精神』(内藤史朗訳、法蔵館、2006年)

『続 ヴェネツィアの石 ルネサンスとグロテスク精神』(内藤史朗訳、法藏館、2017年)

戦前の刊行版

『黄金河の探検』(秋元正四訳注、
博文館、1910年)

『美術と文学』(澤村寅二郎訳、有朋堂書店、1914年)

『芸術経済論 永遠の歓喜とその市場価格』(西本正美訳、岩波文庫、1927年、復刊1987年ほか)

(『永久の歓び』、栗原元吉(古城)訳、玄黄社、1917年)

(『経済的美術観』、御木本隆三訳、厚生閣、1922年)


『時と潮』(栗原元吉(古城)訳、玄黄社、1918年)

『胡麻と百合』(栗原元吉(古城)訳、玄黄社、1918年、1926年)

(本間立也訳、春秋社、1935年)

石田憲次・照山正順訳、岩波文庫、1935年、復刊1987年ほか)


『この後の者にも 経済の第一原理に就いて』(西本正美訳、岩波文庫、1928年、復刊1987年ほか)

(『此の後至者にも 経済学の第一原理に関する論文四編』、石田憲次訳、弘文堂、1918年、訂正版-1921年)

(『此の最後の者にも』、石田憲次訳、弘文堂書房、1924年)

(『この最後の者にも 其他』川津孝四訳注、春陽堂、1931年)


『塵の倫理』(小林一郎訳、玄黄社、1918年)


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