リンドン・ジョンソン大統領は、自分が上院議員だった頃の電話を盗聴したのかフーヴァーに何度も電話で尋ねた。ケネディ大統領は、海軍に勤務していた20歳当時、女性との性的な関係を実際に盗聴されてしまった[13]。 1960年代の始め、上院議員のエドワード・ロング
政治家からの追及
1961年に大統領に就任したジョン・F・ケネディもフーヴァーを免職しようとした。フーヴァーはすぐにケネディのもとに行き、もし免職したら自分が持っている情報(ケネディの女性問題や、自らも親しいサム・ジアンカーナなどのマフィアとの関係)を公開すると言い放ったという。ロバート・ケネディがFBIを厳しく締め上げたとき、フーヴァーの右腕のクライド・トルソンは「誰かが奴を撃ち殺してくれればいいのに」と言い残している。
フーヴァーの死の直後、リチャード・ニクソンが部下に命じてフーヴァーの書斎を調査させた。その「遺産」の内容を見たニクソンは激怒したと言われている。その非公式の「遺産」は膨大な量だったと言われ、事実、秘書のヘレン・ギャンディが処分に数日を費やしたほどだった。 競馬など賭博好きのフーヴァーは、当時勢力を強めていたこともあり存在感とともに非難が高まっていたものの、賭博に強い影響力を持っていたフランク・コステロやサム・ジアンカーナ、マイヤー・ランスキーなどのマフィアに対して、「FBIの管轄外である」として強い態度に出ることはなかった。また、マフィアから収賄があったことが死後明らかになっている。
マフィアとの関係
私生活クライド・トルソン
フーヴァーが同性愛者であり、服装倒錯者だったという推測及び噂が生前から多く出回っていたが、上記のように自らの記録を残さないようにしていたこともあり明確な証拠は殆ど残されていない[14]。
フーヴァーはFBIの副長官(Associate Director)であったクライド・トルソン(英語版)と40年以上の付き合いがあり、彼らはしばしば共に休暇を取り、毎日昼食を共にとっていた。トルソンとの関係を証明する写真をマフィアが所有していたという噂もある。また、彼らは両方とも生涯独身であり、フーヴァーは1938年に母親が亡くなるまで母親と同居していた。
フリーメイソンのメンバーでもあった[15]。
関連作品
阿部陽一 『フェニックスの弔鐘』 第36回江戸川乱歩賞受賞作
ドキュメンタリー『葬られた歴史の真相』シリーズ 第6回『J.エドガー・フーバーの秘密』(ナショナルジオグラフィックチャンネル)
『J・エドガー』 - クリント・イーストウッド監督による伝記映画。レオナルド・ディカプリオがフーヴァーを演じる。
『ケネディ家vsFBI長官フーバー/第2次南北戦争・スキャンダルと陰謀の日々』(1987年) - TVムービー。
『ザ・シンプソンズ』 - 第8シーズン第10話の「スプリングフィールド・Xファイル」というエピソードに、上記の服装倒錯者であったという噂を元にしたような肖像画が一瞬映るシーンがある。
『高い城の男』 - 第3シーズンより登場。劇中ではアメリカ東海岸を支配した大ナチス帝国の軍門に降っており、北アメリカ情報局長として登場。
『マンガで分かる!Fate/Grand Order』 - 第2期より登場。女主人公が作り上げたうどんサーヴァントの一人でクラスはアサシン。2017年に刊行された単行本1巻にて真名を伏せつつも「初代FBI長官」との説明があり、真名がフーヴァーであること暗に仄めかしている。
『裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱』- 警察やFBIの歴代功労者のスーツが展示される中、フーヴァーのディスプレイには女装の品々が飾られている[16]。
『パブリック・エネミーズ』 - マイケル・マン監督によるバイオレンス映画。ビリー・クラダップが演じる。
関連書籍
『FBI 独裁者フーバー長官』(ウィリアム・サリバン(元FBI幹部捜査官)、ビル・ブラウン(ジャーナリスト)共著)
土屋政雄訳、中公文庫、1987年、改版2002年。ISBN 4122039991
カート・ジェントリー『フーヴァー長官のファイル』
吉田利子訳、文藝春秋 上下、1994年。ISBN 4163485503、ISBN 4163485600
アンソニー・サマーズ『大統領たちが恐れた男:FBI長官フーヴァーの秘密の生涯』
水上峰雄訳、新潮社 1995年。ISBN 4105309013/新潮文庫 上下 1998年